今回のトラック:赤線
(青線は入れていったルート)
※水色線はエスケープルート




五日目:白河内岳直下〜伝付峠

 

 テント場の朝。夜の間降った雨は小止み。

 他にテントは無く、静かで快適でした。
 明るくなると雲海の上に富士山が今日も見えました。

 この日通る黒河内岳方面。
 左奥に荒川三山、手前の尾根は蝙蝠岳。6年前にぐるり歩いたことが懐かしく思い出されます。

 コチラは塩見岳。
 昨日通過してきた白河内岳。平らでこのテント場まで簡単に歩けそうですが、ちょっと右往左往してきました^_^;

 テント撤収して出発は5時50分。もっと早く出たいのですがノロノロといつも遅くなってしまいます^_^; 山仲間と一緒の時は時間を決めて競うように早く支度を済ませたものですが・・・(^^ゞ

 前日の行動中の飲み水が少なくて済んだので、この日は伝付峠までの飲み水2リットル〜2,5リットル残し、余分な3リットル分を捨てていきます。
 雨は止んでいましたが、濡れている樹林帯を通るので初めから合羽着用です。着用で正解でした。
 セリバシオガマ

 ゴゼンタチバナ


 ハイマツの枝や根で相変わらず格闘しながら進みます。こんなですから合羽もすぐにぐっしょり。



 見通しの良いところでは荒川三山や蝙蝠岳、塩見岳を眺めながら。

 

 目印は少ないですが、要所にあります。
 意外にもテントを張るスペースがいくつかあります。

 岩場も相変わらず続きます。
 足を挫かないよう注意して。

 近いように見えて実は遠い笹山(黒河内岳)をこの先も実感します。
 再びハイマツ漕ぎ

 足を根っこにとられないよう注意して。
 ツマトリソウ

 ウサギギク
 ハイマツを抜け出て束の間ホッとします。

 数少ない小さな標識。コースが確認できて、これもまたホッとします。
 ハイマツ帯の中に入ってしまうと展望も定かではないので時折GPSでも確認しながら進みます。あと少しだから・・・と声をかけながら。

 トラバースして急登を行き、ひょいと出たところで山頂らしき標柱が見えてきました。
 笹山(黒河内岳)北峰。コチラは展望の良いピークでした。

前方に南峰(笹山山頂)と富士山

 
 
稜線に出ると蝙蝠岳、塩見岳。
ガスが上がってきてしまいました。

 
荒川三山と蝙蝠岳

 
通ってきたコースを振り返って白河内岳方面。
その右奥に見えるのは確信持てませんが
農鳥岳方面でしょうか?


 これだけで疲れちゃったよ・・・な面持ち(^^ゞ
 でも一休みしてまた出発。展望がないのが分かるような山容の南峰へ。

 南峰。笹山(黒河内岳)山頂。山梨百名山の標柱はこちらに立っています。北峰の方が展望いいのに何故でしょう?
 ぐるり樹林に囲まれて、テン場によさそうなスペースもいくつかあります。予定ではここまで来たかったのですが・・・。

 樹林帯に囲まれていますが、白河内岳は見えました。


 展望が望めないので南峰山頂は早々に後にしますが、左側には地図に載っていない奈良田へのルートがありました。私たちは伝付峠と書かれている右へのルートを行きます。間違えないようにご注意ください。
 足元にはまだたくさんのゴゼンタチバナ

 樹林帯の隙間から見える荒川三山
 樹林帯かと思えばこうして広い場所に出てルートを捜すことになります。

 そういう場所には居心地のよさそうなテント場。この山域はこうしたスペースがところどころにありました。

 たとえ日帰りでもロングコースですからテントあるいはツエルトでビバーグ装備は持っていたほうが安心です。
 そしてまたハイマツ帯。

 またまたひょっこりとテント場らしきスペース。
 正面に見えるはずの蝙蝠岳も塩見岳も残念ながら隠れてしまいましたが、ここで温かいココアを入れて一休み。

 エネルギーチャージし、そしてまたハイマツ帯へ。
 だんだんと樹林帯になって歩きやすくなったと思いきや、

 倒木も結構あったりします。
 それでもずっと歩きやすくなりました(^^ゞ

 コメツガやシラビソ?、シャクナゲなどの樹林帯の中は未開拓の自然が残っています。

 でもかつて伐採などに使ったのだろうか?と思えるワイヤーなどが残置されていました。今は山歩きを楽しむ人だけが通る山道なのでしょうが、仕事する人の声がこだましていた時期もあったのかもしれませんね。もっとも今は東海パルプが管理しているとのことで、山頂という山頂には大きな太い標柱が新しく設置されています。
 森が深くて陽があまり射しこまないのか、あるいは花の時期が終わってしまったのか、花はポツンと咲くアキノキリンソウくらいでした。コケやシダも目に優しく映りました。

