丹沢・シダンゴ山〜檜岳〜(ユーシン泊)
      〜塔ノ岳〜鍋割山〜栗ノ木洞

(しだんごやま758.1m〜ひのきだけ1166.8m〜(ユーシン泊)
ユーシン〜とうのだけ1490.9m〜なべわりやま1272.5m〜くりのきどう908.3m)

またまた丹沢へ、3回連続! 寄を基点に周回コースを歩く

 H14年11/30-12/1(土日)
  天気;30日晴、1日雨&雪のち曇り
  Member.2人(夫婦)

  【秦野峠に向かって】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

一日目(11/30)
寄(やどろぎ)6:20〜シダンゴ山7:35-50〜宮地山分岐8:00〜林道8:03〜ダルマ沢ノ頭8:45-55〜高松山分岐9:00〜林道秦野峠9:10-15〜秦野峠9:45-10:03〜(休憩11:02-15)〜伊勢沢ノ頭11:20〜檜岳11:55-12:45〜雨山13:15〜雨山峠13:43-50〜林道14:20〜ユーシンロッジ14:45(泊)
(所要時間約8時間25分・・休憩含む)

二日目(12/1)
ユーシンロッジ8:10〜尊仏ノ土平9:10〜水場11:00〜塔ノ岳11:15-30〜鍋割山12:35-13:22〜後沢乗越14:13〜栗ノ木洞14:45〜櫟山(くぬぎやま)15:05〜(休憩10分)〜林道15:47〜鉄塔15:50-55〜中山峠16:40〜(徒歩&車で)〜寄17:05
(所要時間約8時間55分・・休憩含む)


 坂元さんの影響で、丹沢のユーシンロッジにいつか行きたいと思っていた。今まで行く機会に恵まれなかったが今回ようやく念願叶い実現。コースも行きそびれていたシダンゴ山から檜岳をメーンに。寄を起点にして周回することにした。11月の4日に鍋割山を目指して行方不明になっている60代のご夫婦がまだ見つかっていない上、少し前に逆コースを歩いたつむぎさんの報告も大変そうだったことから、余裕をもって歩きたかったため前夜発、早朝出発することにした。近いので日帰りの多い丹沢にしては珍しいことだった。しかしお陰で、日中は忙しい厚木の友人宅に久しぶりに寄ることが出来た。(注:行方不明のご夫婦は約一ヶ月後、ご遺体で発見されたそうです。ご冥福をお祈りいたします)

一日目(11/30)
 寄大橋の駐車場で車中泊。朝起きて、「いけない、シダンゴ山から登るんだった!」と寄バス停の所まで戻る。寝るには寄大橋の方が静かで良かったようだ。バス停の側に駐車場があったのでそこに停車。明るくなってはきていたが、河原沿いの名残の紅葉を写すにはまだちょっと光が足りなかった。

 地図を確認して歩いていくと、シダンゴ山の標識がしっかりとある。宮地山への分岐を通過して舗装されている茶畑脇の農道を行くが、ここで既に急坂だ。さすが茶畑、傾斜がきつい。

 鹿柵の扉を開けて中に入ると山道になった。植林の中を登っていくが、この辺りの登山道はよく整備されている。傾斜は相変わらずある。途中近くで話し声が聞こえたように感じたが、誰にも会わなかった。夫と二人で首を傾げる。

左【蛭ヶ岳、鍋割山、塔ノ岳を望む:シダンゴ山より】

 シダンゴ山山頂は視界が開けて気持ちよかった。これから向かうダルマ沢ノ頭の左側から冠雪したきれいな富士山が後ろに重なるように少し顔をのぞかせていた。天気は曇りの予報だったので期待はしていなかっただけに満足。これから行く山並みも一望。雨山峠辺りの向こうに見えるのは蛭ヶ岳だろう。鍋割山から表尾根の稜線、そしてその先に見えるのは大山だろうか。ここで朝食。眺めていて飽きないが寒かった。天気は良いのだがやはり8時前。先も長いので早々に進むことにした。

