常磐;筑波山
(つくばさん)
関東平野を一望

 H5年8月12日(木)当日発 ;
 Member.計2人

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
東京駅八重洲南口7:15=(ハイウェイバス)=筑波9:40=(タクシー¥960)=筑波神社前(290m)9:55-10:00〜宮脇前〜 御幸ヶ原(790m)12:00-10〜男体山(870m)12:20〜御幸ヶ原(790m)12:40-13:40〜女体山(875.9m)13:55-14:00〜弁慶七戻石(710m)〜筑波神社前(290m)16:05-30〜筑波駅17:15-17:25発(ハイウェイバス)=上野駅19:25


 前日、長いこと降っていた戻り梅雨がようやくあがった。一日晴れば翌日はなんとか登山日和かなと思い友人に電話した。「明日から尾瀬」といわれてあぁそうだったと思い出し、それならどうしようか一人で行こうかと漠然と思っていたら偶然先生から電話が入った。筑波の件に及んでそれでは一緒に行きましょうという事になった。

 八重州から一番の筑波山行ハイウェイバスで出掛けた。バスはガラガラにすいていたがお盆に入るせいで常磐道は混んでいたため予定より一時間近く到着が遅れた。乗り継ぎの時間のロスや煩わしさがないからその点は楽なのだが電車に比べ道路事情が左右するという難点があるのが玉にキズ。

 筑波終点より筑波神社まで他の人とタクシ−に乗り併せて時間をかせぎ神社に参拝。古くて風格のある立派な神殿に、筑波にやってきたとしみじみ感じながら登山道へと向かった。時間は10時。初めは深い木立の中にさわやかな風を感じて快適だった。ガイドブックでは適期は3〜11月と書いてあったが、今迄の涼しさとはうってかわった暑さと、思ったより急な勾配に、すぐ汗でぐっしょりになってしまった。今迄みてきたシダや草花、そして野鳥のさえずりと蝉の鳴声、蝶やとんぼの出現に心踊らせながら一生懸命登っていった。小さい子やショ−トパンツ・スカ−ト・町中で履くような靴・ランニングなど人其々のいでたちにさすが観光化されていると納得しつつ。高尾山や大山に似ていると感じた。

 百名山とはいうもののこれといって魅力を感じられないままに登りつめて男体山へ行き御幸ケ原で昼食(観光化されてそこは茶店銀座だった。お陰でビ−ルが飲めた。ただしあまり冷たくなくて残念だった)。そして筑波の最高峰女体山へと向かった。そこからの眺めが素晴らしかった。周り一面見渡せて真っ青な空の下、緑の広がる田園風景。彼方に霞が浦が望めて876mの高さとはいえ、さすが一等三角点と初めて納得した。ここも大勢の人で混んでいたけれど、しばらくその風景を堪能して下山へと向かった。                 

 今回はコバギボシ、ノリウツギ、リョウブ、ヤマユリ、キハギ、リュウノヒゲ、ヒメヤブランなどが真っ盛りだった。オオバギボシの花はもう終わっていたが、コバギボシとの違いをその葉の形で先生に教えて戴いた。ノリウツギとリョウブの白い花は繰り返し見ることが出来、円錐形に白い花をつけているノリウツギ、ひらたく白い花を広げているリョウブと、その違いも明確で分かりやすかった。キハギ(下山途中、休憩したところで)も満開で、その咲きっぷりは素晴らしく見事だった。これは時間があればもう少しゆっくり見ていたかった。所々に咲いているヤマユリは大輪で良い香りを漂わせていたっけ。リュウノヒゲは細く長く、ヒメヤブンは低く小さいながら上を向いて精一杯その存在をアピ−ルしているようだった。ヒメヤブラン−小さいとか目立たないとか気にしないでまっすぐ上向いて自分らしく誇りを持って生きている、そんなふうに見えて好感をもった。となれば、リュウノヒゲは花が下向いて咲いているのだから健気につつましく生きているようだと思ってやらねば片手落ちとなるだろうか。