 下りが急坂になってきました。

 蒸して暑くなったトシちゃん、ついに上の合羽を脱ぎました。
 お陰で今度は私が先導、露払いです^_^;

 ノコンギク。秋の花です。
 カニコウモリの群落。満開です。北岳の白根御池への登り途中でも満開でしたっけ。 

 写真撮るのも大変ですが(笑)

 トリカブトもたくさん咲いていました。
  杯のようなきのこ

 白剥山山頂。

 どんどん下ってきて、通過点の途中にある山頂。
 そばに面白い木。

 白剥山山頂にもテントスペース一張り分ありという記録もありましたが、それは最近建てられたらしい標柱の辺りではないかと思われます。他には木の根があって、この場所をあてにしていたらガッカリされると思いますのでご注意ください。
 お昼はロールパンサンド。温かい紅茶やコーヒーで。 

 休憩中に雨が降り出したのでまた合羽を着ますが、小雨で済みました。
 残置のワイヤー 

 壊れかけている小屋。避難小屋にはなりそうもありませんが、雨宿りくらいはできるかもしれません^_^;
 ここにも秋の気配。紅葉・・・ 

 これは何というきのこかな?すぐ忘れてしまいます^_^;
 大きい!

 奈良田越。1980m。

 ここでちょっと戻るような(Uターンするような)感じで右下の林道方面へと向かいます。
 トリカブトやヨツバヒヨドリが満開。  
ホタルブクロ・・・地面すれすれの低いものばかり

シナノナデシコ(ミヤマナデシコ)


 林道とはいえ既に草ぼうぼう。いつ出来て、いつこうした廃道のようになったものか・・・

 この林道、ゆるゆると下るものかと思っていたら、ゆるゆると登っていく道でした。じわじわと痛めつけられるような、最後にこれじゃ蛇の生殺しだ・・・と何度つぶやいたことか!
 山側も谷側も油断のならない林道でした。広場といわれる所で安全を確認して休憩します。この広場はかつては駐車スペースとか、待避所として使われたのでしょうか?
キオン?

 
 際どい林道の崩落場所もいくつか通過します。
   よくぞこんなところを歩いたものです。
 舗装路の下がそげ落ちているあの上を歩いて通りました。この登山道、地震が起きたらアウトです^_^; 自然消滅もあり得ますよね〜、オソロシヤ。

 トコトコ歩いてカーブをヘアピンに曲がったとたん、足が止まりました。極端な崩落場所。ここを通るのはあまりに危険すぎる。でも通っている人もいるようだと思いつつ見ていると、少し先のロープが目につきました。

 戻ってそのロープを伝って下りることにします。
 ロープで下りてさっき立ち止まった場所を振り返りますとこんな崩落。向こうからここを歩いてくるのは無理。

 後からエアリアマップを見ると、「崩落したヘアピンカーブはショートカットで避ける」と書いてある場所でした。なんちゅうコースでしょう(-_-;)


 なかなか変化に富んだ?林道とは名ばかりの恐ろしく手ごわい登山道でした。
 無事伝付峠に到着。この手前ではもう後500m、後400m、後300m・・・とGPSを見ながら歩いていました。ようやく辿り着いたとホッとした瞬間です。4時20分着・・・長い一日でした。

 水場へ向けて新倉(あらくら)方面へと下ります。
 水場までは7〜8分。トシちゃんが勘で適当に言った7分くらいというのはビンゴでした(^_^;)