 下る途中、作業道らしき脇道があるので要注意。視界がきかないときは間違いやすいかもしれない。植林の中を行き、枯れたススキを掻き分けて進んでいく。枯れススキと夫の後ろ姿が妙にマッチして見えるのはなぜ?哀愁と見るにはかけ離れてはいるけれど・・・。登山道はしっかりついているが、雪が降ったり、ススキが青々と繁る頃は進むのが大変そうだ。このススキ、この先もずっと続く。たまに咲き残っている足下の白い菊が可愛いかった。いったん林道へと下りる。意外ときつい登り下りだ。

左【シダンゴ山を下って、林道から階段へ】

 再び目の前の登山道を登るが、そこにはしっかりした階段がついている。枯れススキを掻き分けてずっと鹿柵の脇を通っていく。途中その鹿柵を越えるためか、脚立があった。やがてダルマ沢ノ頭。視界がきかないが、右下に休む場所があったので休憩。そこから200mほど先に行くと分岐がある。秦野峠へは右に下りていく。しかし秦野峠と書かれた部分がとれて下に落ちているので通過してしまわないように要注意。そのまままっすぐ行くと高松山へと行ってしまう。

左【林道秦野峠からの登り口】

 分岐から急な下りを一気に林道へと下る。林道へ出てもそこには標識がなかった。目の前によじ登ったような跡があるが、それは登山道とは思えず、その林道沿いに数メーター左へ下りて行った。すると秦野峠林道と立派な石碑の建った三叉路に出る。その辺りからも富士山の冠雪が輝いて見えた。林道を横切り石碑の前の登り口から登っていく。登山道は同じく急で枯れススキの中、鹿柵に沿って登っていく。またしても鹿柵をまたぐように脚立を立ててあるが、誰が何のために用意してあるものか?

左【秦野峠の朽ちた標識】

 秦野峠から富士山は見えないが歩いてきたシダンゴ山方面がのぞめる。峠の、木で出来た標識も朽ちて、下に落ちてしまっている。このルートはあまり点検がされていないようだ。歩く人も少ないのだろう。この日もまだ一人も出会っていない。静かな山歩きが楽しめる。冬の日だまりハイクにはもってこいのルートだ。ここは遭難したご夫婦が歩いたコースとは思えなかったし、大きくルートを外すような所とも思えなかったが、低山といえど、今回は地図でその都度確かめながら慎重に行った。正規の登山ルートは既に捜索された後だし、そこから見えるところにいるはずもないが、この先もずっと、周囲や崖下を注意しながら歩いていった。ススキの間を縫うように登っていく。左手の樹間に丹沢湖と富士山が見え、気持ちが和む。

 シダンゴ山から伊勢沢ノ頭まではアップダウンがきつかった。伊勢沢ノ頭の少し下で休憩したとき、初めて下ってくる単独男性と出会った。ウエストバックだけの軽装、山岳マラソンの練習のようにも見えなかったがこの辺りを庭のように歩いている人なのかもしれない。かたや私たちはいつもながらビバーク可能な装備。したがってザックの重さ約16キロ・・・

左【富士山:伊勢沢ノ頭稜線から】

 伊勢沢ノ頭山頂は平坦な登山道の途中にあった。葉の落ちた落葉樹が何とも冬っぽい感じで雰囲気が良かったが、その周りは植林で展望は良くなかった。そのまま通過。ここからは急な登り下りはなくのんびりハイク。途中鹿柵が邪魔ではあったが、富士山の眺めの良いところがあり、しばし堪能。その辺りは山神峠へのしっかりした登山道がある分岐だった。そちらへ下れば右ユーシン、左丹沢湖へと通じる林道へと出るはずだ。また山神峠を玄倉へと行くこともできるようだが、いずれも通ったことはない。

左【檜岳山頂】

 その分岐を過ぎると富士山はもうほとんど見えなかったが、左側や前方の鹿柵の間からは大室山方面、場所によっては蛭ヶ岳方面が見えてくる。それらを眺めながら尾根づたいを左の鹿柵に沿って行けば檜岳へと着く。檜岳手前で少し広いところがあり、鹿柵沿いの登山道を外れると、寄大橋方面へと下りる道があるので落ち葉の多い時期や雪が積もった時は注意が必要かも知れない。檜岳山頂は広く、テーブルのような台がいくつかあった。苔むして座るには冷え冷えした感じだったので、東側の日当たりの良い場所にシートを敷いて昼食。木の間からは鍋割山の稜線が見えた。その頃、今夜ユーシンで合流するだめちゃんやつむぎさんが登っているはずだった。一応携帯でチェック、こちらからもメールを入れる。

