北ア縦走・黒部五郎岳〜針ノ木岳:完
(クリック地図) (はりのきとうげ2536m・はりのきだけ2820.6m・れんげだけ2798.6m)
      9日目(針ノ木峠テント場〜針ノ木岳PH〜蓮華岳PH〜テント撤収〜扇沢)
 縦走はいよいよ最終日。針ノ木岳からスバリ岳を経て種池へ向かい、もう一泊の予定でしたがもう体力の限界でした。扇沢へ下りられる場所まで来た安心感でしょうか、体が敏感に反応してしまいました(^o^) そうとなれば気力を絞って何とか針ノ木岳へ・・そして蓮華岳も行って(^^ゞ大雪渓から下山します。お陰で思わぬ遭遇もありました。
H19年8月10-18日(金ー土)八泊九日
  天気;全日概ね快晴
  Member.2人

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 

8/10(金):折立〜太郎平テント場
8/11(土):テント場〜黒部五郎岳〜黒部五郎テント場
8/12(日):テント場〜三俣蓮華岳テント場〜鷲羽岳ph
8/13(月):テント場〜黒部源流地標〜岩苔乗越〜祖父岳〜雲ノ平〜高天原(山荘泊)
8/14(火):高天原〜岩苔乗越〜水晶岳〜野口五郎岳(小屋泊)
8/15(水):野口五郎小屋〜烏帽子小屋テント場
8/16(木):テント場〜烏帽子岳〜南沢岳〜不動岳〜船窪岳〜針ノ木沢(ビバーク)
8/17(金):針ノ木沢〜針ノ木峠テント場
8/18(土):針ノ木峠〜針ノ木岳ph〜蓮華岳ph〜扇沢
↑ 針ノ木岳山頂で

 朝起きると先ずテントの外を見ます。雨は降っていませんでしたが、ガスが立ちこめていました。

 突然悲鳴をあげた体でしたが、湿布がきいたのか、なんとか大丈夫そうです。そこでご来光は無理そうですが、簡単に朝食を済ませ、ナップザックで針ノ木岳に行くことにします。


4:40
 出発。 

 登り始めて25分後くらい、5時5分くらいにトシちゃんが突然興奮!私に聞こえるくらいの声で「熊だ、熊がいる!」と、登山道の右下(東面)を指差します。
 見ると100メートルと離れていないところに真っ黒な大きな熊が悠々と谷の方に向かって歩いているところでした。写真撮るのを忘れ見とれてしまいました。

(写真に撮れてないです・・・^_^;)

 光の足りないところで離れた場所の熊を、一眼ならきれいに撮れたのでしょうか。繁みや岩陰もありましたし、姿が現れても我らのコンデジでは無理がありました。というかとっさのことで、カメラの気構えも何も無く・・・失敗でした^_^;

 でも熊が出ると思われる沢沿いでは遇わず、このような稜線の登山道で遭遇するとは!登山道上でバッタリしなくてよかったです^_^;

 あとから小屋の人の話では、この山塊はけっこう多いということです。 

5:40−6:10
 針ノ木岳山頂。

 展望は残念ながらありません。今回の長い山行で初めてです。それだけ天気に恵まれた山行でした。展望がダメでも熊との遭遇がありましたし、ずっと素晴らしい展望を眺めながらでしたからこれ以上望んでは贅沢というものです^_^ 

 それとも我らがこの先の稜線に未練を残さず下山できるように隠してくれたのでしょうか(^^ゞ

 ハイ、ポーズ!^_^;

【↑ ウサギギク】

【↑ ジンジソウ】

【↑ ウメバチソウ】
 空荷だったのでお花を眺めながらのんびりと同ルートを引き返します。

 歩けば体の調子も戻ってくるようでした。

 ガスがとれて、蓮華岳が見えます♪

 針ノ木山頂はまだ隠れています。

 蓮華岳がくっきりと見え、青空も見えてきました。sanaeの足の具合も良いので、このまま蓮華岳に向かうことにします。

7:00
 テントにはもどらずそのまま蓮華岳へ。

 小屋周辺は数名の人たちが登る準備をしています。峠から針ノ木岳を仰ぎますが、相変わらずのガスです。

 蓮華岳へ。

コマクサがたくさん咲いていました。
鳥はイワヒバリでしょうか?



