伊豆・天城山縦走
 (あまぎさん:まんざぶろうだけ1405.6m)
 真夏の天城山!ブナの原生林は涼しくて爽やかでした。
 この日伊豆方面は、なんと35度前後の暑さ!

 H14年7月22日(月)
  天気;晴れ
  Member.2人(義姉と)

  右【万三郎岳:八丁池展望台より】

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

天城高原ゴルフ場登山口6:50〜万二郎岳(1300m)7:55〜展望場8:00-20〜万三郎岳(1405.6m)9:30-50〜片瀬峠10:08〜小岳(戸塚山)10:20-30〜戸塚峠11:00-10〜八丁池12:30-13:10〜分岐(トイレ)13:20〜展望台13:23-30〜八丁池口分岐13:33〜向峠14:53-55〜天城峠15:20-22〜旧天城トンネル入口15:35
(所要時間約8時間45分・・休憩含む)


 父亡き後、親睦を兼ねて、石原家の集いを開催。母と兄弟夫婦が集まって、二泊三日の伊豆旅行をすることになった。最早海水浴するには自他共に迷惑な義姉や私は、中一日を、山歩きにさせてもらった。姉も山歩きを楽しんでいるため、せっかく伊豆にくるのだからと、姉がまだ歩いていない天城山に登ろうということになったのだ。とはいえ、夏の伊豆は暑い!山もさぞや暑かろうと覚悟していた。

 宿泊先は西海岸、戸田の海に近い ペンションへだ岬。早朝姉と私は朝食抜きで夫に天城高原ゴルフ場まで送ってもらった。途中コンビニに寄って、目的地まで約1時間。登るほどにガスが濃くなり、展望よりは涼しい方が良いと言いながら、道路沿いに咲く山百合を見ては喜んでいた。はるか高い位置に見えて近寄りがたかった万二郎岳、万三郎岳が、登山口までくると急に親しみを感じるほど近づいた気がする。

左【登山口で】

 登山口で写真を撮って貰った後夫と別れ、姉と二人で登り始めた。ここから登るのは私は三回目(一回目1993.6/3二回目1997.12/4)になるが、夏は初めてだった。天城山は全体的に樹林帯を歩くので、展望の良いところは少ない。ガイドブックによると、夏登れる伊豆の山は、この天城山だけだという。え〜・・・ほんとう?と思っていたら、これが大正解。ゆっくり話しながら登っていったが、暑く感じたのは万二郎までの最初の1時間だけだった。今回、この北斜面は風がほとんどなかった。しかし途中の展望出来る場所では天城高原ゴルフ場をはじめ、周囲がきれいに眺められる。ラッキー!

左【富士山、肉眼では見えたのだが・・・】

 コアジサイやヤマアジサイの蕾を見ながら万二郎岳へ。花の開花状態は、二週間前の奥多摩御前山と同じくらいだった。標高は同じくらいだが、奥多摩御前山より伊豆天城山の方が、開花が遅いとは意外だった。万二郎岳山頂は展望が無いので少し先の展望場まで行くことにした。5分ほど下ると前方に万三郎岳方面の山並みが目に入ってくる。その岩場で休憩。右手にはうっすらと黒い富士山も見える。左手の海、相模灘は霞んでいたが、半島の海岸線は眺めることが出来た。 今回は展望をあまり期待していなかったがこれまたラッキー!。しかも海風が爽やかで涼しく、誠に心地よい。docomoは通じた。とりあえず「こちら快適!」と、夫に連絡を入れた。これからペンションで皆一緒に朝食だという。

左【万三郎岳の登り】

 再び歩き出し、いったん下った後、小さなアップダウンを繰り返して万三郎岳に向かった。途中、トリアシショウマ(多分)の花は沢山咲いていたが、全体的に野草は少なかった。しかしブナとヒメシャラの原生林は空の明るさを取り入れながら、暑さを遮断してくれて実に快適。空気もひんやりとして、この状態が下山するまで続いた。

