北八ヶ岳; 天狗岳のハズが・・
(きたやつがたけ)

こんなこともあるさ、いろいろあった今回の山行


 H8年2月8日(金)前夜発 ;
  Member.計4名(青木、麦島、奥山、石原)

8日
  渋の湯9:15出発〜黒百合ヒュッテ11:35

9日
 黒百合ヒュッテ9:00出発〜渋の湯10:30


8日
  渋の湯9:15出発〜黒百合ヒュッテ11:35

 1日ずれていたら良いお天気だったのにと言われたときほど悔しいことはない。なんてことはない、今回がその運の悪い山行だった。しかし後から思えば、それがいろいろあった今回の山行に幸いしていたかもしれない。

 事の始まりは前夜出発時点からだった。CL青木さんが「また風邪をひいたらしいよ」と笑いながら言った時はそれでもまだ冗談じみていて、たいしたこと無いと思っていた。裕子さんはプラブーツに少しヒビが入っているようだとこれまた軽く笑っていた。交代の運転で、和気藹々とドライブは続き、私はのんきに鎮座在していた。渋の湯の駐車場でテントを張り仮眠し、翌朝他のパーテイが出発するのを待って私たちも出発。雪道はしっかりトレースがついていて歩きやすかった。私はすこぶる調子がよい。いいぞいいぞと思いながら登っていったが、青木さんの「麦ちゃん、少しペースを落として」のコールにアレ?!当然年長者の私のことを気遣ってくれているのだとばかり思っていた。夏時間に近いタイムで黒百合ヒュッテに到着したが、その頃にはどうやら青木さん本人が調子が悪いということに気がついた。顔は笑っているし声も明るいが、いつもならこまめに動く青木さんなのに、珍しく小屋に座り込んでいる。そして今度は裕子さんがアッと叫ぶ。何事かと見れば彼女のプラブーツが割れている。今日はニュウまで行く予定だったが取りやめとなった。翌日の天狗はこの時点で雲行きが怪しくなった。ところがテントで宴会を決め込んで間もなく怪しいどころではない、外は吹雪となった。そして中は鬼の霍乱…その鬼、いえいえ青木さんは体調悪く、ついにポリシーを曲げて小屋泊り。そうなると我々も何となく手持ち無沙汰になって、早々に片づけ、シュラフに潜り込んでしまった。体を温めながらおしゃべりでもと思ったが、昨夜の寝不足からか、早くも皆眠りについてしまった。

9日
 黒百合ヒュッテ9:00出発〜渋の湯10:30

 4時起床の予定だったが寝坊して5時になってしまった。耳を澄ませばテントにバラバラとあたる音がする。まだ降っているらしい。とにかく起きる。暗い中でとりあえず昨夜の豚汁の残りで雑炊を作って食べているうちに明るくなった。外を覗いてみるとやっぱり吹雪いている。30〜40センチは積もっているようだ。がっかりだった。もし晴れていたら、裕子さんが風邪気味の青木さんの靴を借り、天狗岳へは三人で行く予定だった。でもこれではしょうがない。小屋へ荷物を運びテントを片づけた。私は雪の中でのテントは初めてだったが、スリーシーズン用のシュラフしか持ち合わせていなかったにもかかわらず、青木さんからお借りしたのと重ね合わせたり、いろいろ着込んだりして寒さからは免れる事が出来た。でも氷点下12度を体感して、やはりオールシーズン用が必要だと痛感。そして雪の中でのテント設営と片づけは面白がってやっていたが、これってかなり大変?と思えなくもない。片や小屋泊りを体験した青木さんはすっかり小屋が気に入ってしまった様子。「そうでしょう」とテント三人組は声を揃える。

 黒百合ヒュッテより登る人、下る人、それぞれ出て再び戻ってきた。どちらもトレースがないという。私たちは下山と決定していたが、いくらか元気を取り戻した青木さんはそれを聞いて、俄然張り切った。支度を整えて、青木さんを先頭に猛然と下山。いやにペースが早い。一生懸命ついていったが雪に足ははまるし登りで足を滑らすし、とうとう息が乱れてしまった。途中ひと休みして、やっと皆元気にふざけたり、写真を撮ったり。改めて眺めるその樹林の美しさは何とも言えない。雪をかぶった針葉樹林、クリスマスに欲しい風景だ。そこからは一気に駆け下り、ゆっくり休憩した割に1時間半で到着。ピークは踏めず、結果的に安全で、無理のない歩きとなった。

PS.渋ノ湯を車で離れる時、タイヤがスリップして山側にドン!車は損傷したが怪我人はなくて幸いだった。しかし、運転していた本人落ち込む。