奥多摩・雲取山〜酉谷山
 (くもとりやま 2017.1m・とりだにやま1718.3m))

静かな山域を求めて有雪期の長沢背稜へ。今年の干支、酉年にちなんで酉谷山に。
三連休晴天に恵まれ山頂展望は素晴らしかった!

 H17年2月11-13日(金ー日)
  天気;三日間晴
  Member.2人(夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
一日目(11日)
鴨沢(540m)7:30〜ブナ坂12:13〜奥多摩小屋(1746m)12:55-13:15〜雲取山避難小屋(山頂2017.1m)14:30
(所要時間7時間・・休憩含む
 標高差約1477m)

二日目(12日)
雲取山(山頂2017.1m)6:45〜雲取山荘7:25〜大ダワ(1710m)7:45〜芋の木ドッケ(1946m)9:10-45〜長沢山(1738m)12:35〜水松山分岐(あららぎやま1699.2m)13:45〜天祖山分岐14:15〜ビバーク(テント泊)16:30
(所要時間約9時間45分くらい・・休憩含む
 大ダワから芋の木ドッケの標高差236m)

三日目(13日)
テント場(約1600m)7:15〜酉谷山登り口(約1550m)7:40〜酉谷山山頂(1718.3m)8:45-9:20〜酉谷避難小屋分岐9:45〜ハナト岩(約1560m)12:15-13:10〜一杯水避難小屋13:50〜東日原バス停(610m)16:00
(所要時間約8時間45分くらい・・休憩含む
 酉谷山、登り口からの標高差約168m)

【今年の干支にちなんで酉谷山】
参考:エアリアマップ夏道コースタイム
鴨沢〜3時間20分〜ブナ坂〜1時間30分〜雲取山避難小屋〜40分〜大ダワ〜40分〜芋の木ドッケ〜1時間40分〜水松山〜1時間40分〜酉谷峠〜2時間10分〜一杯水避難小屋〜1時間40分〜東日原


先週ハードな山行をしたばかりだが、せっかくの三連休なので近くの奥多摩へ行くことにした。最初は谷川方面も考えたのだが今年は雪が多そうで、二人ではきっと手に余ってしまっただろう。今回はそこそこの雪山でのんびり歩こう。やはり静かなルートが良いと思い雲取山から長沢背稜へのルートを選んだ。そして目的のひとつに、今年の干支にちなんで酉と名のつく酉谷山に行きたいという気持ちがあった。酉谷山へのルートは有雪期に一度東日原から天祖山へ抜けたことがある。このとき山頂をきちんと踏んでいなかったが、今回無事目的を達成。捲き道の多い地味なルートだが、あまり人の通らない静かな山域だったのが良かった。

【一日目11日)】
 当日4:43の始発に乗るため私は自転車で駅に向かう。夫はカブで初めから楽チンだ。なのにあろうことか、私の自転車が走り始めてまもなく前輪のパンク!戻って取り替えると時間が無くなる・・・だましだまし様子を見ながらそのまま駅まで向かうことにした。体重プラス20キロ弱のザックでだましようもないが、なんとか駅の駐輪場に到着。家を早めに出たので時間には充分間に合う。ヨカッタ!
【だんだんと雪道になってきた】


 立川駅で乗り換え。青梅線は相変わらず寒い。温かかったら少し眠れたのに・・・。奥多摩駅から鴨沢西行きのバスに乗る。乗客7人、うち6人が鴨沢下車だった。身軽な単独者を見送ってのんびりと登っていった。歩き始めはまだ雪が無い。スパッツはつけず。雪が出てきてもシャーベット状でアイゼンをつけるほどではない。緩やかな傾斜で今のところ夫の調子も良いようだ。八ヶ岳の寒さを体験したばかりのせいか、零度が温かく感じる。
【奥多摩小屋の前を通過】


 七ツ石分岐のあたりで念のためアイゼンをつけた。しかし雪の無いところが出てきたり腐っていたりして、要らなかったようだ。ブナ坂を過ぎ、今日の目的地奥多摩小屋に着いたところで外した。荷の重さがさすがに堪えていたが、まだ13時。少し時間が早い。テントを張ってのんびりしたいところだが、山頂避難小屋までは夏道で1時間弱。明日早朝登るよりはと、一休みしてからまたゆっくり登ることにした。
【左の山頂に避難小屋が見える】


