尾瀬;アヤメ平〜尾瀬ヶ原〜尾瀬沼
残雪の尾瀬へ、水芭蕉が満開!

 H5年6月13-14日(日、月)前夜発 ;
 Member.計5名(高山・宝田・西川・石原-夫婦)

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
一日目(13日)
戸倉(980m)6:50=(バス)=鳩待峠(1591m)7:10-20〜アヤメ平(1968m)9:30〜富士見峠(1883m)9:40〜土場10:10〜川沿いで昼食11:20-12:20〜竜宮十字路(1400m)12:55〜東電小屋(1400m)14:00-15:00〜尾瀬ヶ原散策〜17:30東電小屋泊
二日目(14日)
東電小屋(1400m)7:00〜見晴十字路(1400m)8:00〜沼尻休憩所(1660m)9:45-10:05〜長蔵小屋で昼食11:00-12:00〜三平下12:30-45〜三平峠(1760m)13:00〜一ノ瀬(1400m)13:50-14:30〜大清水(1200m)15:30-50=(タクシー)=戸倉(980m)16:00-17:00=沼田IC17:55=練馬IC19:10=自宅20:15


一日目(13日)

 今回は知人と会社の女子社員2名も加わってという、珍しい顔合わせだった。しかも私の場合、会社の人はよく知らないという、初めての体験だった。でも行きたい所や知りたいことが共通していると気もあうというもの、私はあまり気にならなかった。

 子供達を残して私達夫婦二人一緒に出かけるのも初めてだった。以前私が山、夫がバイクのツーリングで同時にそれぞれ外泊したことはあったが。 

 夜七時半頃出発。我が家のキャラバンで夫の運転、後ろはテーブルにセットしたものの、まるでお荷物状態。走行中、進行方向に向かって横向きに座るというのはかなり疲れるが、そのように改造してあるので仕方がない。いろいろ話をしながら進むこと約三時間半、予定より早めに戸倉スキー場に到着。早速二段ベットにセッティングし、明日の備えてそれぞれ休む。私は疲れてぐっすり眠ってしまったが、他の人は慣れないところで、その上窮屈だったため、よく眠れなかったかも知れない。

 目覚ましで五時半頃起き、片づけ、朝食等済ませてタクシー(バンのようなもの)で鳩待峠へ。途中、コブシの花(タムシバ?)がとてもきれいに咲いていた。

 鳩待峠から、さあ出発と登り始め、マイヅルソウやミヤマカタバミ、エンレイソウ、ツクバネソウ、小鳥の囀りなどにビデオを向けながら、私は遅れながら進んでいった。10分程で雪が現れ、アァまだ雪が少し残っていたのかと思いつつ、なおも登っていった。ところがなんと、もうほとんど雪山状態。六月でも尾瀬はまだようやく春から目覚めたところだったのだと気づかされた。

 横田代に到着。辺り一面は、今までのようなブナ林がなく、日当たりも良かった。既に雪のない平原を見渡すと、前方に燧ヶ岳の頭が見えてきた。そして後ろを振り返れば見事な至仏山。あぁ、あの山もこの山も登ったんだと、ここで又一人感慨深く双方の山に見とれてしまった。九月の時とは異なり両座ともかなり雪を残して、その姿はとても美しかった。至仏山の方が残雪は多いようだった。この田代は荒れているのか、広範囲の地面を筵で保護していた。ここで初めて水芭蕉、ショウジョウバカマ、ヒメシャクナゲ見参。ここでは見事な青空だったが、アヤメ平に着く頃はガスが出てきて、危うくアヤメ平と気づかず、通り過ぎるところだった。天候に恵まれれば燧ヶ岳の眺望は最高だっただろうにと残念でならない。

 それから10分ほどで下山。尾瀬ヶ原の竜宮小屋方面へと向かった。しかしここも残雪で足下にかなり気を遣った。皆それぞれに悪戦苦闘して、足を滑らすこと数知れず。幸い誰一人怪我することなく、無事に下山できて良かった。

 途中、竜宮小屋の少し手前の川で昼食をとった。道から少し奥に入った所を夫が選んだのだが、川のせせらぎが心地よく、なかなか良い場所だった。そこでキクザキイチゲを見つけたときは、もう、夫に感謝してしまった。小さいのはおそらくヒメイチゲではなかったかと思う。まだフキノトウ(もう完全に大きく、花開いていたが)も咲いていたし、スミレ(小さいのやら大きいのやら)、エンレイソウ、オオカメノキ(ムシカリ)等に出会えて、嬉しくなってしまった。

 尾瀬ヶ原に着くと、そこはもう水芭蕉、リュウキンカ、チングルマで溢れていた。その背景に至仏山がここでも美しく、ウグイスの鳴き声ものどかだった。

 竜宮小屋を過ぎた頃から雨がパラパラ降り出してきた。山を歩いているときでなくて良かったと言いながら、その木道を、傘をさしてのんびりと歩いていった。尾瀬ヶ原、周りを囲む山並み、木々の緑、白い白樺等を眺めながら。ここではショウジョウバカマ、タテヤマリンドウ、ヤチヤナギが目立たず楚々と咲いていた。