 昼食後のんびり休んでいると、日だまりでゴロンとなった夫が眠くなったようだった。問題なく予定より早く着いたので急ぐこともなかった。ゆっくりしてから出発。雨山へ。 途中で2回目の登山者3名に出会った。

 雨山には3,4年前にも来ていた。その時は今回の逆コースで歩く予定だったが、寝坊したため鍋割山と雨山をピストンして下山したのだった。雨山山頂も平坦な登山道の途中だった。方角を示す標識の真ん中にそれと書かれている。前回はガスっていたため、こことはっきり分からず、この少し下の所まで来ていた。何となく気分がすっきり。ここで再びメールをチェック。鍋割山には到着したようだ。先に行くとメッセージを入れて雨山峠へ。

 雨山峠ではもう携帯は圏外だった。だめちゃん達もここから下ると思い、そこにメッセージを残そうと思ったがやめた。やめて正解、彼等は鍋割山から直接北ルートを下っていたのを後から知った。私の98年版には載っていないルート、新しい地図には載っている。そのうちいつか歩いてみよう。

左【雨山峠下り】

 雨山峠から雨山沢の方へ下る。大雨の時はここも流れがあるのだろう、沢沿いには梯子やら補助道やら整備されていた。紅葉の時期はきれいだったのではないだろうか、落ち葉が多かった。途中単独者とすれ違う。

 林道、雨山橋にはほぼコースタイムで到着。ここであれ?っと思ったことがある。雨山峠では雨山橋まで1.2キロと書いてあった。雨山橋に着くと雨山峠まで2.8キロになっている。地図上では1.2キロが正解と思うのだが登りでは2.8キロくらいの道のりに感じるのかもしれないからまぁいいか・・・(^-^)

左【ユーシンロッジ】

 ユーシンまでは近いと思ってのんびりと歩いていたせいか、意外と時間がかかった。私たちが先に着き、なんと二人で広い個室一部屋を与えられた。料金は一泊二食付き、暖房費300円込みで4600円。こたつ(500円)も坂元さんが頼んでくれてあった。お風呂にはすぐ入れなかったので、汗かいた服だけ取り替え、暖かいおこたに入って、持ってきた梅酒のお湯割りで、乾杯。いい気持になって横になっているとみんな(坂元さん、友人の田中さん、だめちゃん、つむぎさんの4人)が下山してきた。

 かくしてユーシンロッジオフミと相成った。山にまつわる話に花が咲いて、いつもより少し多めのアルコールをいただく。食事やお風呂も済ませ、消灯の10時まで話題はつきなかった。テント泊や避難小屋などが多い私にはユーシンはホテル並みだ(オーバーか?^-^)。

【二日目(12/1)】

 予定では雨山峠から鍋割山を目指し、そのまま寄へと下りる予定だった。しかしせっかくここまできたのだから、別ルートを歩こうと予定を変更、塔ノ岳から鍋割山にまわることにした。

 6時半過ぎに朝食、この時には仕事で帰られる坂元さん達は別として、だめちゃんもつむぎさんも一緒に登ることになった。下り坂の天気を気にしつつ、8時を目処に出発と思って外へ出ると天気が怪しい。ポツポツ降り出した。ここでつむぎさん、だめちゃん、リタイヤ。雨の中の山行は嫌いでもないし慣れてもいたが、はじめから雨の中を、私も歩きたくはなかった。しかし電車で乗り継いで寄まで帰る気にもなれず、予定通り塔を目指すことにした。

 合羽を着、4人乗った車を見送っていると、ユーシンのおばちゃんがストックの忘れ物だと、玄関先から教えてくれた。慌てて走り去っていく車中の4人に呼び掛け、手を振るが、皆気付かずカーブを曲がって行ってしまった。あ〜ぁ、でもまたユーシンに来れるね(^-^)。ここのユーシンのおばちゃん、ニコニコしていて、私のおばあちゃんによく似ていたな。

