谷川;白毛門
(しらがもん)
   谷川岳での雪洞掘りをとり止め、白毛門へ。

 H12年2月5日(土)前夜発・ 天気;快晴 :Member.4人(佐藤、海輪、今井、石原)

【白毛門山頂】右
 松ノ木沢ノ頭辺りより

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)
土合駅8:10〜白毛門麓にテント設営8:?-9:10〜白毛門の好展望場12:40-13:35〜テント場15:05

(所要時間約7時間・・休憩含む)


 谷川西黒尾根で雪洞掘りと雪崩講習の予定だった。前日になって参加者7人から4人に減り、しかも皆経験者で、二日目の天気予報が下り坂だったため、急遽白毛門のピストンに変更(最終的に決めたのは当日の朝だった)。

 前夜10時、海輪さんの車で川崎を出発。一人一人ピックアップしながら上越線土合駅は混みそうだということで、一つ手前の湯桧曽駅に向かった。昨年より雪は少なく、道路も駅前も普通の靴で充分だった(私は昨年の経験を生かして今回は長靴を別に用意していったのに・・)。電車の通過する音が地震かと思えるほどで最初はとてもびっくりした。深夜訪れたのは私達だけで、心置きなく寝酒の宴を始め、シュラフに入ったのは午前3時頃。

 6時起床と言ったって起きれるはずもなく、目覚めたのは7時だった。天気は予報通り良さそうだった。前日は予報で聞いたとおり天候が悪かったらしい(下は20センチ程、山頂部は40〜50センチ位の新たな降雪だった)。それぞれ朝食、身支度を整え土合駅まで再び車で移動し駅前に駐車。ここも除雪され、車数台おかれていた。そこで今井さんが偶然にもお知り合いに遭遇。少し話した後4人で歩き出した。

 白毛門へは既に先行者二人(ツボ足の人と、ワカンの人)。そのおかげで我々もスムーズに進行。雪山経験豊富な3人に挟まれて私は安心してついていった。ほんの数十分歩き、樹林帯の広い場所でテントを張り、中へ不要な荷物をデポ、必要装備のみ持ち、ビーコンを身につけて再び歩き出した。

 私は1995年の9月、白毛門から朝日岳を一度歩いているのだが冬は初めてだった。今回のリーダーの様子だと、どうやら山頂は目指さないようだ。のんびり歩き、こまめに休み、展望を楽しめる場所まで行って、適当な時間に下山という、無理のない雪山トレッキングといった感じだった。山頂まで行けないのは残念だったが、寝不足の体には丁度良かったかも知れない。

 天気は快晴でやたらと暑く、手袋も一つ、二つと外し、私は途中から素手になってしまった。雪質の違いが私にはあまりよく分からないのだが、湿っぽくて重たいと口々に言っていた。そういえば昨年11月末に歩いた八方尾根の時はふわーっと軽かったような気がする。

 登りは先行者と私達の他に単独行の男性(新潟長岡の人)が後ろからもう一人やってきた。その人と前後しながら進んでいった。先行者一人が途中で引き返してきた。二番手の人だったらしいが今年は雪が少ないとはいえ、やはり大変だったようだ。ラッセルの御礼を言って先に進む。

 急斜面ではピッケルをうまく使えずスッテンコロリンしながら、私は苦労しながら攀じ登っていった。経験豊かな人と歩くのは有り難いもので、その場に応じた歩き方やピッケルの使い方などを教わった。実践は机上よりはるかに身に付く。ピッケルを持つ工夫やそれぞれの違いも「なるほど!」と感心することしきりの万年新人(私)だった。

 11時頃もう一人の先行者(一番手の人)が引き返してきた。汗をびっしょりかいて「一人のラッセルは大変でした」と言っていたが、お陰で私達はもう少し先へ行くことができた。その方にも御礼を言って、今度こそ自分たちだけのラッセルが始まった。ラッセルは大変だが面白い。思うように進まず遅々としたものだったがゆっくりとみんなで交替しながら進んでいった。東側へと雪屁が張り出していたため踏み抜かないよう注意しながら樹林の側に添っていく。

 私が先頭の時「もっと大股で行って」と声がかかった。足の短い悲しさと思いつつ「えぇ〜い」と大きく振り上げた。ん?結構いくじゃない・・・、気をよくして「えぇ〜い」と何度か繰り返した。なるほど、何となくツボをおさえた感じだった。何回か交替し、なだれるような斜面になったとき、指示に従って一人ひとりの間隔をあけた。そうしてやっと白毛門山頂が間近に大きく現れた。青空にも関わらず、谷川岳山頂付近はガスがかかって生憎だったがクライマー2人(3人?)と共にその断崖を眺めるのは楽しかった。東方面はきれいに見えていた。尾瀬の燧ヶ岳や上州武尊方面を飽くことなく眺め、お茶を飲みながら1時間近くそこで休んだ。

 白毛門山頂を目前に見ても、たどりつけなかった無念さは全くなかった。その展望を得られたことで充分満足し、再びメンバー同士距離を置き同ルートを下っていった。一度休憩したとき、湿った雪が重かったためワカンを外した(さすがに私にも分かった)。ツボ足になって、一瞬感覚が変な感じだった。慣れて調子に乗るとつるっと滑った。登りで苦労した所では、教えてもらったように確認しながら下りていく。新人のいなかった今回は、まさに私のための教育山行だったなと皆さんに感謝。

 テン場には3時過ぎに到着。雪洞掘りだったなら、掘り終わっているころだ。下山した今回、そのまま帰ろうと思えば帰れたのだが、みんなの楽しみは何と言っても今宵の宴会。山の話をしながらみんなでつつく鍋は美味しかった。

 昨夜9時頃就寝し翌朝は明るくなってから起床。鍋の残りにうどんやら韓国ラーメンやら入れ、絶妙な味覚を味わい、さらに雑炊にしてきれいに平らげてしまった。テントを撤収し、土合駅に戻った後は湯テルメ(一人500円、露天風呂・休憩室・ボディシャンプー・シャンプー・ドライヤー等有り)の10時開館を待って前日の汗を流し、関越が混む前に急ぎ帰った。