奥秩父・甲武信ヶ岳〜三宝山
(こぶしがたけ2475m〜さんぽうざん2483.3m)(クリック地図)
石楠花のきれいな時期に行きそびれて残念だったが、のんびり、まったり山行で!
もうき平を基点にした周回ルートは沢と自然林の苔むした登山道!涼しくて最高♪
 H18年07月29-30日(土日)
  天気;初日晴一時j雨、二日目晴
  Member.3人(石井・石原夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
1日目;毛木平(もうきだいら1433m)7:00〜ナメ滝8:50-9:05〜水源地標10:25-40〜分岐(稜線)11:00〜甲武信ヶ岳山頂(2475m)11:25-12:25〜甲武信小屋12:40(テント泊)〜木賊山山頂(とくさやま2468.6m)までピストン


2日目;
甲武信小屋7:00〜甲武信ヶ岳山頂7:20-8:30〜三宝山9:00-10:00(三宝岩で展望)〜尻岩10:30〜武信白岩山(2288m)〜(昼食11:05-55)〜大山12:25〜十文字峠13:00-40〜水場(休憩)〜毛木平14:55

【甲武信ヶ岳山頂で:石井さんと】

 十文字峠のシャクナゲは見事だと聞いていたので、このコースはその時期に行こうと長年思っていた。しかし今年も行きそびれてしまった。噂ではどうも今年は当たり年というのではなかったらしい。それならまた改めて行こう・・ということで、今回はトシちゃんの百名山完登に向けて行くことにした。私は以前徳ちゃん新道をピストンで行ったことがある。10年ぶりになるが、今回は毛木平を基点に周回コースをとることにした。

 梅雨時でもあり、まだ行ったことのない沢沿いのコースは心配で、いくつかネット検索。大丈夫そうと判断。いざとなれば尾根歩きもとれるのでルート選びには心配ないだろうということで決行。幸い天気予報は雨マークから徐々に好転。

 日帰り可能なコースだが、いつものんびり歩きたいモードのトシちゃん、ここも一泊でのんびりまったり歩きたいと主張。もう少しロングなコースなら分かるのだが登り4時間、下りを三宝山ルートにしたとしても5時間で合計9時間。重い荷物を担ぐより、軽くして日帰りにしようよ・・・と出す私のシグナルを察するや、それをトシちゃんは遮断する。・・・とにかく一泊装備で行くことになった。

 前日になって今年の二王子岳を一緒に歩いた石井さんことウッチーから連絡が入り、一緒に行くことになった♪。

【一日目:7/29(土)】 前夜10時に待ち合わせ、ETC割引で中央道へ。トシちゃん運転で毛木平の駐車場には深夜1時頃到着(左写真は朝写したもの)。毛木平までの道は途中から少しだけ砂利道になるが、整備されている。

 駐車場は昨年出来たものらしい。60台可とのことでトイレもあり。女性用は和式2、洋式1。洋式は洗面台つきで一坪くらいの広さがありびっくりした。トイレットペーパーもついている。

 近くには自販機もあり。

 三人なので車の側にテントを張り就寝。朝は6時起床でテント撤収、準備してからゆっくり出発。空は明るく晴れ。

 嬉しいことにテントは今回ウッチーが持ってきてくれた。3〜4人用で、しかも新品。テントデビューだ♪

 車は駐車場より先はゲートが閉まっていて入れない。入口に入山禁止と書かれた看板があり、一瞬あれ?とハテナマーク!よく見ると勝手に山菜等を採らないようにということらしい。マジックで登山者はオッケーと書き添えられていたが、よく見ないと分からない。どうも拒否されているような気持ちになる。車で来る途中にも入山禁止の旗がいくつか立てられていたし・・・・

 しばらくは林道を行く。

 ともかく群生しているというベニバナイチヤクソウを捜しながら歩いたが、見つけられなかった。帰るとき気付いたが、駐車場まで来る途中の両脇に確かにびっしり!・・・と、もうすでに終わっていた、残念。