左【尊仏ノ土平】

 ユーシンから林道終点まではけっこう長い。山頂の方はガスっていた。途中熊木沢出合を通過。新しく出来たらしい鍋割山への登山口(昨日4人が下山したルート)を通過して尊仏ノ土平(そんぶつのどだいら)へ。昨夜この辺りで道に迷ったという女性二人がヘッデンをつけて6時頃ユーシンに到着したが、視界の悪い天候や時間帯では確かに間違えやすいかもしれない。河原の幅が広く、その間の道もはっきりしているわけではないから、目印を見つけられなかったのだろう。

 見通しがよければ目印があるので問題はない。尊仏ノ土平から先は塔ノ岳までよく整備されていた。最近らしく、新しい丸木の階段が多かった。この時は生憎の天気で合羽を着ていたが、強い降り方ではなく幸いだった。ガスっている周囲の雰囲気が幻想的でとっても素敵、こちらに来て良かった。ユーシンからの林道を歩いているときに塔ノ岳から下ってきた男性一人とすれ違ったのと、山頂近くで4人?のグループに出会っただけの、今回も静かな山行だった。天気が良かったらこうはいかなかっただろう。4人グループに出会ったとき、「上は白いですよ」と言っていた。ガスのことかと思って聞いていたのだが、間もなく夫は「雪か?」

左【山頂は雪】

 よく見れば確かに雨の中に雪が混じっている。みぞれだ。登るほどに雪に変わっていった。水場を過ぎると山頂は近い。山頂にはうっすらと積もっているところがあった。「わーい、雪だ」展望はなくとも何という幸運。思わずメールをいれる。ストックの忘れ物情報も添えて。

左【鍋割山へ】

 静かに降る雪を楽しみながら、次はお楽しみの鍋焼きうどん、いやいや鍋割山だ。そういえばここから鍋割山へ向かうのも久しぶりだ。塔ノ岳はこのところ3回続けて来ているというのに。この間の登山道はいくつか小さなアップダウンがあるが、ブナ林で気持ちよい。いつもなら大勢人の歩いているコースだが幸い静かだ。塔ノ岳山頂の雪は歩いている内にまた雨に変わった。こちらも階段やら木道やら随分人の手が入っている。あとから鍋割山荘の草野さんに聞いたら、つい最近まで県の予算で整備されていたという。随分と雰囲気が変わっていた。コースタイムが若干かかるように感じたのは気のせい?年のせい?体力のせい?デジカメで撮りながら歩いたせいもあるが。

 クークーお腹が催促する。ようやく鍋割山荘に着いて、早速鍋焼きうどん(900円)と食後のコーヒー(400円、お菓子付き)を注文。中には10人くらいいた。外は寒かったが中はストーブがきいていて温かい。出来上がったボリュームたっぷりの土鍋入りうどんに、初めて食べる夫はびっくりしている。「山頂でこの量で900円は安いよ〜♪」と。寒かった体は熱くなるほど。この時私は半袖だった。草野さんはうどんを食べ終わるのを見計らってコーヒーをいれてくれた。ここのコーヒーは豆から挽いて(今は分からないが)、ドリップ式でいれてくれる。とても美味しい。その上先着のグループからなんとイチゴや最中を戴いた。大きなパイナップルの缶詰も持ち上げている人がいて、「食べますか?」ときいてくれるがさすがにもう食べられなかった。

左【檜洞丸:鍋割山より】

 ゆっくり休んで外に出ると雨はやんでいた。富士山は見えないが一部青空が見え、檜洞丸も姿を現している。満足して下山。鍋割山荘は今まで週末営業だったが、平日も営業するようになったそうだ。

 下山する途中足を痛めている若い女性がいた。新しい靴で足慣らしに来て、甲の部分があたるようだった。みてあげるとすでに湿布(温湿布?)のようなものが貼ってあった。靴擦れ用の薄いテープを持っていたのでその上から貼ってあげて、靴の締め方を教えてあげた。でも相当痛くなってから処置したようなので、下りるまであたって痛いかもしれない。後沢乗越を下って林道へ出てしまうまでの辛抱。女性二人連れだったので、励ましてから先に行くことにした。

