奥多摩;酉谷山〜天祖山
(とりだにさん1718.3m・てんそさん1723.2m)
   長沢背稜の雪は少なかった!

 H12年2月12-13日(土日)当日発・ 天気;快晴 :Member.2人(夫婦)

【酉谷山山頂で】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)
1日目(奥多摩駅発東日原行き8:00)
東日原(610m)8:45〜一杯水避難小屋(1440m)11:45-12:10〜酉谷山避難小屋(1600m)15:00〜荷物を置いてから酉谷山(1718.3m)ピストン、小屋から登り20分・下り12分

(所要時間約7時間・・休憩含む)

2日目
酉谷山避難小屋7:40〜タワ尾根分岐8:45-9:00〜分岐9:40〜(休憩9:45-10:00)〜梯子坂ノクビレ(1530m)10:15〜天祖山(1723.2m)11:00-40〜大日天神(1355m)12:30-40〜八丁橋(720m)13:15〜東日原(610m)14:05
(東日原発奥多摩駅行14:40)

(所要時間約6時間25分・・休憩含む)


【一日目:12日(土)】
 奥多摩は日帰りできるエリアのため、奥まった酉谷山と天祖山はなかなか行けなかった。この三連休の初日は丹沢の大山に行くことになったのであと二日も近場の所で、ということで常々気になっていたその山域に行くことにした。

 当日果たして起きれるかと心配したが、前日の疲れも、朝に弱くても、山に行くとなるとなぜかしっかり起きるのだから我ながらげんきんなものだ。避難小屋泊で荷物が重いため家を少し早めに出た。

 奥多摩駅から東日原行きに乗り込むとバスは満杯になった。しかし川乗橋でかなり下車。終点東日原で下りた人たちは鷹ノ巣や雲取山へとそれぞれ向かったようだった。バス停にはトイレも水道もある。水場はあてにできないし、雪も分からないのでそこで水補給やらすませ、私達が最後の出発になった。

 今回は避難小屋泊まりのためテントは持たなかったがザックの重さは各17キロ前後。二人で、しかも長沢背稜は例年雪が深いと聞いていたため、12爪アイゼン・ワカン・ピッケルと装備は万全。今年は雪が少ないとはいうもののまさか使わずに済むとは思わなかった。一泊だったため食料は生肉・生野菜のすき焼きという、ちょっと贅沢なグルメ山行だ。二泊でも三泊でも重さがあまり変わらないのはその辺の食料事情による。

 東日原からいきなりの急登をのんびり行く。1100mを過ぎた辺りから雪や、枯れ葉の下にアイスバーンが少しづつ出てきた。こういうのがちょっとやっかいだ。アイゼンを出さないまま注意していくのでその都度ペースダウン。しかしほとんどが夏道の登山道で問題ない。1200mくらいから落葉した雑木林が広がり南面の日溜まりハイクを楽しむ。樹間から東に川苔山方面、西に天祖山、雲取山方面が望める。天気は快晴で、2月だというのに暑いくらいだ。時折通り抜ける冷たい風が心地よい。

 一杯水避難小屋の前のベンチで昼食。水場は確認しなかったがそこに泊まった人の話では枯れていたそうだ。三ツドッケ(天目山)に登りたかったが、酉谷山避難小屋が狭くて前夜は7人で一杯だったと登り途中で聞いていたため、先を急ぐことにした。いざとなればツエルトを張れば良いのだが。

 一杯水から酉谷までの間はあるところで5センチから10センチくらいの積雪。ほとんどがアイゼンを必要としなかったが、一部滑りやすい所があり注意して進む。それにしても雪の全くない道もあり、まったくの見当はずれであった。山という山は全て捲き、落葉松林の間から南面に石尾根を眺めながら進んだ。その平坦な道に飽きてきた頃やっと小屋が見えてきた。そこから10分ほどで酉谷山頂と雲取山方面と小屋への分岐に到着。先に40m下の小屋へ荷物を置きに行く。先客2名、あわせて4名。狭いが情報通り良い小屋だ。ゆっくり寝るには5名くらいかなと話しながらとりあえず山頂へ。

