四国 ;石鎚山
 (いしづちさん1982m)
 山頂のガスが残念でした。

 H11年8月10日(火)・ 天気; 晴、山頂はガス : Member.1人


【石鎚の風となれ】右
 山頂で

(途中の休憩時間含む 。=は車の移動。〜は歩)
(前夜発)
(当日)土小屋7:45〜水場9:00-05〜成就神社分岐9:10〜鎖場の下9:30〜弥山(1974m)9:45-10:15〜面河渓分岐10:20〜愛犬小屋11:20〜面河渓登山口13:12〜渓泉亭13:33

(登山所要時間 5時間48分)


 大学2年の末娘が同行の、久々の家族旅行ということで、否応なしに夫のテンションがあがる。すべて娘の希望を聞き入れ、妻の山三昧の願いは無惨にも却下。それでも四国には山は2つしか無いからと夫が娘に言いくるめ、山には絶対に登らないと言い張る娘も渋々日程の中に入れてくれる(なぜこうも遠慮せにゃならんのだ。でも娘にはついつい笑顔・・・娘には私もあまい!)。

 それでも一つだけは一緒に登ってあげると言う娘に夫は口調を合わせ、時間のかかる石鎚山は「お母さん一人で登ったら?」とすげないお言葉。これはあんまりではないの?と思うものの娘に勝ち目のない私、素直に従うのであった。初めての土地での一人歩きに少々不安があったものの、歩けばアラ不思議、快適そのもの。気持ちの良い山歩きを充分満喫。

 前置きはさておいて、愛知県での法事を済ませ、そのまま旅行へ突入した私達は先ず娘の希望第一弾、神戸ポートピアで遊び、その日のうちに石鎚山登山口まで進むという、双六顔負けの一足飛びだった。しかしこれには思わぬ落とし穴の戻りが用意されていた。言わずと知れた、数日来の大雨による土砂崩れ、通行止めだった。法事と重なり充分情報収集出来ないままの出発で、どれだけ行けるか分からなかったが、そこは車中泊の強み、強気で進む。

 池田までつながった徳島自動車道を経て、一般道R192(途中かんぽの宿で温泉に入る)、そして高知自動車道へ。大豊ICからR439(国道)、R194(国道)、R40(地方道)と進むが、この時既に運転は二人に任せ、私は一人歩きの明日に備え、構わず眠る。車の揺れと時折聞こえる二人の話し声で、R40は瓶ケ森林道手前3キロ程の場所で通行止めと分かる。あ〜ぁ、石鎚山は無理かと半ばあきらめていたら必死に迂回路を捜し、R439まで戻って石鎚スカイラインへと移動してくれていた。オォ、何という道の狭さ、しかも若葉マークの娘の運転だ。これは眠るに限る。

 石鎚スカイライン入口到着はAM2:45(広い駐車場あり)。通行止めの標示は無い。しかしロープが張られ、朝7時にならないと通れない。情報通りだ。だから避けたコースだったのに、結局ここからということになってしまった。6時起床ということで、とにかく眠る。

 村の有線のような感じで音楽やラジオ体操が流れ、7時になってやっと入口が開く。有料と思いきや、料金はとられなかった。途中からみえる石鎚山山頂付近にはガスがかかっていた。ちょっとしたアクシデントがあったが40分程で登山口に到着。私一人を残し、夫と娘はニコニコと去っていく。姥捨て山に置いて行かれた気分がしないでもない。彼等は面河渓でのんびりする予定で、私は下山路をそちらにとることになる。

 歩き出せば気分は爽快。さすが百名山、登山道はよく整備され、とても歩きやすい。のんびりと歩いていくと、いろいろな家族連れに出会った。急登もなく、一人だとあまり休まないせいかいつしか再び一人歩きとなった。陽射しは強くなく、適度に木陰に隠れ、渡る風は爽やかで言うこと無し。このまま難なく山頂に着いてしまうのかと思われた。

 水場から5分ほどの所で成就神社との分岐になり、小屋が出現。神憑り的なそのムードに異様な雰囲気を感じ、そのままそーっと通過。これが二の鎖元小屋だったのだろうか。標識通り迷わず右へと折れて進むがすぐ、これが巻道と分かる。はは〜ん、これが鎖場だったのか、と思い出し、今までの平坦なコースだけでは面白くないから次は頑張るぞと即挑戦。これが二の鎖かな?うん、いけるいける!とちょっといい気分。

 登り切って眼前の鎖を見て今度は唖然とした。嘘でしょ、何なの、このぶっとい鎖は?一気に心臓が高鳴ってしまった。どうしよう・・・側に小屋があり小屋に添って行けば巻道になりそうだ。好奇心と逃げ腰とでしばし呆然と見上げ、意を決して挑戦することにした。一人なのだから慎重に、慎重に、しかし足が震える。下は絶対見ない、ひたすら忠実に三点確保を心掛ける。落ち着いて、落ち着いてと言葉にならない呪文を唱えつつ、涙が出そうになるが、またしても禁断の果実に手を伸ばしてしまった後悔と快感を味わってしまった。

 ゆっくりと時間をかけて登ったてっぺんは石鎚神社の祠があり、そこが弥山のようだった。はて、天狗岳はいずこにと目を懲らすがガスで全く見えない。危険と書かれた標示が目に入ったがどこにも天狗岳方面を指し示すものがない。数人いた人たちはそこが山頂と決め込んでいるようだ。危険と書かれた方向にどうやら天狗岳があるようだがどうしたものかとためらっていた。すると年に何回か石鎚山に登っているという男性(家族連れ)から危険なのでやめた方が良いと言われた。天気が良ければ眼前に見え、10分くらいで行けるが、ガスがかかっているとルートが分かりにくく危険な場所もあるという。この忠告を押し切ってまで行く勇気は私には無かった。素直に従い、「石鎚の風となれ」と刻まれた石碑の前で記念写真を撮り、私の登頂とした。

 左【面河渓で娘と】

 後は下るだけ。面河渓へのルートをとんとんと下って行くが、こちらは踏み後がしっかりしているものの、通る人は少ないようだ。しかしシコクシラベ(シラビソ)とシコクザサ?のそのコースは自然な登山道で歩いていて楽しい。水が豊かで沢に流れ込む水が幾筋も登山道を横切っている。その度に飲んだり、口をすすいだり、顔を洗ったり、手を浸したりと、楽しめる。名前に自信がないが、お花の数も多い。多分シコクフウロだろう、たくさん咲いていた。ちょっと距離が長いが、登山口まで下りれば後は面河渓のきれいな流れをゆっくり楽しみながら歩けるのも嬉しい。

 面河渓下流のホテル渓泉亭近くで夫と娘に無事合流し、次の目的地へ。数日観光が続き、今度は15日に剣山へ登る事となる。

 温泉は道の駅ゆすはらで。500円。広くてきれいな浴室、シャンプーリンス、ドライヤー等完備。土産物店、レストラン、宿泊施設あり。駐車場も広い。ただし、この日は泊まり客多く、一般の食事は断られ、食べられなかった。非常用のレトルトカレーとレトルトご飯で済ます。