 山頂かと思ったら祠があります。山頂標示はこの先でしたがもう近いです。

 山頂では相変わらずハイテンションのトシちゃん。今回立場が逆転です^_^;



 山頂の先で休憩。

 そこへ4人の若い女性パーティがやってきました。昨夜同じテント場だった人たちです。いつものように「4人揃った写真を撮ってあげましょうか」とトシちゃんが声をかけます。「ありがとうございます」というものの誰もカメラを出さす食事をはじめました。トシちゃん、再度「写してあげますよ〜」とお節介。そこで若くてきれいなお嬢さんが「お願いします」とカメラを出しました。

 カメラを受け取ったトシちゃん、張り切ってザレ場を移動する時ズルッ!おもわず「何やってんの〜(~o~;)」sanae怒りマークです。

 私たちも皆さんもこの大下りの方に向かって座っていました。そのためトシちゃん下方へズズッと下りていき、そこで少し足を滑らせたのです。アホか!

 こんなところでこともあろうに滑落なんぞしたらその4人の女性はいたたまれませんよ。

 この時大下りの稜線を眺めたかったのですが、この時点ではガスでこの程度しか見えませんでした。

 私たちは戻ることとし、4人の女性達はこの大くだりを下っていきました。

帰りはガスの晴れた展望を・・・と待ちつつ
のんびり、コマクサを眺めながら歩きます。






 思えば6日目からずっとコマクサ三昧です(^^♪

【↑ ホソバイワベンケイ】

【↑ ミヤマダイコンソウ】

 前方がすっきりと晴れてきています。これは期待できそうです♪

 青空も広がってきました♪

 蓮華岳方向も青空♪

見たかった大下りの稜線。
ここまでが限界でした。
雲がなくなれば北葛岳や七倉岳も見えたでしょうに・・・
その周囲の展望も素晴らしかったに違いありません。




一方、針ノ木岳も迫力のある姿を見せてくれました。





この針ノ木岳、スバリ岳の稜線またいつか歩けるでしょうか・・・

9:35
 展望も散策も十分堪能して針ノ木峠に下山。

テント場には我が家がポツンと残されているだけ。

ここで早いですが昼食にします。
今夜の予定だったウィンナーを炒め、昨夜の残りの
豚の角煮と炊き込みご飯、吸い物。
そして食後のデザートは昨夜作っておいた
オレンジゼリーとコーヒー♪



 テント撤収(左下がテント場)して小屋の方へ行きます。あっ、この小屋ではありません。これは槍見山荘!立派な名のついたトイレです^_^; 窓がついていて、中から槍ヶ岳が見える粋なつくりになっています(^^ゞ

 小屋の側にもお花畑。小屋の周辺では従業員の人たちが掃除やゴミ焼きなどこまめに動き回っていました。小屋の壁下に袋を押し込んだ人がいて「ゴミかな?デポかな?」と見ていましたが、ゴミだったようです。最低ですね。

 前日より、小屋の人や大雪渓を登ってきたという人たちから残雪状況など聞きました。大丈夫という人もいましたが、ザックが重い我らはアイゼンがあったほうが良さそうです。小屋では500円で借りられますので借りることにしました。4爪の軽アイゼンですが、通常山道具屋さんで買うものより歯先が丸く、少し大きいものでした。

11:30
 針ノ木峠を出発。下る方向から登ってくる人が見えますが、斜面が急です。みなさん大変そうでした。下るのも気を遣いそうです。

 途中、小屋方面を見上げたところ。

 登山道はこんな感じ。雪解け後は登山道も崩れてしまいそうですね。

 滑らないようにと気を遣います。足の調子が戻っているのでその点はひと安心でした。

 亀の歩みです。

【↑ シシウド?】

【↑ ジンジソウ】

 お花畑はきれいですが暑かった!足元には気を遣う下りでした。

 雪渓です。

 お借りしたアイゼンを装着します。

快適!快適!
サクサク、どんどん下れます。
今までのザレ場より断然楽です♪
オマケにクーラーの中に入ったような涼しさ♪






こんな所に落ちたら大変!



