八ヶ岳 ;  天狗岳〜硫黄岳〜ニュウ
(てんぐだけ〜いおうだけ〜にゅう)

三度目の正直、やっと登れた!


 H9.5.31-6.1(土ー日)前日発 ; Member.計2名

【一日目】
白駒駐車場7:35〜高見石8:15〜中山9:20〜中山峠10:00〜
東天狗11:00-05〜西天狗11:20-12:30〜東天狗12:45〜
根石岳1:10〜箕冠山1:25-30〜夏沢峠1:55-2:10〜
硫黄岳2:55-3:25〜夏沢峠4:00(山彦荘泊)

【二日目】
夏沢峠(山彦荘)6:55〜箕冠山7:25〜根石岳7:35〜東天狗8:05-35〜
黒百合平(黒百合ヒュッテ)9:40-10:00〜中山峠10:05〜ニュウ分岐10:20〜
ニュウ11:05-12:05〜白駒池1:00-30〜白駒駐車場1:40


【一日目】
白駒駐車場7:35〜高見石8:15〜中山9:20〜中山峠10:00〜
東天狗11:00-05〜西天狗11:20-12:30〜東天狗12:45〜
根石岳1:10〜箕冠山1:25-30〜夏沢峠1:55-2:10〜
硫黄岳2:55-3:25〜夏沢峠4:00(山彦荘泊)

 昨年雪の2月に行って荒天のため引き返した。そして先月、行く予定にしていたがメンバーが集まらずあきらめた。今回は三度目で、雨という予報の中、前夜10時頃出発した。

 メルヘン街道ではキツネらしき生き物と鹿のそれぞれ数頭に出会ってびっくり。夫が「今度二本足が立っていて、手を挙げられたらどうしよう」と半ば本気で不安になった程、真っ暗な夜道は車といえども不気味だった。着いたのは夜中の2時頃だった。

 駐車場はどちらも空いていたが、有料の方に行き、一眠りして6時起床。明け方雨が降っていてがっかりしたが、目覚めて外を見るとあがっていた。ガスは濃かったが支度しているうちに晴れ、スパッツだけ着けて出発。

 白駒池の分岐から高見石へと登るだらだら道はまだ残雪があった。もちろんアイゼンは全く必要ない。柔らかい雪上とゴロゴロしている丸太の上を滑らないように歩いていった。

 高見石では展望台があったが、先を急いだ。下草の花はまだ全く咲いていない。もう少しすればイワカガミやコイワカガミ、ゴゼンタチバナなどが咲くだろう。花の時期には少し早かった。しかし悪天候の予報が幸いして人が少なく、静かな山歩きが楽しめた。入山連絡が途中出来なかったので、何度か携帯でかけたが圏外で駄目。前夜出発前にしておくべきだったと後悔(何度したことか)。岩の広場のようなところに出て、通過後間もなく道端に中山山頂の標識がある。この辺りは歩きやすい。

 中山峠を過ぎると前方にはっきり天狗の双耳峰が見えてくる。感激もひとしおだ。尾根伝いに歩いていくと、黒百合ヒュッテから延びている山道の方から声が聞こえてくる。天気が悪かったためか、私達の歩いてきた方は人が少なかったが、渋ノ湯方面から登った人が、何人かいるのだろう。

 まず東天狗山頂に到着。眺めは最高だったが、立教大のワンゲル部がいてうるさかった。早々に西天狗へ移動した。天狗の最高峰だ。視界はハイマツなどの低い樹林に囲まれてイマイチだったが、昼食をとるには都合良かった。やっと携帯が通じ、入山連絡が出来て一安心。夫が娘にも電話して天候は心配ないことと、今山頂であることを知らせた。ラーメンを作り、さっき立った東天狗を眺めながら昼食。気持ちのいいひとときだった。

 主峰赤岳方面の手前に今日の最終目的地、硫黄岳がある。再び東へ戻りそのまま向かう。手前の根石岳を越えるとコマクサの保護地区がある。ガレた山肌にまだ芽も出ていない。以前長男と登って見た硫黄岳でのコマクサはとても愛らしかった。ここもさぞや夏が楽しみな事だろう。

 硫黄岳山荘で泊まる予定だったが夏沢峠の小屋に変更。私は少し下の本沢温泉に入りたかったが、夫がまた登ってくるのがいやだというのでそこの山彦荘にした。荷物を預け、フリースと合羽と水筒・牛乳・アンパンだけ持って、硫黄岳に行った。夫はストックだけ。このストック今回が初めての使用だがなかなか良いようだ。山頂は風が強かった。そこで明日は八ヶ岳が開山祭(山開き)であることを知った。目の前の大きくそびえる赤岳、そこの赤岳山荘でするそうだ。どうりで硫黄岳に人が多い。赤岳鉱泉から登ってきた人たちだ。今夜は硫黄岳山荘に泊まるのだろう。きっと混むに違いない。今日のうちに下山することにして良かったと思った。長男と登ったのを思い出しながら主人とひと休みし、まもなく夏沢峠に戻った。風が強く寒いくらいだったので、フリースと合羽・手袋or軍手を着用。わずかな時間でも持ってきて良かった。