 林道沿いに花は少なかった。オオマツヨイグサ、ウツボグサ、ホタルブクロ、ツルアジサイ、ヤマオダマキ、マルバダケブキ、タツナミソウ、タニギキョウなどがわずかに咲き残っていただけ。山に入ると花はほとんど見られなくなった。
オオマツヨイグサ ウツボグサ ホタルブクロ イケマ? タツナミソウ

 大山祇神社の前を通過。林道はこの辺りまでか、登山道は右へと曲がる。しかし登山道は広くなだらかで歩きやすい。

 慰霊碑の前を通過。礎は苔むしてどっしりと登山者を見守っている。

 この遭難碑は登山者のかと思ったら、そうではないらしい。昭和13年9月13日に集中豪雨で山津波が発生し、林業従事者9名亡くなったからなのだそうだ。山津波?土砂崩れのこと?(下記注釈)
※注
【山津波(土石流、てっぽう水とも呼ばれる)】 地震による斜面災害のひとつ。斜面が崩壊することによって河川が堰き止められて湖ができることにより発生する。水がたまり続けてある限界を超えると堰が耐えられなくなり、堰き止められた水や土砂が一気に下流を襲う。地震以外の大雨などによる斜面の崩壊でも引き起こされる。川の状態が地震後にいつもと違うとき(たとえば川の水が涸れる、川が急に濁る)は、注意する必要がある。

 日差しの差し込む明るい道もあるけれど・・・

 概ね背の高い天然木の樹林帯。沢沿いの登山道のせいか涼しくて心地よい。

 道端の石は苔が生えているが、空の青さ、木々の緑が明るい。

 

 間に10分ほどの休憩をいれ、2時間弱でナメ滝に到着。

 可哀想に木に食い込んでいる・・

 ここで休憩。

 ナメ滝をすぎるとこのような木道があるが、全コースを通してあまり手が加えられていない自然な登山道が続く。これは嬉しい。

 何度か沢を交差する。時には小さな木橋も。

 沢沿いの登山道は給水に事欠かず、しかも涼やかで最高♪(私達はあまり生水は飲まないけれど、ウッチーは飲んでいた)

 沢沿いで休憩した後、また歩き出す。一泊装備にしては順調。ここでトシちゃんの琴線に触れる甘いささやきをつぶやいてみる・・・。

sanae「一日で歩けるコースだね〜、今日下りて明日木曽駒という手もあるよ〜♪ ザックは夏山トレーニングということでサ!」 4時間もあれば山頂。何より時間がもったいないと私は思うのだった。

 トシちゃんのちっこい目が一瞬輝いた!ように見えた!ここで急いではいけない。
sanae「山頂での様子でまた考えようか・・」

「そうだな!」とトシちゃん。よし、後一押し。

涼しくて、緩やかな登りだが汗はポタポタ滴り落ちる。

 思いがけなく早い時点で水源地に辿りつく。立派な標識が立っていた。なるほどこの辺りから水が流れ出している。時にはこのあたりも水が無くなる事もあるようなので、給水には要注意。

 山頂には水場もあるが、300mほど下る。小屋では1リットル50円。どちらの選択肢もあったが、トシちゃん、ここから担ぎ上げると言う。え〜っ・・・日帰りの選択肢が・・・。

 エ〜イ、こうなれば夏山トレーニングだい!私とトシちゃんはここから3,5Lずつ持ち上げることにした。

 ココが源流。水が流れ出ている所。保護するためかロープが張られ、入れる場所が決められている。

 千曲川、信濃川の源流の水。日本一長い川の元からの取水というのが嬉しかったりする。それを持ち上げるのも何となく誇らしいような・・・単純!

 ただ、小屋に着いて、水場にまた下りて行くのがイヤだという話も・・・。お金は別の水に・・・

 水源地を出発する頃になって雨が降ってきた。小降りだったので傘で済ます。

 水源地から20分程で稜線へ。

 山頂に向かう途中に、待っていてくれた?咲き残りのシャクナゲ。

 最後の急な登りを頑張れば

 もうすぐ山頂!ウッチーが先に到着!

