九州・久住山
 (くじゅうさん1786.8m)
 雨に降られ展望も望めなかったが充分楽しめた山

 H13年8月13日(月)前夜登山口着
  天気;曇りのち雨のち晴れ 
  Member.3人(夫婦、娘)

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

長者原登山口6:05〜ゲート6:30〜林道から登山道へ6:45〜再び林道へ〜登山道へ〜諏蛾守越(小屋跡)7:55〜(北千里浜)〜久住分れ9:00〜久住山9:25-10:05〜天狗が城10:45〜中岳11:00-05〜分岐?〜法華院温泉13:15-20〜坊ガツル〜(九州自然歩道)〜長者原登山口15:35
(所要時間約9時間30分・・休憩含む)

【久住山(ガスの中)】右


 2001年夏休みは家族三人で九州旅行をし、観光と山行を楽しみました。
 11日、祖母山
 12日、由布岳
 13日、久住山
 16日、雲仙普賢岳
 17日、阿蘇山・烏帽子岳・杵島岳
 18日、霧島、韓国岳

 今回の中では一番楽しみにしていたのがこの久住山(九重山)だった。美しい山並みを眺めながら歩くのを楽しみにしていたのだが・・・。朝、起きたときには天気が大丈夫だと思っていたのに、昨夜も星が出ていたのに・・。でも山頂の方は確かにガスっていた。

 ガスが晴れることを期待して出発。しばらくは林道歩き。登山道に入ってから霧が降るようにあたったが、そのまま歩き続ける。しとった山道は滑りやすい土壌だ。そのうちしっかりした雨に変わってきた。そこで合羽を着ることにした。戻るかどうか、頭に浮かんだのはホンの一瞬。このくらいなら心配はいらないだろうと、気持は先に進んでいた。娘もこのコースを下るのは嫌だったようだ。先に行って滑りやすくないという保証もなかったが・・・。

 再び林道に出て、娘はにこにこ。まだこの林道を引き返せるのが分かった安心感だった。私もにんまり、心の中で、早々甘くはないぞ・・・ふふっ・・・と。そんな私に21年育てられた娘、母の心をお見通しで、弱音も吐かずマイペースでついてくる。

 石だらけのガレ場を登り出すが相変わらず濃霧の中。しかし黄色いマークがずーっと付いているので登山道を間違えそうな所はない。むしろ晴れているときはうるさく感じることだろう。ひとたびこのようなガスにはまればそれはありがたいものとなる。展望がないため、娘が言い出して山手線ゲームをしながら登っていく。車の名前とか山の名前とか、調味料の名前とか、テーマを決めて順番に言っていくのだが、登りでやるにはエネルギーのいるゲームだった。

 登りつめて着いたところは諏蛾守越。すがもり小屋の跡だそうで、今は避難場所のように、石で立派な囲いがされてあった。そして鐘が設置されていた。この先北千里浜は広々とした平原で、道を間違えやすい場所だと言って、途中から一緒だった山口県の男性は引き返そうかと迷っているようだった。そこから法華院温泉の方へ抜けるコースもあるので、私たちはそのまま様子を見ながら先に進むことにした。

 河原のような北千里浜に下りると、大きなテントが一つ。中から若い男性の声が聞こえてきた。側に細々とした流れだが、水が流れているのに、こんな場所でビバークしていいのかなと思いつつ、先の様子を見ると、やはり黄色いペンキマークがずっと続いている。うーん・・・と、こんな日に歩く自分たちを棚に上げて、複雑な思いであった。やはり、天気の時に歩くと気になるのだろうな・・・この多すぎるマーク。しかし百名山となると来る人は多い、事故も多かったのではないだろうか。

 というわけで安心して進行。靄った幽玄な風景もまた素晴らしい。こんな日でなければ、それこそこの風景を眺めることも出来ない。3人で喜ぶ3バカ家族である。

 どこであったか、途中で子供3人くらい連れている家族と出会った。昨日一日かけて7つの山頂を登ってきたという。若い両親の明るい笑顔が素敵だった。子供達の頑張っている顔も印象的だった。この日は下る途中で休んでいたようだったが、こんな日でも楽しい思い出に残ると良いね。

