奥秩父;大菩薩嶺
(だいぼさつれい)
お花畑がきれいだった!マツムシソウがいっぱい!

 H5年9月13日(月)当日発 ;
 Member.計3名

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
立川5:54=高尾駅6:12-15=塩山駅7:24=(バス¥480)=大菩薩嶺登山口(900m)8:00〜仙石茶屋(1200m)8:40〜上日川峠(1600m)10:50-11:00〜大菩薩峠(1897m)12:25-13:00〜雷岩〜大菩薩嶺(2056.9m)14:05-15〜丸川峠(1700m)15:30〜大菩薩登山口(900m)17:15-17:20=(タクシー)=塩山駅17:32-17:40発特急かいじ=立川駅18:39


 心配された天候もどうやらもちそうと判断して早朝3時起きで準備してでかけた。メンバーの一人が欠席。立川と日野でそれぞれのメンバーと合流。

 塩山駅に着き、バスも貸切の様にして予定どおり大菩薩登山口を八時に歩き始めた。長い行程を遅れない様にとの配慮で先頭は極力足を止めないように進んだ。いつものようにビデオ片手の私は撮りながら歩き、三人三様の歩みの中、ダンプは通る、マイカ−・タクシ−は通る、といった状態だった。

 と、どうした訳か先頭の先生がどうも気分がすぐれないらしく、休憩した時の様子が気になった。「ベルトがきつかったらしい」と言われ、ゆるめた後は回復されたようだったが。道標がはっきり出ていなかったためにそのまま林道を進んでしまい、日差しは無かったものの微妙に道路からの照り返しがあって、その上ダンプの熱風混じりの排気ガスがきつかったのかもしれない。思わぬ遠回りで1時間ロスしたのにはまいったけれど、きれいに咲いているフシグロセンノウに出会えたし、逆に急登も無く、登りが無理なく体に馴染んだかもしれない。それにしても下調べした私が山道をしっかり見極めなかったのは不覚だった。皆さんに申し訳なく思う。ここで反省、ポイントでは道標にのみ頼らず、地図で確認する事。(基本的な事を怠っていました。深くお詫びします。でも、こんな事もありますよね。良い勉強になりました。)  

 上日川峠(かみにっかわとうげ)の長兵衛山荘の所からようやく山道に入る。殆どの登山客がここまでタクシ−で乗り入れて登って行くそうだが(現にそれとおぼしき乗客を乗せたタクシ−が、何台私達を尻目に追い抜いていったことだろう)、それでは大菩薩に登ったとは言えないと、我等三人は息巻いて、あえてそのプライドを打ち立てたのだった。金時山で会った小父さんの「大菩薩は下から登らなければ本当じゃない」と言われた言葉が裏打ちされて、なんとも嬉しく誇らしく思えた事か。いっぱしの登山者きどりの自己満足と言われてしまえば身も蓋もないが。

 登山道に入ってからは最高に快適だった。こうなるとゲンキンなもので、タクシ−で来て此処から登るのも悪くないなどと思ってしまうのだ。

 一時間半近くかかって大菩薩峠に着いたときはやはり嬉しかった。マツムシソウの咲き誇った傍らで食べた昼食はなんともいえず美味しかった。ガスがたえず吹き上がって流れており、視界は全くきかなかったのは残念だったが他にもリンドウ(今年は初めてで、去年何回となくお目にかかったことをなつかしく思い出した)、ウメバチソウ、トリカブト、アキノキリンソウ、タムラソウ、アキノタムラソウ、シオガマギク、ワレモコウ、シモツケ、シモツケソウ、ハクサンフウロ等あふれるばかりに咲いていて、申し分のないお花畑だった。それが大菩薩嶺まで続いており、今回来れて本当に良かったと思った。賽の河原から妙見ノ頭に至る間などもまるで人工的な造園のようにその自然の美は整っていた。

 大菩薩嶺(最高峰)は樹林に囲まれて、天候のせいだけでなく、見晴らしのきく場所ではなかった。そこから先は、がらっと風景が変わった。苔蒸したしめった原生林で、シダもたくさんあった。時間があれば先生ももっと丁寧に見たかったに違いない。本来今日のような行程では日帰りというのが土台無理なのだ。ゆっくり一泊くらいで来れたら、どんなにのんびりした気分で語り合いながら楽しめるだろう。でも、そんな願望をもちながらこんな風に慌ただしく眼を配り、急傾斜の下りに注意を払い、必死な思いで歩くからこそ小さな発見に胸踊らせるという、山歩きの醍醐味があるのかもしれない。

 丸川峠あたりも小さなお花畑があったが、ガスの為視界がきかなかったのでそこそこに通りすぎた。ここでいよいよ今迄出会ってきた花々ともお別れかと思いつつ、名残を惜しんでマツムシソウ、ウメバチソウ、シモツケソウ、ウスユキソウ、ヤマハハコ、オミナエシ等、手に触れる。眼に焼き付けながら。

 ふもと近くで行きに先生が素早く見つけられたキバナアキギリ、ホッブ(ビ−ルの苦みのもと)の仲間だというカラハナソウ、白くふかふかしたコップ洗いのようなサラシナショウマ、エノコログサ・キンエノコロ・ムラサキエノコロ等エノコログサにも色々あるということや、筑波で見たノリウツギがまだ綺麗に咲いていたこと等、印象に残った草花は数知れない。その上ヒガラの綺麗な鳴声も耳にすることが出来た。珍しく今回は鳥の鳴声があまり聞かれなかった。

 帰りのバスの時間には間に合わなかったがタクシ−をすぐ呼ぶことが出来たので、第一希望の電車に無事乗ることが出来た。塩山の駅で無事登頂を祝って乾杯。怪我もなくて、本当に良かった。登山帰りには不似合いな特急電車で混んでいたため、先生は席が少し離れてしまったが、三人座ることが出来、しばしの間ゆっくり体を休めることが出来たのも幸いだった。

 いつか又、ガスのきれた冴え渡った空と景色をあの大菩薩から眺めたい。

 本日は34,300歩(下山後31,700歩)。

     “入り来る秋さきがけのりんどうや瞬時にめぐる一年(ヒトトセ)の山”
      “よく来たとマツムシソウの迎えをり大菩薩峠に心和ます”
      “派手な花目立たぬ花も皆愛らし人見ゆる目もしばし和らぐ”
      “踏み入れし樹林の梢にしんとしてヒガラの鳴けば胸にしみいる”