箱根; 屏風山
(びょうぶやま)

恐るべし、大雪後の低山!!


 H10年1月23日(金);  Member.2人 (伊藤,石原)

【屏風山】

 関所跡9:40〜(大雪の後で、道を間違えロスタイム)〜 屏風山〜甘酒茶屋15:00〜上畑宿16:20

 雪の箱根路を歩きたいと思い選んだコースだが、思いのほか大変だった。15日の大雪の後、踏み跡を見ると何人かは入っていたが途中でほとんどの人が引き返している。登山口から数十メートルは20〜30センチの積雪に踏み跡がついている。これならば大丈夫、心配要らないと思ったのに踏み跡の行方は四方に広がり、その内だんだんと消えてしまった。どれが本当の道筋かはっきり分からない。周りは萱が生い茂っているようだ。雪で押し倒され登山道を塞いでしまっている。初めて来た場所だが箱根の遊歩道だから心配いらないだろうと思ったのは大きな誤りだった。引き返すなら今の内。しかしコースタイムは3時間弱。時間の余裕は十分ある。雲っていたし、雪が降る予報でもあったが、方角は見当がついたからとりあえずもう少し行ってみる事にした。山はおろか雪道にも慣れていない伊藤さんの心の内は計り知れないが、振り返ると明るく楽しんでいる。私と似たもの同士かも知れない。

 様子を見ながら雪で倒れた萱の上を進んで行く。気温は多分氷点下だろう。積雪はしっかりと固まっている。上を歩いても崩れない。伊藤さんにとって、道なき道を行く不安感は大変なものだっただろう。時間と周りの様子、伊藤さんの様子を伺いながら、常に引き返す事も念頭に入れて進む。途中雪がちらちら舞ってきた。雪景色はとってもきれいだ。休憩をこまめに取りながら、ゆっくりと行く。しかし、倒れ込んだ萱の上を歩いたり薮漕ぎしたりで体力は使う。登山道は多分塞がれていただろうが、もしそうでなかったら、もう少し回り道の筈だ。道がはっきりしている積雪期でなければ、そっちを行った方が確実に早い。その道は既に諦めて直登することにした。

 途中何回か、人の足跡を見つけて辿ってみるが、いづれも迷っているようだった。中にはやはり直登している人もいてワカンの跡もある。伊藤さんはしきりと「熊の跡?」と気にしている。

 傾斜はきつい。もちろん軽アイゼンだがとうにつけて登っている。こんな所に初心者の伊藤さんを連れてきて失敗だったと反省しつつ…。

 ここ迄くれば山頂は近いと思ったのは甘かった。この甘い計算に山ではちょくちょくしっぺ返しを喰らっている。

 山頂と思ったそこはなだらかな山頂のように見えてそうではなかった。捜せばおそらく登山道があるだろう。広々とした辺りを探ると赤い印のついた木が立っている。近寄るとまさにビンゴ。左がおそらく山頂方向だと思ったが道がない。それでは右だろうかと進んでみた。下りだ。戻る事になりそうだ。標識はなかったけれど、頑張ったのだからさっきのこんもりした所を山頂という事にしておこう。なだらかな下りを行って、間もなく分岐点。関所跡まで15分と書いてある。「えーっ!こんなに歩いたのに15分で来れる場所だったのー?」と思わず笑ってしまった。

 「どうする?15分でさっきの登山口に戻るけど」と聞く。「体力は大丈夫だからどっちでも良いよ」という返事。甘酒茶屋まで50分と書いてある。登山道に戻った訳でもあるし時間も大丈夫だから、それなら行ってみようかという事になった。

 さっきの分岐点に戻り、先の道を捜すと倒木の向こうに道がある。そこからは順調になだらかな登山道。途中道筋とは違う方向に赤いテープの木が続いている。山頂かと思い行ってみるが違った。引き返し先に行くとまた足跡が散らばっている。登山道を辿ったが又道がない。ではと、山頂かと思われる方を選んだが何やらの塔が立っているだけ。標識はない。そこからはっきりとした登山道がある。今回甘く見た私は小さく載っている地図こそ持ってきたが磁石は持って来なかった。とりあえずしっかりした道筋を選び急な下山道を下った。「んっ?」やはり途中から曖昧になってきた。戻る途中、伊藤さんの外れて落ちていたアイゼンを発見。私のもなくしているのに気がついた。

 さっきの塔の所から元の登山道に戻り、またも倒木の向こうにある道を見つけ進む。少し下ったところでやっと山頂の標識を発見。尼酒茶屋へあと一息。この先はバージンスノー。緊張感と解放感と入り交じった最後の難関は清清しかった。甘酒茶屋で雪の為、バスが途中迄しか来ていないと聞き、予定変更。畑宿まで歩きやっとバスに。ほっ!

“箱根路を軽きザックで浮き浮きと歩けばやはり難所なりけり”
“足跡の無き雪山に踏み入れて恐き静寂にザクザクザクと”