大勢の人で踏みならされた雪道はアイゼンがなくとも歩きやすい。途中見えていた富士山が見えなくなってはいたが、天気は良い。山頂の避難小屋も見通せて、気持ちのよい登りだった。
【山頂の雲取山避難小屋より振り返る】


避難小屋の中は広くてきれいだ。まだ3,4人しかいなかったので自由に場所を選べた。トイレは個室一つと男性用一つしかない。残念ながらかなり汚い。オーバーユースが問題なのだろうが、東京都にしてはお粗末に感じる。とりあえず山頂に行ってみる。
【山頂。残念ながら富士山は見えない】


山頂からの展望は良かったが、富士山はもう見えなかった。天気は最高だ。上着を着なくても大丈夫なくらい穏やかだった。山頂の山座同定盤で周囲の山を確認。大菩薩嶺の向こうには南アルプスも良く見えた。北アルプスのほうは樹林で遮られていたが山並みが多少分かった。

 小屋に戻り早々と食事の用意。メニューは豚汁ならぬ鶏汁。野菜など具沢山の味噌味だ。そのまえにおでんやつまみと梅酒のお湯割で乾杯。しかし目の前の単独男性のメニューはより豪華だった。羨ましがる夫。おいおい、下準備して持ち上げたのはこの私、羨むよりちょっとは感謝しなさい!小屋は気を遣うからと嫌がっていたけれど、小屋の中で誰よりも先にいびきをかいていたのはアナタ!
【朝の山頂。富士山が見えて!】


【二日目12日)】
 5時起床。夜景がまだとてもきれいだった。富士山が薄暗い中きれいに姿を見せていた。朝食を済ませ支度を終えてから6時半ごろ山頂へ。きれいな富士山を写したくてしばらく山頂展望を楽しむ。

 その後長沢背稜へ向かうため下山。しかしその頃になると雲取山荘に泊まった人が次々と登ってくる。度々道を譲っているためなかなか下へ下りられなかった。
【なんとMartyさんとだめちゃんに遭遇】


 何回目かよけて登る人を見送っていたとき、一人の男性がストップした。サングラスをかけていたので分からなかったが、なぜ早く通り過ぎないのだろうと思った瞬間「あっ!」と思わず声が出た。「石原さん」と声をかけてくれたその人はなんとMartyさんだった。もうびっくり。先月の矢倉岳の時以来だ。そのときお目にかかっていなかったら気づかなかったかもしれない。夫を呼んだがもう声が届かず。Martyさんはだめちゃんと一緒で、後から登ってくるというのでそこで少し待っていた。狭い登山道で次々登ってくるのでゆっくり話せなかったが思わぬところで思わぬ再会にただただびっくりすると同時にとっても感激!前日私たちより後に鴨沢から登り、この日同ルートを下山するという。一緒に歩けなくて残念だったが嬉しい遭遇だった。
【芋の木ドッケで】


大ダワまで男坂を下る。分岐から芋の木ドッケを登る。踏み跡はあったがやはり行く人は少ない。途端に歩きにくい登りになった。山頂までの標高差は236m。急でかなりきつい。
 山頂を過ぎると雑木林が広がって明るく気持ちよい。そこで大休止。
 そこへ長沢背稜から登ってきた人がいた。わかんを履いていた。下るとなるほどわかんの快適そうなのが分かる。私たちは今回わかんは持ってこなかった。つぼ足はズボズボはまって極端にペースが落ちた。
【今は落葉の時期ならではの景観が楽しめる】


ヤケノ頭らしい所、桂谷ノ頭らしい所を通過。天気がよく陽だまりハイクが気持ちいい。長沢山になってようやく名前が出ていた。雑木林は桜も多く、その頃はきれいだろうなと思いながら通り過ぎていく。
 水松山方面の稜線沿いにルート無く、そのまま下る。以前天祖山に向かったとき確か分岐に標識があったはずだが・・・と思っていたらどうやらその前に天祖山へのルートに向かってしまっている。少し戻って捲き道を行くが、これが地図上のルートとは違う遠回りの捲き道。以前見た標識はその捲き道の途中にあった。直接水松山の稜線へと向かう踏み跡は消えかかっており、最近人が通った気配はなかった。
【良いテン場を見つけて】


