奥多摩・川苔山(かわのりやま1363.3m)

 真名井(まない)北稜から山頂へ

 H16年10月2日(土)
  天気;快晴
  Member.2人(夫婦)

右写真【真名井北稜で】


 【コ ー ス 】(〜は歩、休憩時間含む)

上日向バス停7:57〜真名井橋8:02〜真名井北稜取り付き8:06〜(4つ目の鉄塔下で休憩9:10-20)〜伐採跡9:25-30〜(真名井北稜上の尾根の分岐で休憩10:25-40)〜赤杭(あかぐな)尾根合流11:35〜曲ヶ谷北峰分岐11:55〜小屋跡11:58〜川苔山山頂12:05-13:20〜舟井戸〜大根ノ山ノ神〜熊野神社〜鳩ノ巣駅15:30
(所要時間約7時間30分くらい・・登り約4時間、下り約2時間10分、休憩含む)


 久しぶりに奥多摩に行った。予報によると翌日からまた下り坂だが今日は一日気持の良い山日和だった(翌日の日曜は予報通り朝から雨)。電車で約2時間。青梅線川井駅で7:34下車。7:40発のバスに乗り換え、終点の上日向(かみひなた)で降りた。数名のハイカーと乗り合わせたが、上の一枚を脱いでいる間に私達が最後になった。川苔山は何回も登っているが、今回の真名井北稜から川苔山へ向かったのは初めてだった。 一般的なハイキングルートではないため、この真名井北稜では誰一人出会わなかった。川苔山は誰にでも人気の山で土日などはいつも混み合う山なのに、ここでは静かな山歩きが楽しめた。

左【登り口】

 上日向バス停から車道に沿ってそのまま進むと真名井橋があり、左折してその橋を渡る。渡ってから右折し歩いていくと登り口がある。その間400〜500mくらいだろうか。黄色い棒が立っているが、手持ちの昭文社エアリアマップでは黒の破線ルートで一般的な登山道ではないため登山道入口とは書いてない。送電線の鉄塔工事のために整備されたようでしっかりした道がつづいている。ツリフネソウやアキカラマツなどの野草も少しずつ咲いていた。アンパンくらいの大きなキノコもあってびっくりした。美味しそうに見えたがこれは食べられるのだろうか?

左【山道】

 一旦登り切った所に真名井北稜入口と書かれた木札が木にくくりつけられていた。植林もされているため林業関係者もよく通るのだろうが、登山道としてもけっこう歩かれているようだ。尾根伝いに捲き道も多く、踏みならされた道は迷う心配もないように思われた。尾根筋を歩くと両脇は植林と広葉樹の林に囲まれて、その間から涼しい風が渡ってくる。気温は20度前後。日射しは強いが日影になって気持ちの良い散策道だ。冬は広葉樹が落葉して日だまりハイクが楽しめるかもしれない。木々の間からは右に棒ノ折山から川苔山へ延びる尾根、左には赤杭(あかぐな)尾根が見える。

左【伐採地から見える川苔山】

 4つ目の鉄塔の下で休憩した後先へ進むと5分ほどで植林の伐採された場所に出た。ここで視界が開け、赤杭尾根から川苔山に至る稜線が見渡せる。広く開放感を味わえたのはこの場所だけだった。今年は夏日の記録も過去最高ということだが10月に入ったにも関わらずまだ日射しが強い。

左【真名井北稜のピークへ】

 緑豊かで気持ちよいが、真名井北稜のピークに近づくほどに斜面がきつくなった。送電線はすでに右の方へ逸れ、今までのような歩きやすい登山道ばかりでもなくなってきた。やはりここを歩く登山者は少ないようで、かすかに残っている踏み跡もあっちこっちに有るような無いようなという感じだ。捲き道は崩れているところが多く、かえって歩きにくくて危ない。少々きつくてもピークを目指した方が良い。とはいえかなりの急斜面で木やしっかりした根に掴まりながら登っていく。足の脹ら脛といい、アキレス腱といい、伸びきったような状態で、踵にもかなり負担がかかった。