 後沢乗越を左に見送って、ここも今回初めてのコース、栗ノ木洞の方へ向かう。いきなり倒れかかった鹿柵で、有刺鉄線に気をつけながら通過。ここで合羽を引っかけてしまったら泣ける。なんとか引っかけずに通過。栗ノ木洞への登りは急で、道は荒れていた。荒れた中を歩いている時、昨夜ユーシンロッジで道に迷った女性から鍋割山と塔ノ岳の間の登山道で熊が目撃された話を聞いたという言葉を思い出した。そのことを夫と話している内に曇っていることもあり、何となく不気味な気がしてきた。思わず熊鈴を取り出す。丹沢で熊鈴を使うの初めてだったかも。

左【栗ノ木洞で】

 栗ノ木洞山頂は針葉樹林帯で展望は望めない。天気が良ければ隙間から見えるものかどうか?周囲はやはり幻想的な雰囲気で悦に入る。静かだ。このルートでも最後まで誰にも出会わなかった。芝生の広場を指し示す標識があったり、作業道と思われるところがあるが、相変わらず防鹿柵に沿って下りていく。

 櫟山(くぬぎやま)には登るという感覚もあまりないままに到着。片側にススキが広がっており、山頂は広々と気持ちよさそうだった。天気が良かったらのんびりと休みたいところだ。ガスっていたので眺めることは出来なかったが、展望が良いと聞いていただけに残念。この時は幻想的というより密集したススキの中から何か出てきそうでむしろ不気味だった。早々に下山。

 植林の中を下り、林道が見えてきた所で小休止。その後林道を横切り、右側の山を捲いていった。寄の車の所まではあと30分くらいだろうかと思いつつ。登山道を辿っていくと右側に鹿柵の入口があり、宇津茂方面と書かれていたので地図で確認。地図をみると宇津茂は寄の側に書かれていた。ここで出ていけば良かったのに、この時いくつかの小さな食い違いと勘違いが重なって判断を誤った。

 まず、夫に宇津茂は寄方面であると言ったにも関わらず、場所が離れていると思いこんでいた夫の耳には届いていなかった。今まで寄方面とずっと書かれてあったのだから、別に「寄」と書かれている所があるはずだと言って、側の鉄塔の先に続く登山道へと進んでしまった。 その登山道には行く手をふさいであるような倒木があり気になって言ったのだが、それも同様、夫は意に介さなかった。地図の確認で立ち止まった時、上気した顔でメガネが曇り地図の細部を見えにくくしていたことと、98年版の使い古された地図の折れ線で稜線へ続く茶色の破線を見落としていたことにも原因があった。

 先に進んで、地図とは違うと気付き、次の出口から出たのだが、それが延々と左鹿柵の脇を通っていくことになった。下り道があるのか、戻った方が良いのか、樹間から見える町の灯りを眺めつつ、地図を見た。戻った方が確実だが、先に進んでも残りのルートはあとわずか。途中所々に目印があることから、道は続いていると判断し進んだ。いずれ道路に出る。そして茶畑に出て、見通しの良くなった明るい所で地図を見た。正面にゴルフ場がある。そこでエアリアマップの登山道とは別に中山峠へ続く茶色い破線があるのに気がついた。茶畑から道路は近かった。しかし中山峠から寄まで25分歩かねばならない。

 歩き始めて間もなく、暗くなる前にヘッデンを用意した。そして分岐では地図を確認し、念のため通る車を停めて寄方向を尋ねた。道に間違いはなかった。ドライバーは近くの主婦で、有り難いことにUターンして寄バス停の所まで送ってくれることになった。地獄に仏であった。聞けばご主人が前日塔ノ岳の尊仏山荘に泊まり、先ほど帰宅したばかりだと言う。なんとも奇遇であった。寄には17時5分に到着。もう暗くなっていた。予定通りなら30分ほど早く着いたと思う。でももし車に乗せて戴かなかったらあと30分は遅くなっただろう。つまらないところでミスをしたものである。 送って下さったその方には心から感謝。

 約ひと月前に遭難されたご夫婦のことを思いながら、私たちの失敗を省みた。同じ失敗をしないために、帰宅してからも二人で地図を確認し、ディスカッション。今回はこの程度だったが大きな教訓を得た。