 夏沢峠には小屋が二つあり、こまくさ荘改め夏沢ヒュッテは新しく、無線の音が大きく鳴り響いていた。それが嫌で私達は古い山彦荘にしたわけだが、泊まり客は女の子二人を含めて計4人。静かで良かった。明日は開山祭だからと夕食後お酒を振る舞われ、和やかな時間を過ごした。お隣は電気が煌々と灯り、テレビまで点いているのが見える(しかし誰も泊まっていないようだった)。こちらはランプだ。薄暗いが、ひまわりの種を食べにモモンガがやってくる。初めて見たがリスみたいでとってもかわいい。人に慣れているらしく、私達が話していてもいっこうに気にならないようだ。和気藹々と皆で話し、疲れていたので8時には寝てしまった。



【二日目】
夏沢峠(山彦荘)6:55〜箕冠山7:25〜根石岳7:35〜東天狗8:05-35〜
黒百合平(黒百合ヒュッテ)9:40-10:00〜中山峠10:05〜ニュウ分岐10:20〜
ニュウ11:05-12:05〜白駒池1:00-30〜白駒駐車場1:40

 見事な日の出だったようだ。寝床の中でうつらうつらしながら、射し込む太陽の光を眺めていた。昨日以上に素晴らしい快晴だ。

 5時半に起床し、外の雲海を見た後6時に朝食。夕食共に、小屋としてはしっかりした献立の方だと思った。有り難い。

 7時前には小屋を出発し、昨日来た道を遠回りしながら戻る予定だ。歩き始めはどうしても体が馴染まず少々動きがにぶい。尾根伝いはほとんど雪がなかったが、箕冠山から根石山荘のあるコマクサ保護地に下る道には少し残っていた。根石岳に登ると左(西側)に南・中央・北のアルプスが見えてきた。今日も青い空に、とってもよく映えている。前方には天狗が見えてきた。その頃まだ山頂に人はいなかった。根石岳を下ると白砂新道から登ってきている人がいた。案の定本沢に泊まった人だった。温泉は混んでいたという。

 天狗山頂に着いた頃、また学生のパーティで賑やかだった。次々に登ってきて賑やかさは増す一方だったが、今日は西へ行かず、そのままゆっくりと北八ヶ岳一の好展望を楽しんだ。地図を見比べながら4月に登った蓼科を見、乗鞍や木曽御嶽山も眺められた。北アルプスの槍がハッキリ分からなかったのが残念だったが、いつまで見てても飽きなかった。

 このあと、同じ道を辿ってはつまらないと思い、少し遠回りになるが黒百合平へと向かった。なんとここは驚いたというか、面白かったというか、もう大変だったというか、大岩だらけのルートでかつて歩いた北アルプスを連想させた。黒百合ヒュッテに着いたときはホッとしたが、長く感じた割にはほぼコースタイムで来ている。

 黒百合ヒュッテは去年2月の雪の時期来ていたので懐かしかったが、雪がないとこうなっているのかと、まじまじとその違いを見比べてしまった。 再び中山峠に出、今度はニュウへ向かった。素晴らしい樹林帯だと聞いていたが、倒木と残雪と苔蒸した樹林で少々歩きにくかった。一人だったら心細かったかも知れないが、それでも反対方向から来る人もいて、そんなときは妙に嬉しくなったりした。夫婦連れが多かった。割合地味な山域だ。いつ登りになるのかと心配になるほど下ったが、下りきって程なくニュウ山頂が現れ、人の声が響いていた。

 山頂から見回すと風景が今までと全く違う。秩父方面が今度は現れるが、この頃には遠景にガスがかかってやや分かりづらくなっていた。ここでは上着を羽織り、てっぺんの大きな石の平らなところで昼食にした。パンにハムやチーズ・きゅうりをはさみ、コーンスープやコーヒーをいれてゆっくりした。同じくもう一組夫婦連れがいたが、コンロを忘れたからと貸し、御礼にとお煎餅と羊羹を戴いた。そちらはカップラーメンだったから、お湯がなかったら万事休すだったろう。

 登るときは気がつかなかった分岐点を教えてもらって白駒池の方向へと下っていった。ニュウ山頂から見たそれは静かな風景だった。昨日歩いた尾根伝いをニュウから見渡せて、心残りなく池へと下りていった。テープを確かめながら下りていくようにと教えてもらったので、間違えやすい道なのかと注意し、足下に気をつけながら行った。途中湿原があったので花の咲く季節はきれいだろう。思ったより悪い道ではなかった。

 池は水を満々と湛え、人がいなかったら神秘的だったかも知れない。池の周りをぐるりと周り、畔で少し休憩してから駐車場へと向かった。池を離れれば10分弱で駐車場だ。

 駐車場のおばあさんにじろりと見られ、「今の若い奥さんはいいねえ」と言われた。確かに!

 駐車場を後に、下るメルヘン街道は、明るい時間に見ると、落葉松林の新緑でとても清々しい素敵な通りだった。そして、石割山でも見たズミが沢山咲いていてとてもきれいだった。

”三度目にしてやっと立てり天狗岳東から見つ西からも見つ”
”硫黄岳に寝た息子(こ)の姿今そこに居るかのように夫に指す吾”
”モモンガとヤマネ棲む舎にゴロリ寝る夫は温き炬燵に入りて”
”八ヶ岳予報外れて空晴れて土日に登山者の少なきを行く”
”二日かけ歩き抜いた八ヶ岳高速のればたちまち遠のく”
”三度目にして三回のピーク踏む天狗期待に応えて晴天”
”カラマツとズミに緑樹の息吹見るメルヘン街道車に入る風”