 草花一覧は別表にまとめるとして中でも新しいものや印象に残ったものに赤い実を付けたクマヤナギ、同じくオオカメノキ(ムシカリ)、緑色の実を付けたナルコユリ(初めて見て、びっくりした)、ヤマホトトギス(今年は初めて)、ミツバフウロ(ではないかと先生も首を傾げて?。三ツ峠のハクサンフウロよりかなり小さい)、ブナの木(実が沢山なっていた)、ウラハグサの花(小さい花が散らばった様に咲いていた)、キソチドリ、ハエドクソウ(鎌倉で見て以来だったがしみじみと丁寧に観察)、コマツナギ(バス通り沿いで、思いがけなく見つけた。ナンテンハギかと思った−まだまだ修業が足りない!)、ジャケツイバラ(本で見たばかりだったので、葉っぱだけだったが早速見ることが出来て嬉しかった)等々。その中で強烈に印象に残ったのはキソチドリだった。よ−く見るとトンボがいっぱい止まっているように見える。トンボソウの仲間だそうでなるほどと、思わず頷いてしまった。一見目立たなかったがさすがは先生、目ざとい。

 キンミズヒキやらウツボグサ、キツネノボタン、ミヤマカタバミ(葉っぱだけだったが葉が尖っているのが特徴だそうだ)、ヤブコウジ(初めて白い花を見た、可愛かった)、ムラサキシキブ(葉の感触がふわっとしてやわらかく、あたたかいかんじ、花も咲いている木があった)、カメバヒキオコシ(アカソやクサコアカソ、コアカソなどと紛らわしかったがそのたびに先生に聞いてようやく分かってきたかなという程度)等、気になった草花はまだまだ沢山ある。

 紛らわしいものはその都度先生が丁寧に説明してくださるので、にぶい私の頭でも少しずつ分かってきた。それにしても先生は何というス−パ−マンなんだろうとつくづく思う。

 ビデオで撮らなかったものに街路樹がある。バスの車窓より学園都市筑波のシンボルとも思える街路樹を眺めていると実に様々な木が美しく端然と植えられていた。ほとんどが外国からのものらしいが日本の風土に合ったのか生き生きと。モミジバフウ(アメリカフウ、マンサク科…本来はマンサクを楓といった)、ユリノキ(ハンテンボク…葉がはんてんの形に似ているから、モクレン科)、エンジュ(槐、マメ科、薄緑色の花を咲かせていた)、トウカエデ(街路樹に多く使われている、木肌が剥がれる、花が咲いていた)、ヒマラヤ杉(マツ科、ヒマラヤと名がつくのに雪には耐えられないそうだ)、マテバシイ(葉がサンゴジュに似ている)、ハナズオウ(実がいっぱいぶらさがっていた)、シンジュ(神樹、ニガキ科ニワウルシ、奇数羽状複葉…山で見たヤマウルシはウルシ科)等。これらは身近なところでまた目に触れることがあるだろう。新たな分野でますます忙しくなりそう。今迄イチョウとかプラタナスとかヤナギと通り一辺に思っていたものがハナミズキやコブシも街路樹に使われていると気がつきだしていた昨今だったからこうして新分野が開けてくるのも当然のなりゆきかもしれない。

 バスの中ではずっと話していたものだから寝ている人に悪かったかなと思いつつそのまま話しつづけてしまった。騒いでいたわけではないのだがちょっと気になった。

 ところで山に戻るがマユミやクロモジ、アブラチャン、エゴノキ等実のなっている物や紅葉に変わるものなど秋が又楽しみだ。

 今回の歩数は約22,000歩。

      “雲ひとつ動かず青き空と田をさえぎるものなし筑波満悦”
       “人生を語る口調と吾知らず釈迦に説法後より恥じる”