奥秩父; 横尾山
(よこおやま)

南ア、八ヶ岳の展望が素晴らしい


 H8年5月25日(土)当日発 ;
  Member.計3名(親娘)

信州峠(1470m)9:25〜カヤトの原9:15-25〜
 横尾山(1818m)11:55-1:15〜カヤトの原1:40-45〜信州峠2:25


 山渓の春山ブックに紹介されていたので行ってみた。瑞牆山や金峰山と、八ヶ岳山麓の間に位置しているが、アプローチの不便さもあってか、つい見落としていた。しかし、山に登れば眺めたい山があり、それらを気楽に一望できる場所があるとすればこんなに嬉しいことはない。この横尾山は標高1818mあるにもかかわらずハイキング気分でその願望を叶えてくれた。

 目覚めたばかりの新緑に囲まれた信州峠からゆっくり登っていくと、これから花の楽しみな下草が着々と準備をしている。スミレの種類の多さにまず驚き、マイヅルソウやツバメオモトの蕾を見つけて改めて標高の高さを知った。

 間もなく前方が開け、カラマツの新緑と目の前の山頂部が目指す横尾山かとそれらに気をよくして写真をパチリパチリ。ところが急登をぬけて登ったそこはカヤトの原だった。その手前で間近に瑞牆山や金峰山、右手に富士山の眺められる場所があり、ひと息着きながら堪能。次に見える山頂部が横尾山かと期待していたら、下山してきた人に、「あと三、四回だまされますよ」と言われ、夫と娘はがっかり。「人生こんなもんよ」と再び歩き始めるが、人生そう捨てた物じゃない、見晴らしが抜群に良い。背後に瑞牆山や金峰山、富士山、左に白峰三山、鳳凰三山が並ぶ南アルプス、八ヶ岳の山々。そしてそれらの手前には茅が岳や飯盛山などが見える。それらを眺めながら少々のアップダウンを繰り返し、尾根伝いを歩いて行った。

 来月訪れていたらレンゲツツジがさぞ見事だろうとまだ芽の堅い木々に目をやるが、この展望の素晴らしさは今日このお天気だからこそと、さほど残念とも思わない。

 山頂での煮込みうどんは暑いうえに熱くてまいったが、まだ雪のたくさん残っている南アや八ヶ岳の展望を、かつて登った日々を思い出しつつ、心ゆくまで楽しんだ。早々と揚羽蝶が舞っていたが、木々が芽吹いて蝶が群がる頃、山頂の展望は幾分遮られるかもしれない。

 この山は山菜が採れるらしく、それが目当てで登っている人が何人かいた。これが山と人間の自然な関わり合い方ではないかと、山菜を採って怒鳴られた両神山でのいまわしい出来事を思い出す。山頂で会った人にタラの芽を分けて戴き、採り方も教えて貰ったが、どれがタラの芽やら、食べる物となると私は見極める自信が全くない。戴いた物は大切に家に持ち帰ってさっそく天ぷらにし、美味しくご馳走になった。

“雪跡の近寄りがたく深山在り登りし夏を想い眺めつ”