 ヨッピ川にかかるヨッピ橋を渡り、今日泊まる東電小屋に近づくと、ここはまた見事な湿原だった。なぜかニリンソウ、トリカブトの葉、コウモリソウ、サクラ(丁字桜?)があらわれ、湿原の花も新たにミツガシワ、ホロムイソウ、ワタスゲ(今までにもあって、気がつかなかったのかもしれない)が私達の目を楽しませてくれた。川の流れに沿って咲く水芭蕉、リュウキンカのコントラストも美しかった。

 東電小屋に着いたのは午後2時。段々雨が激しくなる中、三条の滝は無理と諦め、余る時間をどうしようかとしばし相談。時間もあるしということで尾瀬ヶ原散策に再び繰り出すことにした。雨の尾瀬ヶ原も又良し。水芭蕉が群生しているところに相対したときは、その素晴らしさに来て良かったと思った。

二日目(14日)

 翌日は尾瀬沼へ。わずかに一つ残っていたザゼンソウも見ることが出来て、心置きなく次の目的地へ・・・と言いたいところだが、それでもビデオをあっち向け、こっち向けしているものだから、よく引っかかるということで、とうとう私は多摩川のゴミと言われてしまった。しかし雨のせいかヨッピ川から只見川と名を変えたその辺りは流れが激しく、その勢いは素晴らしかった。

 見晴らし十字路では原の小屋をバックに記念写真。去年の9月に来たとき、欲しいと思った本を捜したが、記憶と異なり買うのはやめた。ここからいよいよ尾瀬沼へ。ここは人が多く、ゆっくり歩くことができなかった。足下にはネコノメソウ、スミレ(確定できないが大きいのが多かったのでオオタチツボスミレだろうか?)が咲いている。シダもたくさんあったので、せっかく伊豆で仕入れた知識を生かそうと思っていたのに、残念ながら思い当たるものがなかった。とにかく前にも後にも人が連なり、その上中学二年生の一団と行き会い、待ち時間と挨拶で大変だった。その上雪や雪解けのドロドロ道の中、滑らないように、転ばないようにと気を配るので精一杯だった。

 登りが一区切りついて、開けた田代では、燧ヶ岳が大きく目の前に迫っていた。青い空とまだらに雪を被った大きな燧、かつて登ったという経験で、それを見る目もついつい尊大になってしまう(たった1回だけなのに)。しかしよく登ったものだと今更ながら惚れ惚れと見上げてしまうのも無理からぬくらい雄々しい姿だった。今回は燧も至仏も登れないが、機会があったらまたいつか登りたい。

 約260mの標高差を登りつめて、沼尻で小休止した後、長蔵小屋で昼食。ここで一時雨が降ったが、食事が済んだ後はカラリと晴れ上がっていた。

 太陽の位置によるのだろうか、尾瀬沼に映る逆さ燧は見ることが出来なかった。しかし前回(去年の9月)にも負けないくらい素晴らしい感動を与えてくれた。

 三平峠を境にあとは下り一方になる。皆一様にほっとする思いで、ようやく歩きやすい山道を楽しむ。夫は昨日から足が痛いと言いながら、それでもがんばって歩いていた。

 はるか彼方には日光方面の山並みがあり、すぐ目の前にはオオカメノキ(ムシカリ)の白い花と、ムラサキヤシオツツジの赤い色がそこかしこに咲いていた。

 途中に水場があり、顔を洗ったりしたときは、とても気持ちよかった。それほどに天気は快晴、気分の良い山歩きが楽しめた。

 一ノ瀬休憩所でゆっくり休み、そこからははじめ川に近いほうを歩いたが、あまりに道がぬかっていたので、一度上に出た後は、そのまま平坦な道を進んだ。トチノキが花を咲かせているのを初めて見、ヤナギの花の舞うのも目のあたりに見た。道端には分からない花も数多かったが、タチツボスミレやツボスミレ、ラショウモンカズラ等が咲いていた。

 ようやく大清水に着いたのは午後3時半。そこからはタクシーで戸倉に向かった。車窓から眺める景色もまた新鮮で、紫のフジ、キリの花がまだきれいに咲いていたし、クルミがまるでキフジかと思うような実をつけてぶらさがっていた。これらは皆タクシーの運転手さんに教えてもらった。白い花が平べったく下向いて咲いているのはホオノキだということも教わったのだが、残念なことにそれは見失った。カエデ、マユミ、ナナカマド、コメツガと、山を歩いてその都度確認できた木もあったが、はっきり識別できないものの方が多い。

 今回出会えなかった花でも、もうすぐ咲こうと用意をしているものが沢山あった。ワタスゲは今花だが、実の方が美しいので有名だ。他にはニッコウキスゲ・コバイケイソウ・ワレモコウ・イワカガミ・カキツバタなど。

 今はまだ枯れ野原のような尾瀬ヶ原や各田代だったがひと月違えばきっとガラリと様子は変わってしまうのだろう。だから尾瀬は魅力が尽きないのだと思う。

 戸倉スキー場の駐車場に着いた私達は、月曜日で空いたその場所にテーブルを出し、コーヒーを飲んでひと息ついてからpm5時、帰路についた。揺られること約3時間半、無事我が家に到着。お父さん、運転お疲れ様、皆さんお疲れ様でした。

 最後に、一日目は42,000歩、二日目は36,000歩。

“残雪の至仏にそそぐ陽光や水芭蕉にも輝きさしたり”
“燧ヶ岳今日も静かに沼と在り雪装いて吾招きやも”