 この捲き道がとても長く、16時半ごろ、酉谷の避難小屋手前でテントを張ることにした。酉谷の避難小屋は小さいが快適だったのでお気に入りだったのだが、結局翌日の酉谷山へ行くにはこの方が良かったことになる。
 夕食はペミカンのビーフシチュー。せっかく作ってきたのに夫は疲れ果てあまり食欲なし。それでも今日もおでんと梅酒のお湯割でかんぱ〜い!
 寝入りばなに雪が降り始めたらしくテントにあたる音。
【酉谷山登り口、踏み跡はほとんど消えていた】


【三日目13日)】
 5時起床。やはり前夜雪が少し降っていた。昨夜の残りで食事を済ませ、テント撤収。まだ誰も通っていない登山道、新雪がうっすらと積もっている上を歩くのは気持ち良い。
 酉谷の避難小屋はもう見える所まで来ていたが、歩けばまだけっこうな距離だった。途中に酉谷山への登り口があり登っていく。もし昨日ならばそのまま小屋へ向かい、小屋から山頂ピストンとなっただろう。
 山頂は想像以上に遠かった。踏み跡はほとんど消えかかっており、やはりズボズボとはまった。途中トップを変わり私が先に行く。山頂かなと思うたびに裏切られ、それだけに登り甲斐のある山であった。
【酉谷山からの富士山】


右手には昨日歩いた山並み、左手には両神山や浅間山、遠方の白い山は谷川、北アルプスだろうか。雑木林のこの落葉の時期ならではの景観だ。今日も素晴らしい晴天。なんと三日間天気に恵まれた。気持ちの良い陽だまりハイクが出来てラッキー!
 ようやく立った山頂。なんと富士山が見えるではないか!期待していなかっただけにびっくり。これも木々が芽吹けば展望できなくなりそう。しかし新緑も紅葉も素晴らしいに違いない山ではある。
【氷ミルクが美味しい!山頂で】

 雪とコンデンスミルクで氷ミルクなど作って食べながら誰もいない山頂でのんびり過ごす。
 人の少ない静かな山行だ。

【酉谷山を下山】

【山頂に雲がかかったが雲取山からの歩いた稜線】



 酉谷山を下ると酉谷峠で、側に避難小屋が建っている。
 峠を過ぎればほとんど捲き道のつまらないコースではある。それでも谷側に落ちないよう気も遣うし所々には梯子を横にしたような木橋にのっている雪の上を通ったりしてちょっと緊張する箇所もある。
 途中で3頭の鹿を見かけた。真っ白いお尻がかわいかった。登山道にはコロコロウンチもいっぱいあったっけ。
 ハナト岩は南面の展望が素晴らしい。酉谷山から雲取山、石尾根から山容の目立つ大岳山まで一望。眺めながらラーメン、甘酒など作って大休憩。雪山は水に事欠かないのがありがたい。
 休憩の後、夫の元気も回復して一杯水へ。多少のアップダウンがあってもあとは下山するだけ。三ツドッケはまたこの次にしよう。  
【珍しい杉の木(右)、ねじくれた同士?】

 一杯水避難小屋は随分きれいになった印象。中は見ないで通過。まもなく雪面に動物の負傷の痕か足跡にかなりの出血が見られ、それがしばらく続いていた。雪の上だけに歩いていると目立って痛々しく気になった。
 一時間ほど下って滝入ノ峰をまいたあたりで雪道がアイスバーンになってきた。休憩しながらアイゼン装着。これが正解。ザクザクと気持ちよく下りていく。
 下山した頃粉雪が舞い始めてきれいだった。16時ごろ下山、16:17発の奥多摩駅行きに乗って、しばらく走っているうちに雪はやんだ。

 この日朝の気温はマイナス14度、昼ごろはマイナス4〜5度。下山したときはプラス2度で暑く感じた。