【恵那山頂で】

　【コ　ー　ス　】
（〜は歩、休憩時間含む）
黒井沢登山口6：10〜休憩小屋〜野熊ノ池8：00-15〜山頂避難小屋10：15〜
恵那山頂10：20-11：30〜山頂避難小屋11：40〜恵那山最高地点11：45-55〜
見晴台・山頂避難小屋12：00-20〜野熊ノ池14：00-10〜休憩小屋〜黒井沢登山口17：20

　黒井沢登山口に着いたのは昨夜１０時頃。既に数台の車が停車している。車中泊。明け方マイクロバスや自家用車が次々と到着し、賑やかな声が聞こえてくる。私達も５時過ぎに起床し、支度を始める。十数台は入る駐車場は満車状態だ。

　今回は、御嶽山だけの予定だったがそちらを日帰りにして一日あいたため、急遽恵那山にも登る事になった。予備知識をほとんど持たず、紅葉は期待できるのではと思いつつ歩き始める。

　広葉樹林の豊かな沢伝いはとても気持ち良い。水の音が実に心地よい。予想に反して紅葉にはまだ早いようだった。天気は快晴。射し込む陽の光が木々の間に揺れている。台風の影響か倒木もいくつかあった。登山者が多いせいか、それも踏みならされてあまり気にならない。くぐったり越えたりして通過。危険な所はほとんどない。数人の登山者と前後しながら交わす会話も「良い山ですねぇ」「とても気持ち良いですねぇ」と自然に出る。落葉松はやや黄色くなりかかっていた。黄金色にはもう少し先のようだ。

　野熊の池避難小屋は綺麗だった（中は見ていない）。小屋を左に少し行くと、賑やかな人の声が聞こえてきた。野熊の池だった。テーブルとイスがあって、一息つくのに丁度良い。池は浅いようで、底に沈んでいる落ち葉が見える。透明できれいな水だ。先客と入れ代わりに座った私達に、広島から来たという年輩の女性が竹輪を下さった。後から分かった事だがその内の一人は来年７０歳になるという。元気ならば私の登山寿命はあと２０数年保証かなと、気を良くする。人間、先の事は何があるか分からないが、いつまでも元気に歩けたら幸せだ。

　初めの登りに慣れて、池を後にするとコースは比較的緩やかに感じられる。いったんピークを下り、再び登る頃はコメツガなどの針葉樹が多かったように記憶している。どこまでも自然豊かで楽しませてくれる。途中東側の開けたところでは南アルプスの山並が望め、素晴らしい展望だ。天候に恵まれた事も幸いしたが、近くならば、四季を通じて来てみたい。

　山頂の近くに水場があるというのも有り難い。冷たい水を戴いて後一息で山頂避難小屋。ここも中は見なかったがきれいな作りだった。ザックをここに置いて山頂をピストンしている人が多かったが、私達は背負ったまま山頂へ。５分程で着く。

　運良く山頂は空いていた。気になっていた山頂の展望は残念ながら期待外れだった。樹林に囲まれ何も見えない。小屋と山頂の間に一箇所と、小屋の側にも見晴しの良い所があるが、私達は山頂で昼食にした。空は澄み渡った青空で、風もなく、半袖でも暖かい。

　ゆっくり休憩して小屋に戻り、恵那山頂より高いピークがあるというので私だけ行ってみた。これは持って行った昭文社の地図では載っていなかったが、山頂で話した27〜28歳の男性が持っていた地形図にあり、教えてくれたのだった。５分程でそれと思しき場所に着く。祠があり、昨日登った御嶽山が近くに見えた。その奥に乗鞍、更に北アルプスの山々。しばらく一人で眺めていた。こちらは富士見台方向に下る道で、通る人は少ないようだった。昭文社の地図に依ると破線だし、危険箇所がある。別パーティの夫婦連れ二組を見送ったが、どちらも健脚そうだった。あえて行きたいとも思わず展望を楽しんで小屋へ戻った。

　小屋の側の見晴台でも南アルプスや中央アルプス（木曽山脈）の展望を楽しむ。南アルプスの合間に富士山も見える。周りの人と一緒に山座同定しながら眺めるのもまた楽しい。５０代くらいの品の良い女性と少し話したが、埼玉から単独行と聞きその行動力に驚いた。高山も随分と歩かれているようだった。色々と話を聞きたいなと感じた方だったが、山での出会いは名前も知らないままその時の好印象のまま別れる事がほとんどだ（悪印象の場合、その場限りというのは助かるが）。

　山頂を充分堪能して同ルートを下山。沢筋を歩くという事や、池があるという事、山頂の近くに水場があるという事など、どれも気持ちを昂揚させるに充分な要素をいっぱい持った恵那山。もっと年をとってからでも楽しめる山かも知れない。近ければ何度でも登りたい山だ。

　温泉は中津川温泉、クアリゾート湯舟沢（0573-69-5000）。お風呂のみは1000円。AM10:00〜PM10:00（入館受付はPM8:30まで）。シャンプー、リンス、ボディシャンプー、ドライヤーあり。食堂、休憩室など設備充実。別料金でプールも楽しめる。