奥秩父; 両神山
(りょうがみさん)

ピンクに染まる?アカヤシオの山へ


H8年5月16日(木)当日発 ;
  Member.計5名(山上・青木・宮沢・渋谷・石原)

白井差小屋(800m)10:45〜一位ガタワ12:00-12:30〜
 両神神社1:00-〜山頂(1723.5m)1:30-2:30〜大峠4:00〜
 白井差小屋5:10〜両神温泉5:40


 青木さん渋谷さんの参加によって、両神山に行けることになった。2年前の5月末に行った時はアカヤシオが終わった後で、新緑を楽しんできたが、ピンクに染まる山も是非見てみたいと思っていた私は願ってもない事だった。

 白井差に着くと案の定登山客の車でいっぱいだ。だが例年ならピンクのはずが??地元の人も驚く程今年は花が見られない。

 登山者名簿に記入してゆっくり登り始めると、ヤマブキが美しく咲いている。昇竜の滝で写真を写し、涼やかな水音を後に先へ進むとニリンソウが群生している。そして驚いたのは、ハシリドコロだ。紫の花はつつましく下を向いているが、これがしたたかな毒草。新緑の木の下に、柔らかく、いかにも美味しそうに、これも見事に群生している。私達は空気を深く吸って爽やかな五月の風景を楽しんだ。緑の中に、山桜とアカヤシオが数本見られ、そのピンクの濃淡と若葉色のコントラストがとても素晴らしい。

 一位ガタワで軽く食べ、両神神社の木立でひと息つき、山頂へと向かった。岩と鎖は大変というほどではなかったが、両手両足総動員の私の脇を、宮沢さんは爪先立ちでサッサッサと軽やかに行く。 

 狭い山頂は人であふれ、春霞で遠望がきかず、残念だった。岩の突端の辛うじて座れるという面白い場所に我等五人は落ちつき、昼食と青木さんが入れてくれるコーヒーを楽しみつつ1時間ほど休んだ。その間の山上さんの細やかな心遣いが嬉しい。

 荷物も軽くなって、お腹も気持ちも満ち足りた思いで再び白井差へ向け、大峠方面に出発。急坂が続くが、お花見を楽しみながら気をつけて下りて行った。やがて展望の良いミヨシ岩へ着くとまた違った風景が目の前に広がる。歩いてきた左を見れば新緑と桜・アカヤシオ、もろくて鋭い岩肌が映る。新たな展望の右手を見ればこれといった特徴のない山並みが続く。五月の風は清々しく、私達を半袖のまま歩かせてくれている。ゴヨウマツ、コメツガ、ヒノキの形の良さはまるで庭師が入っているかのようだった。まだ芽のかたい山頂から裾野へと目を移せばここでの新緑前線の位置がよく分かる。こちらはいくらか温かいらしく、下草がいろいろ楽しめた。スケッチが出来たら素敵だろうにと思う。

 早いペースで下山したため予定より30分程短縮出来たが小屋が見えてきた辺りで山菜を少し採取したため思わぬトラブルに遭遇してしまった。監視員が待ち構えて激しく怒りをぶちまけてきたのだ。こちらに幾分非があるとはいえ、傲慢な物言いに何も言い返せなかったのが悔しい。隣家のおじさんの優しさに救われ、両神温泉で汗と共に洗い流した。

“新緑にピンク染め入るアカヤシオ両神もろき岩に華やぐ”
“薫風に立つ樹と共に吾も居て生命力を受くる気のする”
“見上げれば新緑やさし両神にあの日歩いた夫子も笑いて”
“山菜を一握り持つ我等向け監視員の声は激しき”