 アイゼンを外します。

 下る一方かと思ったらトラバース道が登ったり下ったり。ふぅふぅ言ってしまいます。


13:50−14:10
 大沢小屋で休憩。針ノ木小屋でお借りしたアイゼンはここで返却します。そして美味しい湧き水で淹れたコーヒーを注文。ドリップです。一杯500円だったかな?(^^ゞ

 小屋番さんとおしゃべりしながらしばしの休息。

 中での休憩は無料と書かれていますが、後から来た人たちは中に入らず外で休憩していました。気兼ねなく休めるからかもしれませんし、外の方が気持ちよかったのかもしれません。


 一休みしたあとは一気に下ります。約1時間で扇沢。バスの時間もこの大沢小屋で確認しました。

 この渡渉は問題なく渡れました(^^ゞ

 雨などで水量の多い時は分かりません。

 ズンズンいきます。

 とりあえず林道に出ました。駐車スペースがありますが、一台停まっているだけでした。小屋の方のかもしれません。この先、扇沢の所でゲートが閉まっていましたので、一般の人は扇沢までのようです(今回、車のことはあまり調べていません(^^ゞ)。



 登山口から舗装道路を少し下ると登山道があり、そちらへ行きます。何回か舗装道路を横切りながら登山道を進んでいきますと・・・

15:15
 扇沢に着きました。今まではコースタイムをいつも軽くオーバーしていたのに、大沢小屋からはほぼコースタイムで到着です。下山への執念でしょうか(笑)

 観光バスがいっぱい、観光客もいっぱいです。15:25発のバスに間に合いました。切符を買い、トイレに入ってから乗り込みますが、このザックを車内に入れるのが結構大変!お客さんが少ない場合は側面の荷物入れは開けてくれませんでした(泣)

 さぁ、温泉♪温泉♪

 温泉に入り、何回も洗ってやっとさっぱりしました(笑)

 そして夕食。

 無事に縦走しました。かんぱ〜い!

 クーッ!このご馳走!♪たまりません。あとからも来ますので、かなり豪華です。ご褒美♪ご褒美♪
 予定より一日早めに下山したこの日が山行最終日となりました(10日間→9日間)。

 そういえば、長期縦走の時はいつも一日早めに下山しています。剣岳から笠ヶ岳の縦走(12日間→11日間)も、南アの蝙蝠岳から茶臼岳までの縦走(10日間→9日間)も。下山可能圏となると、猛烈にお風呂とお布団に突進したくなってしまいます(^^ゞ こんな長期縦走はもう今回で最後です(・・・とその度に思ったはずですが・・・^_^;)。

 今回は天気に恵まれたのが何よりでした。予定を見直しながらも予定した山はほぼ歩き通せたのは、お天気とお互い相棒のおかげです。トシちゃんの百名山の完登も無事クリアしました。それゆえそちらが優先で逆コースはまったく考えていませんでした。

 夏休みゆえの欲張った長期縦走、いままでもそれぞれに難所がありましたが、今回はかなりきつかったです。落ちたらタダじゃ済まない場所もいくつかありました。このコースを行かれる方は、その都度の情報収集を怠りなく、気をつけてお出かけください。私たちが行けたから行けるだろうとも言えますが、けっして気楽にお薦めできるルートではありません。お天気やその年の降雪状態によっても登山道の状態は大きく変わると思われます。それぞれの判断、自己責任で楽しまれてくださいね。

 このルート、私はもういいです(笑) でも後半は荷物が軽かったら、もっと歩きやすかったですし、賑やかな北アルプスの中でもワイルドで静けさの残る良い山域だと思いました。

 下山後宿での連泊は嬉しいものでした。ちょっと贅沢だったかもしれませんが、そのために普段は小屋泊にせずテント泊にしているのですから(^^ゞ。 

 sanaeの体調ですが、さすがに下山直後はくたびれ果てました。写真でも分かりますが、徐々に浮腫み始め、体重は帰宅翌日の21日が最高で4キロ強増加してました。普通の生活と食事に戻り、みるみる減少、週末には元に戻っています(山行中は努めて水分補給をしているのですが、いつも同じパターンです)。そのままほぼ現状維持。

 一方トシちゃんはベスト体重が今は62キロ。帰宅後は60キロを切っていたそうです。おそらく今はまた元に戻っていることでしょう(どうしてやせるのかな〜、私はいつも増えて元に戻るだけなのに・・・)。



オマケにつづきます。

※お花はしっかり観察できていないので間違いもあると思います。ご注意ください。