 心配していたテントスペースは一張りもなく空いていてホッとしました。

 スペース的には2張りがいいところですが、それでもあったらお互いにかなり気を遣う狭さです。
 テント一張りで傍には水場が二か所あって、快適なテント場でした。

 笹やぶで虫が出るので蚊取り線香をセット。これでオッケー。
 疲れた顔をしていますが、我が家ができれば現金なもの♪

 驚いたことにここでも携帯は通じます。先ずはお天気チェック。翌日の行程はまだ決めていませんでしたが、天気はやはり思わしくないということで、ここから下山することに決定。つぶやいた言葉が「お寿司食べたい・・・」^_^;


 夕食のメニューは山菜おこわ(アルファ米)、お吸い物、ウィンナーと野菜の炒め物、海藻サラダ、キュウリと味噌。

 食事の支度をしながら翌日の段取りを考えます。ネットで調べると宿はお盆になることもあって高いところしか空いていません。直接帰るとしてバスの予約を入れてみたら身延駅発新宿行き16:20発がとれました。2人で5300円。山交タウンコーチ(身延営業所0556-62-0064)
 気になる新倉への下山路ですが、地図情報ではかなりの悪路。でも東海フォレストの人が勧めるくらいですからそちらへ下りることにして、道路状況及び新倉(あらくら)のバス停と発車時間などは山交タウンコーチで確認しました(9:52、13:57)。

 温泉にも入りたいので9:52発に間に合うよう、朝あかるくなったらすぐ歩けるように2時起きと決めました。(ところがこれはかなり番狂わせ。でも結果オーライとはなりました)

 六日目



南ア縦走:五日目(五泊六日)
【全コース】小太郎山(こたろうやま 2725.1m)〜北岳(きただけ 3192.4m)〜間ノ岳(あいのだけ 3189.3m)西農鳥岳(にしのうとりだけ 3050m)農鳥岳(のうとりだけ 3025.9m)〜広河内岳(ひろごうちだけ 2895m)〜大籠岳(おおこもりだけ 2767.0m)〜白河内岳(しろごうちだけ 2813m)
黒河内岳=笹山(くろごうちだけ=ささやま 2813m)〜白剥山(しらはぎやま 2237.2m)クリック地図 =最高峰北岳。最北小太郎山より南下)



 広河内岳から南部は未知の領域でした。山梨百名山でもあり、結構歩かれているようですが、けっしてメジャーな歩きやすいルートとは言えないのがよくわかりました。静かな山域で晴れていれば塩見岳や荒川三山など眺められますが、足元にかなり気を遣うルートでした。 

 H22年8月7日-12日(土-木)
天気;下記コースに記入
Member.2人(トシちゃん&sanae)



笹山(黒河内岳):白河内岳直下のテント場より


H22年8月7日-12日(土-木)
天気;初日晴後一時雨、二日目〜三日目は晴
Member.2人(トシちゃん&sanae)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む。=は乗り物) 
8/7(一日目)晴:広河原6:20〜広河原山荘6:27-29〜白根御池9:50(テント泊)

8/8(二日目)晴:白根御池5:40〜小太郎山分岐8:24-43〜小太郎山山頂9:56-10:49〜小太郎山分岐12:04-19〜肩の小屋13:00(テント泊)

8/9(三日目)雨時々曇り:肩の小屋8:23〜北岳山頂9:23-38〜北岳山荘10:38-11:03〜中白根12:00-08〜間ノ岳14:10-18〜農鳥小屋15:30(テント泊)


  8/10(四日目)晴のち雨:農鳥小屋5:37〜西農鳥岳山頂7:00〜農鳥岳山頂8:14-37〜大門沢下降点9:25-36〜広河内岳山頂10:19-48〜大籠岳山頂13:08〜白河内岳山頂14:30〜ビバーク15:10(テント泊)

8/11(五日目)明け方まで雨。晴後曇り&小雨:ビバークテント場5:54〜笹山北峰山頂7:38-8:00〜笹山山頂(南峰)8:10-12〜大休憩9:00-26〜白剥山山頂11:06-53〜奈良田越12:30〜伝付峠16:21〜テント場16:35(テント泊)

8/12(六日目)曇りのち雨のち晴:テント場4:50〜東京電力管理小屋6:38-41〜大滝7:50〜建設中ダム8:25〜新倉湧水10:00-20〜ヘルシー美里(バス停)11:00・・・ヘルシー美里にて入浴。バス停13:59発身延駅行きに乗車。

(所要時間・・休憩時間含む)←省略