丹沢・戸沢
(とざわ)
 沢での救助訓練

 H13年6月30日(土)当日発
  天気;雨のち曇り 
  Member.9人(海輪、大澤、今井、三枝、荒川、
           松田、蒲原、山口、石原)

【斜張りでの救出の様子】右


 救助訓練というのはこれで2回目だが、沢でのとなると、初めてだった。沢登りは基本的にやらないのだが、訓練のやり方は必要であり、共通性があるので前回の鷹取山での復習のつもりで参加した。

 当日は雨。雨でも決行、6時に家を出る。幸いこの時雨は止んでいた。事務所で海輪さん、蒲原さんの車に分乗し、渋沢駅で全員集合のあと今井さんの車と3台になって、最初、西山林道へ向かう。

 ところが大倉の方から西山林道へ車で抜けるという。えっ?あの道をハイラックスサーフやパジェロが通れるのだろうか?不安をよそに海輪さんは自信がありげだ。しかし後部座席に座っていても思わずオォ〜っという声があがる。後続車は?と見れば同じように車体を斜めにしながらついてくる。

 そのうち思わぬ木の根に行く手を阻まれた。海輪さんは強引にいけると判断したが、二番手のパジェロは厳しそうだ。幸い方向転換をする場所があったので、ここでバックすることにする。ラストの今井さんの軽がまず下がる。続いてパジェロも無事方向転換。そして私が同乗している海輪さんのサーフがバックを始めると、エンジンの焼け付くような匂いがしてきた。マニュアル車で扱いの手慣れた海輪さんだが、少々手こずって無事バックしたときは皆ほっとした。思わず、今日は車の救出訓練になるところだったと爆笑。

 この後ふたたび大倉に戻り、戸沢に変更となった。戸沢終点の駐車場に車を置き、ザック等、必要装備を持って一段上の東屋へ移動した。雨が降っているので、そこで机上講習のような感じで今井さんの手作りテキストにしたがって簡単な実演を含めた講習を受けた。内容は事故発生時の対応の仕方、行動の手順、けが人の救助方法、セルフレスキューがどこまでできるかの判断の見極め方、簡単な救急法など。いざというとき必要な事ばかりだから、みな熱心だ。

 やっている間強い雨が降って、実際に出来るかどうか危ぶまれたが、午前で終了し、それぞれ昼食をとった後小やみになってきた。そこで出来る範囲でしようということで、必要装備のみ持って、練習の出来るところまで2〜30分ほど歩いて上流へ行った。この時は沢装備を持ってきている人もいたのだが、雨だったため、する事を縮小し、スニーカーで登っていった。ところが私がちょっと滑ってバシャッと水に入り、スニーカーの中は既にグショグショ。どっちにしても布製だから濡れてしまっただろう。

 目的地で早速斜張りから始める。これはロープワークが難しい。私はもっぱら救助される側の心得を会得するに限るという立場で観察。けが人モデル蒲原さんと、ザイルをセットする海輪さんが堰堤の上へ行き、下での斜張りセットを待っていた。下では今井さん中心にシステムセットする。人一人高いところから低い位置へ下ろすだけだが、用心には用心を重ねる。練習でこれだけ時間がかかるのだからもし実際となったら随分と気持ちの負担も大きいことだろう。通常はこの間に先の危険を避けるべく、フィックスロープを張っていくことになるが、練習なので、これは後からにする。

 滑落して怪我した場合のけが人の救出方法、プルアップ(引き上げ)システムの練習もした。これは私にも覚えられそうだ。何回か練習してマスターできた、と思った・・・が、翌日やってみると・・・?

 その間、斜張りを無事に張り終えて、けが人が下ろされてくる。下で操作してするすると下りてくるが、場所によっては下りてくる方の恐怖心もあるかもしれない。準備に時間をかけた割にはあっけなく下へ辿り着いて、ひとまず終了。

左【怪我発生時の対応の仕方】

 続いて順序は逆になるが、事故が発生したときの対応の仕方を勉強する。ここでリーダーをジャンケンで決め(通常は勿論事前に決まっているはず)、ジャンケンに負けた大澤さんがリーダー及びレポート担当という名誉を与えられた。午前中に勉強した手順をおさらいしつつ、リーダーの指示に従ってそれぞれが行動する。

 練習だから時折冗談も飛びだし、笑いも出るが、みな一生懸命実演。1/3システムのプルアップも難なくクリアし、次はけが人の搬送となった。設定は足首の骨折ということだったので、ザック、ストック等を使い、順番に背負っての搬出となった。私たち女性には男性を背負うことは厳しい。順番にやってみて分かったことだが、少ない人数のパーティではやらない方がよさそうだ。それだけ全員の負担が大きくなる。セルフレスキューをするべきか、救助要請に向かうべきか、状況判断が必要となる。

 リーダーの指示によって私は山口さんとフィックスロープを張りに先行した。これも状況判断が必要だった。それらを交互に練習してから実際に背負いながらの下山となった。

 けが人、けが人を背負う人の荷物の分担や、フィックスロープの回収なども必要となり、9人のメンバーでも役割の無い人はいなかった。一人一人が重要となる。

 明るい時間に下山できればまだ楽だが、実際救助となると、安全な場所に確保するというだけでも時間がかかり、暗がりでの行動もしなければならない時があるだろう。二次遭難が起きないように気をつけなければならない。ヘッデン(ヘッドライト)と予備電池は常時必要。

 無事に下の小屋まで辿り着いて、搬出は終わる。そこでお疲れさまのビールを飲みながら、今回の訓練を振り返った。それぞれに大変さを感じたが、救出されるけが人役の蒲原さんは背負われて登山道を下山するのはやはり怖かったという。そして、背負われての体勢も痛い場所があったりして辛かったようだ。また、背負う人も、安心感のある人とそうでない人もいたそうだ。案外難しいものである。最後に反省の一つとして、記録係を設けなかったことがあげられた。後の報告の為に必要なのだが、練習で忘れるくらいだから、実際にはパニックになって、もっと忘れそうな気がする。注意しなければならない。また、けが人を絶えず励まし続けることも必要となる。今回はとても良い勉強になった。講師や、皆さんに感謝。