北海道・羅臼岳
 (らうすだけ1661m)
 羅臼岳から硫黄山まで縦走の予定でしたが、荒天のため翌日は硫黄山を断念し同ルート下山
 二ツ池でのキャンプは熊が気になって緊張・・
 雪渓がかなり残っており、見事なお花畑でも ありました!

2003年8月北海道の山旅
(8日:利尻山、9日:礼文岳、11日:斜里岳、12-13日:羅臼岳、14日:雌阿寒岳ー阿寒冨士
 15日:摩周岳、16日:雄阿寒岳、17日:白雲山ー天望山、18日:八剣山
 H15年8月12-13日(火水)
  天気;雨
  Member.2人(夫婦)

【羅臼岳:登山口へ向かう途中の車中より】右
 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

一日目(12日)
岩尾別温泉木下小屋5:20〜オホーツク展望?〜弥三吉水(やみきちみず)7:10-15〜銀冷水8:17-25〜硫黄山分岐(羅臼平)9:53-10:00〜羅臼温泉分岐?〜羅臼岳山頂11:00-20〜硫黄山分岐(羅臼平)12:00-10〜三峰キャンプ地13:00〜サシルイ岳ケルン13:53-14:02〜オッカバケ岳?〜二ツ池キャンプ地(幕営)15:55
(所要時間約10時間35分・・休憩含む)

二日目(13日)
二ツ池キャンプ地(幕営)5:50〜オッカバケ岳7:40〜サシルイ岳ケルン?〜三峰キャンプ地8:23〜硫黄山分岐(羅臼平)9:13-40〜銀冷水10:28〜弥三吉水(やみきちみず)11:15-45〜オホーツク展望12:22〜岩尾別温泉木下小屋12:50
(所要時間約7時間・・休憩含む)


一日目(12日)
 一泊装備で出発。登山者は多いが殆どが日帰り軽装だった。木下小屋の駐車スペースは少なく既にいっぱいだったので、ホテル地の涯の側に置いた。駐車場の舗装部分はホテルの敷地だが、周辺のグリーンの部分は国有地なのだそうで、そこに置いた。木下小屋前のトイレはペーパーがついてきれいだった。登山口はそのトイレの脇にあり、登山者名簿も登山口の側にある。

 登山道は整備され、歩きやすい。途中熊の糞らしきものを見つけて歓声。まだ新しい。こんなに人の多い時でも登山道の下の方に出てくるのだと思いつつ、この日は人が多くて良かった!なんて思ったりした。熊の糞かどうか事実は分からないが、直径4〜5センチはあったからやはり?

 水場、弥三吉水で休憩。ここは伏流水なので心配なく飲めるというので飲んでみた。冷たくて美味しかった。補給するならここが良いようだ。上の銀冷水など沢沿いの水は、エキノコックスの心配もあるので煮沸してから飲んだ方が良いと聞く。

左【歩きやすい登山道】

 弥三吉水を過ぎてしばらくは極楽平、ダケカンバのトンネルの平坦な道が続く。その途中に雨が降り出してきた。まだ大丈夫だろうと思いつつ早めに合羽を着、ザックカバーをとりつけたら瞬く間に本降りになった。その後も降り止まずガスが濃くなってきた。

左【タチツボスミレのようだ】

 大沢では雪渓が残っていた。その時は雪渓を登っていく人ばかりだったが、左側に雪渓を通らない登山道がしっかりあった。雪渓があると周囲の解けた部分の山肌に可愛いお花が沢山見られ、岩場の急登なのに一生懸命写真を撮りながら行く。エゾコザクラ、エゾツツジ、メアカンフスマ、イワギキョウ・・そして少し咲いていたあの可憐なスミレはタチツボスミレのようだ。シレトコスミレ、見てみたかったが硫黄山でも時期的にもう咲いていないのだろう。

 登り切って羅臼平に着いた頃には辺り一面のガス。途中から諦めて下山した人も多かった。私達は硫黄山分岐のレリーフの岩陰にザックを置いて、ナップザックに食料と飲み物を入れ、羅臼岳山頂へと向かった。山頂へ向かう人の方が圧倒的に多かった。山頂の姿が全く見えず残念だった。ハイマツ帯を行き、登るほどにその姿は今までの歩きやすい登山道とはほど遠い、岩山だと知る。

左【羅臼岳山頂で】

 山頂は展望無し。それでも登れれば嬉しい。ネット情報などで、この山を楽しみにしていた夫はすぐには下りる気がしないようだった。いつもの口癖「せっかく登ったのだから・・・」と写真を撮った後も、邪魔にならないところに座り込んで温かい飲み物を飲みながら軽くパンを食べ、夫は煙草を吸った。こんな寒い雨の中でも・・・と呆れる。後から登ってくる人もそれぞれに何か食べながらしばらくはその場にいた人が多かった。山頂にいたのは15分ほどだったろうか、山頂の雰囲気を味わってから下山。

