上越 ;  未丈ヶ岳
 (みじょうがたけ1552.9m)
1999年の「私の一名山」

 H11年5月12日(水)・天気;快晴:Member.5名(L青木・渋谷・奥山・南雲・石原)


【未丈ヶ岳】右

【コース】
シルバーライン泣沢6:55出発〜山頂12:05-13:00〜シルバーライン泣沢16:30帰着
(登り5時間、下り3時間30分。所要時間9時間30分)

 かねてより行きたいと思っていた未丈ヶ岳に行って来ました。残雪期ならではの展望は絶景でした。一日中好天に恵まれ、メンバーに恵まれ、新緑とお花にも恵まれ、言葉に言い尽くせないほど素晴らしい山行でした。


 前夜7時半頃、シルバーライン入口で十日町の南雲さんと待ち合わせ、5人メンバーとなって車2台で泣沢へ。今夜はここでテントを張ろうと思いきや、トンネル途中にある泣沢出入口の扉を開けた途端、みんなの動きが止まった。雪避けの木組みががっちりとしてあって、中に入れない。隙間から覗くとまだ背丈以上の深い雪・・・。気を取り直してリーダーがもう一つある隣の扉を見に行った。そちらも車は入れないが、人は入っていける。明日の山行を危惧しながらとりあえずテン場を求め、トンネルの先にある銀山平方向へと向かった。

 銀山平まで行く前にトンネルが切れるところがあり、14号トンネルを出た辺りだと思うが、その左側に丁度広場があった。そこへテント設営。銀山平まで行っていない。リーダーの判断でとにかく明日は行けるところまで行くことにして、先ずは宴会?。ご飯が炊けるまでビールで乾杯し、南雲さん持参の八海山に気持ちよくひたる。日本酒は飲めないと言いつつ、私もついついおかわりをしてしまった。おいしい!いかん、いかん、楽しみがまた増えてしまいそうだ。すき焼きをつつきながら、久々のメンバーの再会に話が盛り上がる。明日は早い、早く寝なければ・・・外は満天の星!

 4時半過ぎに起床。昨夜はとても寒かった。外に出したテーブルの上に夜露が凍っていた。朝食、片づけ等すませた頃、調査の仕事で山にはいるという男女2名が通りがかった。早速情報収集。泣沢からは沢の渡渉が難しいのではないかと言う。丸山からのコースも検討するが、尾根は多分残雪はなく薮になっているだろうというリーダーの判断から予定通り泣沢からのピストンで行けるところまで行き、駄目だったら引き返して来ようということになった。

 1台の車で泣沢までもどり、そこに車を置いて、予定より1時間以上遅れの7時頃に出発。以前テントを張った小屋の周りは雪原となって大分風景が変わっている。小屋がなければ別の場所と思うほどに。したがってルートは全くない。しかし二万五千の地形図を持ったリーダーの後にみんな安心してついていく。いつもながらよく分かるものだと感心しながら。雪や土の崩れ落ちた斜面を下ったり登ったり、トラバース気味に歩いたりして始めからかなりハードだった。道なき道を行くのだから積雪で曲がった木の枝につかまったり、ピッケルを使ったりして慎重に行く。スキーのインストラクターをしている南雲さんはさすがに雪慣れしていて心配ない。要所では、むしろ久々の山行になるメンバーの一人と、まだ充分雪慣れしていない私にリーダーの注意の目が注がれる。

 途中から未丈ヶ岳の山頂が目に入る。素晴らしい山容だ。まず小さい川を渡る。そこには鉄板がかけてあり、無事通過。2回目、三ツ又口小屋付近で今度は橋がない。どう渡ろうかとリーダーが先ず渡渉して先の様子を偵察に行く。ここでリターンかな?温泉行きかな?と残るメンバーは屈託がない。やがて戻ってきたリーダーからOKのサイン。木につかまりながら順番に川べりへ下り、スパッツ・靴・靴下を脱ぐ。靴を脱いでの渡渉は初めてだったので、興味津々だ。膝上までズボンをあげ、靴などを手に持って、水に入っていく。うーっ、痛い!それが最初の印象。雪解け水は冷たいのを通り越して、水から上がってもしばし我慢の痛さだ。また足を拭いて靴を履く。それだけでも5人いると結構時間がかかるものだ。ここまでで出発してから約1時間強かかっているが、夏ならば30分もかからない行程だろうか?次はしっかりした橋がついている。鉄の橋で両端がコンクリートでしっかり固められている。川から少々高さがある割に手すりがないが、安心して渡れる橋だ。リーダーはこれを確認したかったらしい。これがあれば帰りに水かさが増しても心配ないとみて、GOサインを出したわけだ。