 久住分れに着くと牧ノ戸峠や三愛高原方面から登ってくる道と合流。そちらから登ってくる家族に出会ったが、みな傘を持って、合羽を着ていない。荷物も軽そうで軽装だ。この後久住山頂へと踏みならされたルートを辿っていくが、その間出会った人、山頂で出会った人、ほとんどが軽装だった。私たちは一応ツエルトや救急用品、ザイル等用意しているのだが、ライトすら持っていないのではと勘ぐってしまうのは、いらぬお世話か?・・・この日は終日濃い霧だったため、気になってならなかった。

 山頂へは次々に人がやってきた。濃霧で遠望どころか人がやってくる姿も10メートル先くらいでもう分からなかった。休憩していると寒くなる。温かいスープやコーヒーが有り難かった。九州の、この夏のさなかにである。

 さてこの後はどうしたものか。展望はないからさっさと坊ガツルの方へ下ろう・・・

左【久住最高峰中岳で】

 今回地形図を持ってきていないため、頼りはエアリアマップなのだが、やはりこの濃霧の中ではイマイチよく分からない。分岐で表示がなく見当がつかなくなったため、ひとまず登る方を選んでみた。おそらく中岳だろうと思ったのだが、途中下りてくる人に聞くと山頂は天狗が城山だという。えっ?そんな山地図にはない、とその人の地図と見比べると私のは2000年版、その人のは2001年版だった。何というショック。そこで位置を確認させて貰ってその天狗が城へ。その側には地図によると池だか湖が見えるはずだがまったく見えない。そのまま進んで、ようやく久住最高峰の中岳についた。山頂標識が裂けているのは雷でも落ちたのだろうか?

 中岳を下り、分岐に出たときやはり表示がなくて地図で確認。続いて下りてきた単独の人がやはり地図を覗いている。まっすぐ登っていけば稲星山だろうと思い左に少し行ってみた。小さく法華院と書いてあった。単独の人は稲星山の方に進んでいた。そちらに行きたくて行ったのかも知れないが、心配した夫が「おじさ〜ん、こっちだよ〜」と大きな声で呼びかけた。ガスで姿も見えず、返事もない。私と娘は思わず笑って「オイオイ、お父さんにオジサンとは呼んで欲しくなかったでしょうに!」爆笑。

 法華院温泉への道は自然味溢れていた。つまり紛れもない山道。ときおり間違えやすい所もあるが注意していけば心配はないだろう。こちらから登ってくる人に出会ったのは一組だったろうか。この日に限っては静かなルートだった。登りでもそうだったがこの山は今、全山ノリウツギで満開だ。

 法華院温泉は鄙びた温泉宿だった。結構大きい感じだ。ここで泊まって、九重山に向かう人も多いのだろう。少し先に行くと坊ガツルの平原が広がっている。キャンプ場もある。時間の余裕があれば、ここで泊まって翌日大船山(だいせんさん)、平治岳(ひじだけ)にも登ってみたかった。

 坊ガツルまで来ればあとは九州自然歩道をのんびりと歩くだけ・・・と思っていたがこれが甘かった。大きなアップダウンがあるわけではないのだが、それでも足下に気を遣う。坊ガツルや法華院温泉までは小さな子供連れの人も多く、行く人戻る人の多さには驚いた。幼い子供達も健気に一生懸命歩いている。

 途中、お花が沢山咲いているところがあった。マツムシソウが多く、ハクサンフウロ、ワレモコウ、そして近くを歩いている女性2人連れに教えて貰ったママコナなど。このママコナというのは始めて聞く名前だった。このお花畑を見ることができて、このコースに来た甲斐があったと思った。聞くところによると、この辺りはローカルなガイドブックによるともっといろいろなコースがあるようだ。地元ならではの情報なのだろう。

 駐車場に着き、そこの温泉に入ることにする。一人300円。シャンプーなどないが、すぐに汗を流せるのがありがたい。その前に店先にふんだんにお湯が流れているので、汚れた靴なども洗い流すことが出来た。丁寧に洗面器やブラシまで用意されていた。

 温泉に入ると、そこでさっきママコナの名を教えてくれた女性にまた会った。温泉の音がうるさかったがそこで少し話し、近くにヒゴタイという花が咲いていたというのを教えて貰った。まだ見たことがない。阿蘇、久住に咲く花だと言うからあたりまえか。温泉を出て食事してから見に行ったがカメラを持っていかなかったのが残念。綺麗に沢山咲いていた。温泉で私がうっかり眼鏡を忘れてきてしまい、あとからこの女性が持ってきてくれたという顛末もあった。無くしたら大変なことだった。感謝。