 甲武信ヶ岳山頂。トシちゃん百名山93座目!

 残念ながらガスがかかり展望がなかった。誰もいなかったが晴れるのを待っている間に何人か登ってきた。日帰りが多い。

 しかしこのまま下りては山頂展望に未練が残る。
 「せっかくだから泊まろうよ」とトシちゃん。
 「テントのデビュー戦ですから〜」とウッチー!
 かくして2対1でテント泊に決定・・・

 昼食をとりながら1時間粘ったが、結局晴れず小屋へ下山。

 丁度徳ちゃんが出てきてご挨拶。なんと素敵なテラスが出来ている。5年ほど前に徳ちゃんが作ったものだと言う。十文字小屋のおかみさんが土台の石を運んで手伝ったと翌日聞いたけど、すごい!

 この日は小屋周辺賑やかだった。登山者にしてはちょっと様子が違うなと思ったら、皆大工さんだという。ここも浄化槽設備のトイレになるそうだ。まだ始まったばかりでヘリが資材など運んでくるのを待っていた。完成予定は10月末とのこと。

 ということで、まだヘリが来る可能性があるというのでテント設営はお預け。

 テン場を申し込みビールを買って、小屋の中で一休み(テント場一人300円。ビール500円)。とりあえず乾杯。

 そしてここでheppoco隊のお友達の北爪さんにもご挨拶♪優しそうで感じのいい人だった!

 梅酒とチャンポンで飲んだウッチーとトシちゃんは珍しく伸びてしまった。

 

 時間があったので私は甲武信ヶ岳とは反対側の木賊山(とくさやま)へ。山頂は狭く展望はないが、三角点とベンチがある(写真手前は三角点)。以前は徳ちゃん新道のピストンだからここは通っていた。なんとなく思い出す。


 再び、来た道をもどる。咲き残りのシャクナゲを眺めながら途中のガレた斜面で一人ノンビリと展望を楽しむ。(せっかくなのでセルフ撮り!(^-^;)

 正面には甲武信ヶ岳(下の写真)を中心に右へ明日のコースの三宝山、左へ国師が岳への稜線が見える。さらに黒金山方面(乾徳山は隠れているはず)も見えていた。

 甲武信ヶ岳の左斜面が上からざっくり削り取られているよう・・土砂崩れ?いつごろからだろう?

左:国師が岳へ続く稜線   中央:甲武信ヶ岳   右:三宝山 (木賊山斜面より)

 テン場に戻るとなんと設営済み。ヘリはもう来ないようで、早めに設営できたらしい。ウッチーのオニューのテント初お披露目!3〜4人用で中は広く居住性ばっちり!(右上のテントはモンベルの一人用?)

 荷物をテントの中に入れ、木賊山へ行かなかった2人と少し上の展望台へ(4,5分)。

 展望台から甲武信ヶ岳を望む。木賊山へ行く途中の斜面から見るのと同様に南側の眺めもよかった。

 テントにもどり、夕飯の支度。一泊だし三人だから豪勢なメニュー♪
 ・冷やしうどん(水でほぐすだけ)
  (薬味:長ネギ、茗荷、おかか、大葉)
 ・ウィンナーと玉ねぎ、キャベツ炒め物
 ・肉団子(ボイルするだけ)
 ・海藻サラダ(キュウリとプチトマト入り)
 ・梅酒(ウッチーは体調回復せず、味噌汁)
 ・つまみ(ナッツ、イカクン)

翌朝はサラスパ(明太子味、大葉入り)と即席漬物(キャベツ、茗荷、キュウリ、根しょうが)と温かい飲み物(各自好みで)

【二日目:7/30(日)】

 夜中はずっと雨だった。のんびり起きようと思っていたがヘリが6時にはくるというので5時半までにテント撤収しなければならなかった。こんな天気でヘリは飛ぶのかと思っていたら、起きる頃には空が明るくなってきた。

