H7年9月19-20日(火-水)前夜発 ; Member.計7名(麦島、奥山、村田、松本、小室、渋谷、石原)
18日 23:00事務所集合 23:30出発 19日 土合駅3:30頃着(駅舎で仮眠)
駅8:35出発〜{休憩3回計55分}〜松ノ木沢の頭12:00〜
白毛門12:50-13:30 〜{休憩1回15分}〜笠ヶ岳14:45〜 {休憩1回30分}〜朝日岳山頂16:40〜
幕営16:50 20日 幕営地7:10〜{休憩1回15分}〜清水峠9:00-10:00〜 {休憩1回10分}〜
白樺避難小屋12:10-45〜{休憩2回計30分}〜 JR巡視小屋14:50〜{休憩1回5分}〜土合橋16:30〜土合駅16:40〜
慰霊塔17:00
【18日夜】 青木さんが風邪のため当日になって行けなくなってしまった。責任を一手に引き受けることとなってしまった麦島さんが一番困惑したに違いない。
そこで車は青木さんから奥山さんに変更し、渋谷さんの車と二台で分乗。30分程遅れて出発。首都高速は混んでいたが、私は乗り心地の良い渋谷さんの三菱パジェロの後部座席で、気持ちよく眠ってしまった。
予定より時間がかかったが土合駅に着いて仮眠。駅の待合室で寝るという、面白い初体験をした。そこはホームまで10分かかるという珍しい地下駅だそうだ。
【19日】 3時間ほどの仮眠で眠気まなこのまま朝食とパッキングを済ませたが、出発の8時頃にはようやく体も目覚めてきた。
舗装道を過ぎ、林道に入ると間もなく登山口。いきなりの急登。手加減無くそれが続き、しかも太い根が遠慮無く行く手を妨げている。珍しく松本さんがダウン。そこで、ひと息ついた後、今度は松本さんのペースで歩き始めた。「ゆっくりね」と、みんなで声をかけながら。実はみんなもこの急登に閉口していたのだ。木の間から「あれが、かの有名な谷川岳、そして一の倉…」と雪渓の残る断崖を眺めた。とにかくすごい。それをよじ登る人がいるのだからすごい。
松ノ木沢ノ頭まで長かった。熊笹でおおわれたその辺りは視界が広がり気持ちがよい。ようやくたどり着いた白毛門で昼食。どの顔もほっとした表情。とりあえず水や水気のある梨に皆手が伸びる。
白毛門からは笹の勢いに道を阻まれ、段差やぬかるみを探りながらの歩行で、とても歩きにくかった。
笠ヶ岳は素通りし、少し下りたところの新しい避難小屋(青学のハイキング部が遭難の慰霊を込めて建てたものだった)にたち寄ってみた。早めにBCとも思ったが、小さすぎるので予定通りにしようと、通過。ここからはうってかわって整備された道が続いている。花が終わり種を用意しているニッコウキスゲが優しく揺れていた。
朝日岳山頂も又遠かった。なんどピークを越えたかしれない。毎度のことと思いつつ、期待と裏切りの連続。ガスが出て少し寒くなってきた。少し体を休めようと休憩している間に、四時の天気概況を聞きながら渋谷さんが天気図に書き込んだ。後からテン場で即座に天気図を書き上げてしまい、気象庁のように説明してくれて、皆驚いてしまった。
再び山頂目指して歩き出すと、ガスの中に陽が射し込んできた。思い掛けなくブロッケン現象を見ることが出来てみんなで大騒ぎ。私はこの年になって初めての経験。いうまでもなく、人目はばかることなく驚喜した。
やっと着いた山頂なのにガスがたちこめていて残念だった。少しでも早くテン場を決めたい気持ちから、広がる湿原へ即移動。水場の側にテントを張ってほっと一安心。夕食は皆で、おいしいすき焼きをおなかいっぱい食べた。
【20日】 昨夜のすき焼きの残りにうどんを加えて朝食。青木さんが来れなかったのだから、その分食料を抜いてくれば良かったと思ったがもう遅い。持て余し気味の荷重分をそれぞれのおなかにおさめて貰った。
ガスは出ていたが、雨の心配はなかった。昨日夕方の雨は通り雨だったのだろう。
緩やかな下りの稜線だったが、足を滑らせたら落下という箇所はいくつかあった。そんな中、高齢者グループとすれ違い、感心するやら心配するやら。彼等は私達を見て、「ヤング、ヤング」と明るい声を発っしていた。
清水峠にくると、昨日朝日岳近くでもあったウメバチソウがたくさん咲いていた。ガスも切れてきて見晴らしはよかった。避難小屋が広かったためコーヒーなど入れながらつい長居をしてしまった。
村田さん、小室さんが足を痛めていたので七つ小屋山、蓬峠方面へは登らず、下を平行に進む旧街道へと歩を進めた。このコースは沢に流れ込む水が幾筋もあって、持ち水の少なくなる帰路にうってつけだと思う。モウセンゴケがあるくらいだから、水はきれいに違いない。ただ、大雨の後などは注意した方が良いかもしれない。村田さんの足がだいぶ痛むようで、ペースがいくらか落ちた。彼女には申し訳ないが、お陰で道筋に咲く草花をゆっくり楽しむことが出来て嬉しかった。
白樺避難小屋の外の日溜まりで昼食。後は一気に下りるつもりでいたが、あまりに湯檜曽川がきれいだったためその河原でひと休み。横になる松本さん渋谷さん、童心に戻って(未だ変わらず?)川に石を投げ込んで遊ぶ麦島さん小室さん、明るい乙女の笑い声と食欲を見せる奥山さん村田さん…だった。 谷川に散ったという会の先達の慰霊塔に黙祷を捧げ、無事山行は終えた。
“行く道の見えて届かぬ頂やもどかしくあり人生に似て” “谷川に消えた命を鎮めんと君吸いて置く煙草の白き”
“実に染まり我が背に陽受く朝日岳ブロッケンの妖怪靄に踊れり”
“高山の初秋に花の少なきをウメバチソウは優しく待てり” “湿原にテントはふたつすっぽりと溶け入りそうな吾ガスの中”
“チンと鳴る音におびえて一瞬の沈黙我等谷川覚ゆ”
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