奥秩父; 西沢渓谷
(にしざわけいこく)

新緑とシャクナゲの渓谷へ


 H7年5月20日(土)当日発 ;
 Member.計2名(鈴木、石原)

 コース
塩山駅〜(バス)〜西沢渓谷〜(バス)〜塩山駅  


 ご無沙汰していた山にようやく目が向けられるようになって、前回辛いと感じた高水三山の失敗を繰り返さじと、先ずは足慣らしと選んだ場所は西沢渓谷だった。

 今回は他の予定が変更になり、急に行くこととなった。同行者は気心の知れた親しい友人で、キャンプやら軽いハイキングを時々一緒に楽しんでいる。土曜日が休みの彼女に合わせ、当日は5時半に家を出た。外は既に明るく、早朝の空気で気分は爽やか。

 南武線から中央本線に乗り換えて、鈍行で行く塩山までの道のりは長い。しかし、このトコトコ行くのは嫌いではない。

 土曜日のせいか西沢渓谷行きのバス停は長い列になった。どうにか乗り切れて、私たちが立っている中へ地元のおばさんが乗り込み、「いつもは二、三人しか乗っていないのにねえ」と言って、まわりの笑いを誘っていた。西沢渓谷で「昨日、埼玉の人が一人亡くなったから気を付けて」と言いおいて降りていったが、その時はさすがに笑えない。

 徳和(乾徳山入口)に近づいた頃、エンジンの焼き付いた臭いが気になってきた。バス停で様子を見に降りた運転手さんがいきなり「荷物を持って早く降りて下さい」と叫び、皆急いで降りるとバスの後ろから白い煙がもうもうと立ち始めていた。幸い大事には至らなかったが、ここで代わりのバスがくるまで30分ほどのタイムロス。余程乾徳山に切り替えようかと思ったが、登山の慣れない相棒の希望で断念。私もあの断崖を乗り越えたら自信がつくと思ったが、今回の体力不足ではまだ止めた方が良いと判断、のんびりコーヒーを飲みながら待つことにした。

 西沢渓谷は観光バスも来てて、人がやはり多かった。でも新緑の中を渡る吊り橋、鉱毒と知りつつ眺めるコバルト色の川の水は日頃の憂さを忘れさせてくれる。渓流の音が涼やかで、流れる汗も気にならない。三重ノ滝をはじめ、ハイライトの七ツ釜五段ノ滝に至るコースを十分堪能して昼食。滝の音を聞きながらビールをあけ、作る焼きそばに舌鼓を打つ。昨日死亡事故があったという場所はどこだったのだろうか。別段不安な場所は無かったが…と首を傾げた。

 ここで下山と思いきや最後の登りがまだ残されていた。それもほんの少しで後はゆっくり森林浴をしながら下りになる。石楠花の淡いピンクが目に優しかった。

  “新緑の光かがよう渓谷にサクラソウ咲けり目線の上”