 登りは一面雪があったがさらさらしていて歩きやすかった。山頂へは小屋から20分ほどだった。少し木々に遮られているが南面が開けている。北面は樹林で見通しがきかない。のんびりと風景を楽しんだ後小屋へ戻った。歩きやすい雪のせいか下りは早かった。

 小屋は結局4人でのんびり出来た。きれいな小屋でトイレもきれい。サンダルまで用意されていた。大きな窓に素通しのガラスがスクリーンのようだ。小屋の中に居ながらにして外の風景が楽しめる。暮色の中の富士山も星空も・・・。

【二日目:13日(日)】
 昨夜は18時半頃にはみなシュラフの中だった。うっすらと明るくなって、急いで窓を覗いてみたが朝日は残念ながら見えないようだ。しかしスーッと西へのびるオレンジの光線が美しい。12時間も横になっていてさすがに体が痛い。日頃の寝不足は山で解消?熟睡できれば言うことないのだけれど・・・。

 朝食を済ませ身支度を整えてそれぞれ出発。雲取山から来た方が、小屋から水松山はほとんど積雪がないと言っていたのでスパッツは着けず、アイスバーンに備えてピッケルだけ使うことにした。昨日も使えば良かったと思うほどこれは効果があった。

 気になっていたタワ尾根がぐんぐん迫り、分岐らしき標識があったが雪で、しっかりした踏み後があるようには見られなかった。

 水松山には登っていこうと思っていたが、やはり捲くような感じで分岐に到着。まぁいいや、とそのまま天祖山へ。梯子坂ノクビレを過ぎ、天祖山の登りにかかるとここは北斜面のため雪がしっかりとついていた。急斜面だったため、6爪アイゼンの跡もある。雪質はさらさらとしていたが歩きやすかったためそのままアイゼンをつけずにピッケルを使ってゆっくりと登っていった。急斜面を登りきるとミズナラなどの雑木林が広がっている。とても素晴らしい。テントが張れそうな所もいくつかある。

 もう少しで山頂というところで、空身でおりてくる5人パーティ(内女性4人)に出会った。夫が「下りはアイゼンがあった方がいいですよ」とアドバイス。そこでUターンして装着し再び水松山へ向かって行った。

 天祖山山頂には立派なお社があった。まわりも広々として日当たりがよい。地図に載っている水場はどこかと見回したが分からなかった。テルモスにはまだお湯があったのでそれでスープやお茶を飲みながらパンで昼食にした。この日も暖かく上着を羽織らなくても寒くはなかった。

 山頂を少し下ったところにも建物があったがこれが御会所なのだろう。途中何回かカモシカの鳴き声を聞きながら下っていくが、その辺りの落葉樹林がなんとも素晴らしい。遠くから眺めた天祖山は山肌が削られて痛々しいが、歩いてみるととても清々しい。ここならまた来てみたいと思ったのは大日天神というお社があった辺りまでで、そこからの下りは枯れ葉に隠れたつづら折れの急坂だった。途中に一カ所水場があった(チョロチョロ水だが)。ここを登ってくるのは大変そうだ。しかし青葉の頃や落葉の頃は見事だろうなと何度も振り返りながら下山した。

 八丁橋には車が2台あった。上で会った人たちのだろう。

 東日原までの林道は約1時間、長い。バスの発車時間には充分間に合うが早く休みたくて黙々と歩く。自販機で飲み物を買い、バス停で時間を潰している間に下山者が集まり、知らない同士で話が盛り上がる。鷹ノ巣から下ってきた人が側の已ノ戸橋で熊に遭遇したと聞いて皆驚きの表情とどよめき。2月で冬眠から覚めた熊がいるとは奥多摩はもう春山だ。奥多摩の熊は冬眠しないのだろうか?それにしても山で出会った人と再会したりして、東日原バス停は山の情報交換のちょっとした社交場だった。