 そこを過ぎて、周りの新緑を楽しむ余裕ができた。期間限定のこの風景を眺めながら少し行くとそのまままっすぐ山頂へと続く尾根に取り付く。尾根にはしっかりした登山道がついて最初のうちは雪もほとんどなかった。

左【コブシ】

 驚いたことにマンサク、コブシ、シデコブシ、シャクナゲの樹が見事に花を咲かせ、足下にはトクワカソウ(イワウメ科イワウチワ属)、ショウジョウバカマ、カタクリ、キクザキイチゲ?が次々に目を楽しませてくれた。この時期にこんなにも花が咲いているとは思わなかった。

 天気は快晴、みな半袖になる。徐々に残雪の越後駒ヶ岳や中の岳が見えてくる。視界良好。一カ所小高いピークがあり、慰霊碑が建てられていた。新潟の山岳会の方のようだ。少し下ってから、目の前の未丈ヶ岳山頂に向かい今度はひたすら登る。高度が一気に増し、振り返れば越後三山から兎岳、荒沢岳までぐんぐんと迫るような迫力で目の前に広がってくる。圧巻だ。メンバーの一人の足の調子が悪くなり、ペースは落ちたが、その分振り返って、その風景をゆっくりと楽しんだ。彼女は途中荷物をデポ。彼女の後をサブリーダーがついて見守る。何カ所か雪渓があり、細くなった要注意箇所もあったが、気をつけて進む。


左【浅草岳、守門岳方面】

 そして上り詰めたところに雪原が広がり目の前に会津の山々が飛び込んできた。山頂は左側にすぐあった。とても小気味の良い素直な山だ。雲一つない青空の下、ぐるりと360度の展望。久々の大ヒット。みんなに満面の笑みがこぼれる。浅草岳、守門岳、越後平野、越後三山、兎岳、荒沢岳、平が岳、燧ケ岳、駒ヶ岳、中門岳、三岩山から窓明山、坪入山にかけての稜線、高幽山、丸山岳、会津朝日岳、北に飯豊連峰・・・もうたまらない好展望!眺めているだけでアッという間に時間が流れる。この未丈ヶ岳に来て良かった。写真ではなくこの風景をみんなに見せたいほどに、それは素晴らしかった。

 とにかくカメラにおさめ、少し下った雪渓でも写真を写し、ようやく下りにかかったのは約1時間後。心残りはなかった。あとは眼前の山々、木々の新緑、花を愛でながら無事に同じ登山道を下山するだけ。

 みんなの顔や腕が日焼けでヒリヒリするほどの天気に恵まれ、なおも続く暑さに、渡渉が楽しみになってきた。しかし、雪解け水で増水の心配はやはり的中した。水の勢いも増している。靴はザックにくくりつけ、ズボンは上げられるだけ上げて水に入る。長年スカートもはかず隠し続けたこの太足を無惨にもこんな所で人前にさらすとは!皆さんごめんなさい。それにしてもやはり水中は凍るような冷たさ。わずか3〜4メートル程の川幅を渡るだけで、一度で汗が引く。そして、痛さで数秒動けない。靴を履くとほかほかと温かく感じる。

 川からよじ登って登山口まであとひと息(40分位かかったろうか?)。しかし、ここが大変だったんだよなと、思った通りの崩れた難路をいくつか通過して泣沢登山口近くまで来たとき、トップのリーダーが左の岩盤にカモシカを見つけた。合図で駆け寄ったが既に姿はなくまたしても見ることが出来なかった。残念。この辺りは早朝や夕暮れに熊も出そうということなので要注意。

 泣沢から昨日のテン場に戻り、ビールとコーヒーで乾杯。荷物を整理してから温泉へ。今回は帰る道筋の近い所へと看板を目印にユピオに行ったが水曜で休み。二つ目も休み。南雲さん持参の温泉情報で再度検索し、ちょっと遠くなるが神湯温泉倶楽部(神湯とふれあいの里02579-9-3350)に行った。到着6時。なんと6時から入浴料が半額の400円になるという。なんというタイミングの良さ。新しくて立派な建物で宿泊施設も整っている。広々とした浴室で露天風呂もあり。シャンプー、リンス、ドライヤー等あり。浅草岳や守門岳に行く方には近いのでお薦め。

 食事もすませ、そこで南雲さんとお別れ。息子と同じ年齢の南雲さん。ついついお節介なことも言って、メンバーにお母さんみたいと言われてしまったが、まさに息子と歩いているような感じだった。これもインターネットならではの出会いであった。