 羅臼平に戻り、さてどうするかと相談。そこでは丁度、縦走装備の6人パーティが天気情報を得ていた。オホーツク高気圧と太平洋高気圧の間にあって、天気は明日の午後から夕方にならないと回復しないということだった。下山して温泉という選択肢があるというのに、夫はやはり「せっかく登ったのだから下りたくない」と言う。一人でも残ると言い張る(このような状況下で、これはけっして言ってはいけない言葉なのに・・・)。もしかしたら早めに天気が回復するかもしれないと、この時点でも夫はわずかな期待を持っていた。私は下山したかったが諦めた。ただし、もし回復の可能性を待つならば、前進と後退のどちらも選べる所までは行っておきたかった。三峰キャンプ地では前進の場合、翌日の行動が長くなるので、予定通り二ツ池まで行くことにした。3時間以上歩くのは嫌ではあったが・・

 こんな状態で歩くのはけっして楽しくは無かった。温泉に入りたいよ・・・。黙々と殆ど視界の無い中を歩いていった。サシルイ岳へ登る途中、硫黄山の手前で引き返してきたという一人の若者と出会った。ガスのため、道が分からないと言う。確かに地図にも分かりにくいと書いてある。彼は前夜は三峰でキャンプし、今日縦走して結局引き返し、このまま岩尾別の方に下ってしまうと言っていた。

左【エゾツツジ】

 しかし夫は先に進む。やっぱり・・・。サシルイ岳の巻き道を通過し、オッカバケのアップダウン。鈴とホイッスルを鳴らしながら行った。途中に雪渓や湿地があり、そこのお花畑は素晴らしかった。なんとアオノツガザクラやチングルマ、エゾツツジ、エゾコザクラ、エゾフウロ・・などがまだまだ満開なのだ。ニッコウキスゲも少し咲き残っていた。

 オッカバケの下りは岩だらけ。岩の所を通り過ぎた頃、湿地の下りで夫が穴の所にズボッと足がはまった。すぐ抜けたし、怪我もしなくて良かったが、もし骨折でもしたら大変だった。

左【二ツ池テン場で】

 平坦な湿地帯になり、登山道沿いに行くと二の池だった。先着の若い男性の一人用テントが二張りあった。仲間らしい。私達もテン場を捜したが、どこも水浸し。どうにか捜して張った。

左【二ツ池テン場で束の間の晴】

 テントを張っていると太陽が出てガスが晴れた。空気は流れその風景も流動的ではあったが歓喜。目の前に南岳の稜線、二ノ池、歩いてきたオッカバケの方の山並みが見えた。あんな高い山を越えてきたのかと驚いた。

 夕食はレトルトカレー。匂いで熊が寄ってきたら困るなぁと話しながら、残りの食料はフードロッカーへと夫が持っていった。人の残した食べ物に味をしめ、熊が狙ってくるため、設置されることになったらしい。

 25000図で明日のコースを確認してから就寝。熊よけのためラジオとヘッデンひとつはつけっぱなしにした。ところがラジオには節電機能がついているため1時間で止まってしまう。目が覚めるたびにスイッチを入れていた。どっちにしても熟睡はできなかった。

 二日目(13日)
 4時に起床し、外をのぞくと周囲が見渡せた。これはいける!と思ったのに、間もなくまたガスがかかった。先に進むのはやはり断念しよう。同ルートを戻ることにした。

 朝食はインスタントラーメン。そのあとコーヒーを飲みながら、各々に昨夜は眠れなかったと話す。そしていや、そっちは寝ていたと互いに笑う。

 支度して出発する頃、他の二人もテントを片づけ出し、やはり同ルートを戻るかもと言っていた。先に出発する。様子が分かっているだけに気分的には気が楽だ。昨日眺めたお花畑を丁寧に見ながらゆっくり進んだ。夫は鈴を鳴らし、ラジオをかけ、私はホイッスルを吹きながら。

 途中、昨日の6人パーティに行き合った。三峰キャンプ地に幕営したそうで、これから硫黄へ進むという。さらに男女二人連れも続いていった。

左【ガスっていても・・】

 雪渓あたりは風が冷たく、お花が多かった。同じ道を戻るのは気持ちに余裕のあるのが分かる。天気は相変わらずガスっている。

 羅臼平まで来てもしガスが晴れていたら、もう一度山頂を踏もうと思っていた。全く回復の兆しがなかったので、レリーフで休憩してから下山した。一緒に休んで話していた福岡の人は空身で山頂を目指していたが、この日はこの後も登山者が少なかった。

左【大沢の雪渓】

 大沢の雪渓辺りでゆっくりお花を楽しみ、デジカメで撮りながら下りていった。下る毎にガスがなくなり、快適に歩く。休憩の度に側にいた人と話すので時間がかかったかもしれないが。

 かなり下まで下りたとき登ってくる男性二人に会った。二泊で硫黄へ縦走するという。一人は日本人、もう一人は足の悪い外人だったが羅臼は今回で11回目だと言っていた。話すその目はキラキラ輝いてまったくハンデを感じさせない。人間、やる気次第だと夫と話したが偉いなぁと思う。

 木下小屋に着いて、下山と記帳し、靴の汚れを落としてから車にもどった。ザックを片づけ、移動するとき山を見上げたが、やはりその時もガスっていた。