左【万三郎岳山頂で】

 万三郎岳もほとんど展望がない。深田久弥は「天城のいいことの一つは、見晴らしである」と書いている。しかし残念ながら、夏の天城山は木が繁り、全山を通して展望の良いところは殆どない。大島も富士山も、樹間から捜すような感じだった。夏は展望より涼しさ!降り注ぐ木漏れ日は原生林を明るくしてくれて、暑さを寄せ付けなかった。それで充分だった。石楠花や馬酔木も巨大で開花時期は見事だ。冬の霧氷もまた良い。夏がOKということは、年間通して歩ける山といえる。

 登山道は整備されているので姉と話しながらのんびり歩けるのも良かった。一緒に歩くのは初めてだったが、時々山に行っているという姉のペース配分は無理がなく、歩きやすかった。互いに子育てを終え、こうしてそれぞれに山歩きを楽しんでいるのは偶然とはいえ意外でもあった。ネアカ度100%の姉といると、高山に登った爽快感が二度味わえる。山にいったら、こうでなくては!

左【ヒメシャラに抱きつくコアラ?】

 万三郎岳を過ぎれば大きなアップダウンはなく、気楽なハイキング。いくつかある峠や要所に置かれているベンチで、ときたま休みながら思う存分森林浴を楽しむ。伊豆は海水浴より森林浴さ!とばかりにヒメシャラの木にコアラのごとく抱きつこうとする姉だが、コアラではやはり無理があった。これ以上は言うまい・・。

左【八丁池】

 目の前に突然見えてくる八丁池。その神秘的な静けさは変わってはいなかった。ベンチに座り、池を眺めながら昼食。気持ちよくて、時間が許すならば昼寝をしたいほどだった。ここで初めて二人連れに出会ったが、このあと他の人に会うこともなかった。平日ならではの静かな山行。夏に天城に登る人は少ないのかもしれない。

左【八丁池:展望台より】

 食後、八丁池を回り込んで展望台へ。展望台への分岐にトイレがあった。ペーパー付きの水洗だった。環境に優しい循環方式のようで、まだ新しくきれいだった。以前はここまで来る前に北側の登山道を下っていたので、このトイレや展望台の記憶はない。展望台には今回初めて登ってみた。眺めがよい。振り返れば眼下には八丁池、コースを辿れば万三郎岳が大きく見える。富士山はうっすらと見えたが、運が良ければ南アルプスも見えるようだった。遠望はもやっていてちょっと残念。この展望を最後に下ることにする。

 今回姉がお目当てにしていたヤマボウシやアマギツツジは「とうとう無かったねぇ・・・」と話ながら歩いていると、足下に花びらがあった。それまではエゴノキと思われる落花が多かったのだが、見上げてにっこり。ヤマボウシの木だった。周りにもいくつかあった。アマギツツジは見られなかったが、こうしてひとつでも叶うと嬉しいものである。お姉さん、よかったね。

左【天城峠】

 天城峠への歩きも苦にならないくらい涼しいブナ林だった。3時から4時には下山の予定で夫とは打ち合わせてあったが、携帯で連絡をとってみた。浄蓮の滝の近くを車で走っていた夫と運良くつながり、旧天城トンネルの入口で待ち合わせを再確認。天城峠で方向を間違わないように再度地図で確認して下っていった。そこで夫から「トンネル入口に着いた」と電話が入ったが、そこは前を歩いている姉の耳にも夫の肉声が届くほどの距離だった。

左【旧天城トンネル入口で、母と一緒に】

 入口には休憩舎とトイレがあった。ザックを下ろし、靴を履き替え、一緒に来ていた母も一緒に旧トンネルの中を四人で歩いてみた。嫁二人にこうして歩かされ、イヤとも言わず(言えず?)付き合ってくれる有り難い母なのだ。約百年前の明治時代に作られた趣のあるトンネルで、中はひんやりと冷たく気持ちがよい。今は中に電灯が点いている。タクシーで来た観光客も、ここは下車して歩いているようだ。母の娘時代とほぼ同世代の小説、 川端康成の「伊豆の踊子」に登場する有名なトンネル。当時は10万円くらいで作られたというが、味わいを増し、観光名所として、こうして大切に残されている。

 ここから車に乗って、少し北に向かうと、その川端康成の文学碑がある。見学後は宿の夕飯に遅れないよう、途中で寄る予定だった温泉を取りやめ、急いで戻った。送迎してくれた夫に感謝。夏の天城を歩きたいと言ってくれた姉に感謝。母や兄弟にも感謝!