左【素晴らしい樹林帯】

 登り切った所は赤杭尾根から伸びた尾根が、真名井北稜と北への尾根との二方向へと分かれる場所だった。ここで初めて目印のテープがいくつか目についた。きっと下山者用につけられたものだろう。「上日向方面」と矢印のついた小さな木札が木に取り付けられていた。下山路にとるには分かりにくく歩きにくいコースだと思う。初めての人や歩き慣れていない人は要注意の場所だろう。念のため磁石で位置を確認してから、ここで二回目の休憩。そのあと西へと向きをかえて山頂へと向かった。

左【鹿の仕業?】

 平坦な道と急登を何回か繰り返して進んで行く。植林はなくなって広葉樹の樹林帯はますます川苔山らしく素晴らしくなっていく。所々に鹿の仕業か樹皮の剥がれている木も目立つ。鹿の糞もあったが大きな糞もあり、それは何だろうかと気になった。登山道に掘られた大きな穴は熊?と訝しかったが、爪痕などの形跡は無かった。歩いているとガサガサと聞こえてきて、熊か?人か?と目をこらし耳をすましたが、それらしき姿は見えなかった。しかし突然夫が上を見て「リスだよ」と言う。見ればなるほどリスが動きまわっており、落とした木の実の音や動き回る音のようだと分かった。栗やどんぐりが沢山落ちていたが、それは彼等の仕業かもしれないし、台風などの影響かもしれない。自然落果にしては青い実もかなりあった。栗拾いすればかなり収穫があったと思うのだが時間がかかるのでやめた。

左【赤杭尾根の登山道へ】

 眼下に赤杭尾根の登山道との合流地点が見えて来たときは、やっとここまで来たという思いだった。歩き慣らされた平坦な道は気持ちよかったが、そのあともまだまだ登りは続く。案の定夫の溜息が洩れてきた。「あと少しだから」と言うと「おまえのあと少しはあてにならない」と返ってきた。しかし「あとどのくらい?」と聞くから「30分くらいかな!」と答えたら本当に丁度30分で山頂に着いた。途中で休みかけたがもう少しだからゆっくり行こうと言いながら歩いてのタイムだった。この赤杭尾根から山頂にかけてのコースに入ってようやく人と行き合うようになった。蕎麦粒山方面からの道と合流し、少し下ると小屋だった。かつてはジュースやちょっとしたものを売っているときもあったが最近は開いているところを見たことがなかった。しかし珍しく入口が開いており、そこから見えた様子では避難小屋としては使われているようだった。ここから山頂まではあとひと息だ。

左【山頂。青空と正面には雲取山方面が見える】

 見慣れた山頂は青空が広がって気持ちよかった。西正面に雲取山方面、南は大岳山、御前山、三頭山などが見える。何回も登って見ているのに、いつ見ても素晴らしい。大好きな川苔山に、この日登って良かったと心から思った。今回は、まだ歩いたことのなかった真名井山稜というのがあるのに気がついて登ってみたのだが、静かで歩き応えのある楽しいコースだった。山頂には次々と絶え間なく人が来て溢れんばかりだったがラーメンを作り、そのあとコーヒーをいれてゆっくりした。久々に新鮮な気持ちになれ、登りだけで充分満足したので、下山はのんびりと舟井戸から鳩ノ巣駅へ向かうことにした。

 樹林帯で展望はないが歩きやすい登山道で、話しながら徐々にペースをあげて降りていった。登りは徐々にペースが落ちるが、くだりとなるとなぜかこのパターン。夫の闘争心は下りで奮い立つのだ。

 里に近づくとセキヤノアキチョウジ、キバナアキギリに気がついた。他にもノコンギクなどキクの仲間、ミズヒキ、アキカラマツ、ツリフネソウなども咲いていた。熊野神社の方から下り、そのまま道なりに下っていけば鳩ノ巣駅に着く。トイレで着替え、駅前で冷たい飲み物を買ったところでちょうど電車がきた。待ち時間の間に乗り込みセーフ。今日はコース良し、天気良し、久しぶりに満ち足りた日帰りコースだった。