 外を覗くと雨はあがり木の間からきれいなご来光!先にテントを撤収し、小屋のほうへ移動。この頃山頂はすっきり晴天のようだったが、私達はゆっくり小屋の中を借りて朝食、そしてスタッフの皆さんと記念写真を撮って山頂へと向かった。

 小屋に泊まった人は既にみな出発し、私達は最後だった。お陰でだれもいない静かな山頂。しかし、すでにガスがまたもや周囲を隠してしまった。1時間以上待ってみたが時折流れるガスの合間に周囲の山が部分的に見渡せるだけ。

 きりがないので諦めて三宝山へ。下って、登りにかかると明るくなってきた。

 振り返ると甲武信ヶ岳山頂は晴れ渡っている。

 木に囲まれ居心地の良い三宝山山頂。ここにも咲き残ったシャクナゲの花が少しだけ咲いていた。

 山頂の解放部からは木賊山と甲武信ヶ岳がきれいに見える。そして目に付いたのが目と鼻の先にある岩峰、三宝岩。地図には道があると書いてある。気付かず通り過ぎていたのでザックは置いたまま少し戻って行って見る(2、3分)。

 三宝岩で。左写真ではちょっと雲がかかっているが、南アルプス、八ヶ岳も一望。すっきりと晴れていれば北アルプスも見えるのかもしれない。

 下の左写真は木賊山と甲武信ヶ岳。こうして見ると、地味な山にみえる。下の右写真は国師ヶ岳と金峰山。肉眼では五丈岩も見えた。

 甲武信ヶ岳山頂での展望はここで充分堪能。朝のうちはヘリがガスで動けないようだったが、この頃になってようやく頻繁に資材を運び入れる様子が眺められた。

 

 三宝岩で充分展望を楽しんだ後は心置きなく先へと進んだ。そして30分ほど下って尻岩。ということで、お尻の揃い踏み!

 そしてこのあとは武信白岩山への登り。大きな岩を眺めながら木の根に注意して。コメツガの樹林帯に通る風も心地よい。



 危うく巻きそうになった武信白岩山山頂。下りでも道を外しそうになり軌道修正して登山道へ戻る。

 登山道は木の根がこんなにも晒されて。

 登りに転じ、小さな梯子を登る(下の左写真)と、そこもまた見晴らしが良かった(下の右写真)。そこで展望を楽しみながら昼食。


  ↑ 左:武信白岩山  右:三宝山

 岩に攀じ登り(すぐ登りたがる・・)、行く手を見ると

 更なるピークが見える!標識も立っているから本来の武信白岩山のようだ。しかし進んでみると、危険なので登山は禁止と書いてあった。巻道を行くようになる(エアリアマップにも記述あり)。

 途中両神山が眺められた。

 そして、登りに。

 登りきると左に展望台、右へ行くと大山山頂。写真だけ撮って、休まず先へ。

 大山を下る時、正面に両神山が大きく見える。

 そして足元は鎖場。

 と言いつつ、誰も鎖を掴んでいない・・・スタンスはしっかりあるので岩に掴まりながら下りている。

 苔むした登山道やら、木の根の張り出した登山道をくだって行くと、

 間もなく十文字小屋に到着。ウッチーはここで渇いた喉にビールを一気!

 私は手拭いを購入。おかみさんは床を磨いていたが、手を休めてすこしおしゃべり。

 トイレは虫が多かったのでパス。

 ここでもの〜んびり休んでから最後の下り。

 まだ青々している広葉樹林帯の九十九折の道には日が差し込み、明るくて気持ちいい。

 水場で最後の休憩。冷たくて美味しかった。

 りっぱな橋を渡ると、毛木平は近い。

 遊歩道と合流し、前日歩いた林道を辿って毛木平駐車場に到着。

 時間をかけてのんびり、まったり楽しんだ山行だった。